前回、株価を動かす要因について、お話ししました。
そもそも投資においては、上昇する可能性が高い銘柄を選ぶことが重要ですので、前回お話した、株価を動かす要因に関して、上昇方向に動かす要因に絞って徹底的に追及していけば良い、ということになります。
「以上!」と言って終わらせてしまっては、何も分からないかと思いますので、数多くある要因について、ちゃんと順を追ってお話していきたいと思います。
米国株式銘柄選び方
業績
業績を判断する上では、何に着目すれば良いでしょうか?
- ビジネス環境(その業界全体の方向性、ビジネストレンド))
- プロダクト・サービスの売れ行きのトレンド(新製品、新サービス)
- 競合状況
- 売上と収益の伸び方、今後の方向性、
- 収益性(ROE、収益率など)の上昇
- これまでと異なるもの(ビジネス・ミックス、ビジネス・モデルの変化など)
需給
- 当該銘柄に関して、需給の状況(取引高の推移など)
- 値動き・取引高の推移(チャート分析)
- 機関投資家の動き(可能であれば)
市場環境
- 金利環境
- 市場全体のトレンド
内容としては盛りだくさんでもありますので、複数回でお話していくことになります。
株価上昇の最重要な要因:業績
株価が上昇するためには、今後業績が良くなっていく、あるいは、好業績が今後も長く続く、ということが予想されるということが大事かと思います。
個人投資家としては、それぞれの銘柄の一株当たり収益を、自分で予想する必要はないです。
それはプロに任せれば良い。
重要なのは、
- ここ数年の売上高と収益が大きく上昇しているかどうか
- 直近の四半期における収益の伸びと売上の伸びが加速しているか(少なくとも減速していない)
ということです。
そして、その売上と収益の拡大が今後も続くと期待される状況は維持されているか?
これらについて、納得のいく結論が出せれば、この基準はクリアしたと見て良いでしょう。
そのビジネスのトレンドが、どのくらい続きそうか?
そして、それが市場参加者にどのくらい理解されているか、によってその銘柄の株価がどこまで上昇するかが決まります。
小さな波はあるものの、長期的なトレンドに変化はない、と思われるような場合は、市場参加者の見方は割れるので、購入のチャンスは大きくなります。
例えば、半導体は需給により数年単位のサイクルがあります。
半導体不足になると半導体メーカーが設備投資をして供給を増やします。
供給が増えすぎて、半導体市況が崩れ、需要が供給に追いついてくると、需給関係がタイトになり、半導体不足になり、再び半導体市況が上向きます。
こうした動きをずっと繰り返してきています。
一方で、皆さんの生活を見てみると電気製品を含め、ありとあらゆるものに半導体が使われるようになってきています。
長期的には、半導体の需要は増え続けることが予想されます。
短期で、投資(トレーディング?)している人は、この需給によってもたらされるサイクルで半導体銘柄を買ったり売ったりします。
従って、長期で投資する人からすれば、サイクルが原因で一時的に株価が下がった時は、恰好の買い場にもなるわけです。
長期で投資をする場合、個社の業績を予想することは難しいですが、大きなトレンドを予想することは、世の中の動きを注視していれば、さほど難しいことではないかと思います。
その長期のトレンドが予想されたら、それを直接的に享受できる企業グループの中で、リーディングカンパニーを選べば大きな間違いはないでしょう。
ここでは、あまり割安であると割高であるという議論よりは、そのトレンドに乗ってしっかりと業績を伸ばしている、あるいは伸ばしていける会社かどうか、にフォーカスした方が良いかと思います。
一般的な割安や割高の判定基準が、株価収益倍率(PER。株価÷一株当たり収益)が小さいとか大きいとかということだけで判断してしまうと、判断を誤ります。
この数値(PER)は、市場の評価を示すものです。
なぜ、そのような評価になっているのかに納得出来れば、その評価は適正ですし、その評価に納得できなければ、割安である、割高であると「自分」は評価することになります。
そこには、市場の評価が間違っていて、自分の評価の方が正しい、という判断があります。
市場は分かっていないが、自分の方が分かっていることは、あまりないので、よほどの自信が無い限り、こうした考えを持つのは危険かと思います。
業種によって、ビジネストレンドの長さは異なります。
「これはゲーム・チェンジャーだ。これが出てきたことで、これまでとは全く異なる動きになりそうだ」というものはまず間違いなく、大きなトレンドと言って良いかと思います。
それを見極めていければ良いかと思います。
気を付けなければならないのが、大きなビジネストレンドと思われるものは、ビジネスをしている側の人もそれを感じています。
そのため、そのトレンドに乗るために、実績のないビジネスプランが沢山出てきます。
それは、そのトレンドが大きければ大きいほどたくさん出てきます。
夢はあるのですが、ほとんどが夢で終わる。
そうしたトレンドを追う場合は、そのトレンドに乗って実績を出している企業に投資することが大事になります。
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