5/5~5/9のNY株式市場は、FOMCという大きなイベントがある中でも、やはり関税を巡る交渉の行方などを材料に方向感のない展開となりました。
前週まで、20年ぶりの連騰が続きましたが、週末にスイスで米中の交渉がスタートするニュースもあり、この週は方向感なく、前週比若干のマイナスで終了しています。
概要&マクロ
週次ベースでは、小型株指数のRussell2000を除き、若干のマイナスで終了しています。
NYダウを除き、4月初からのパフォーマンスとしては、プラスであり、トランプ大統領の「解放の日」の影響は一旦取り戻した格好です。
とはいえ、ここから更に買い上がっていくには材料不足であり、方向感を失った感じになっています。
今回の関税騒動で、最大のポイントは、中国との貿易摩擦(貿易戦争?)をどう決着をつけていくのか、というところ。最大の貿易赤字対象国なので、極めて重要な交渉になります。
中国無しに米国経済は成り立たないくらいの状況にあるので、双方の顔を潰さずにどこにどのような形で着地させるのか、ベッセント財務長官の責任はとても重いです。
FOMCが火・水で行われ、市場想定通り、今回も利下げ見送りとなりました。これ自体はほぼノー・インパクト。記者会見で、パウエル議長が米国経済はまだ強いとの認識を示したことは、市場に安心感を与えたようです。
5/10(土)に スイスで中国側の代表者とベッセント財務長官が交渉を開始する旨のニュースが伝わったこと、そして、トランプ大統領が関税引き下げの用意がある旨を表明したことなどはポジティブな材料となっています。
とはいえ、トランプ大統領としては、まだ交渉が始まっていないので、当然、交渉を有利に働かせるためにも、交渉によっては関税を引き下げる用意はあるが、高めのボールを投げて、中国側の譲歩を出来るだけ引き出そうとしていることが見え見えで、状況としてはあまり変わっていない。
米英の貿易協定が最初に結ばれましたが、英国は米国にとって貿易黒字国であることもあり、あまり参考にはならないかと。それでも10%の関税は残す協定になっているので、最低ラインとしては10%の関税はどの国に対しても課すという意図であることは明確になったかと思われます。
市場は関税関連のヘッドラインに大きく揺らされていますが、来週は、重要な経済指標が発表されることも忘れないでください。
13日(火)消費者物価指数(CPI)、15日(木)生産者物価指数(PPI)と小売売上高が発表されます。
セクターの状況
ばらけてはいますが、敢えて言うなら、先週同様に景気敏感とグロースが相対的に強く、ディフェンシブが劣後といった状況下と思われます。
OPECプラスの大幅増産決定で、前週に大きく下げた原油が米国原油の減産のニュースなどもあり、少し回復し、エネルギーセクターがプラスに戻ってきています。
グロース系セクターでは、コミュニケーション・サービスがマイナスになっていますが、これはGoogleの親会社アルファベット(GOOGL))が大きく下落した影響となっています。
検索の主流がグーグルからChatGPTなどの生成AIに移行しつつあるのかもしれません。注視が必要かと思います。
半導体セクターは、バイデン政権が設定した中国向けの半導体輸出規制を撤廃する可能性があるとのニュースで回復してきています。
まだまだニュースに振らされて動いています。
個別銘柄の状況
最高値とAll Time Highを更新継続していたネットフリックス(NFLX)ですが、海外で作成された映画に関税をかけるというトランプ大統領の発言で、ネガティブなインパクトを受ける可能性から、All Time Highの更新はしていますが、長続きせず、引け値ベースでの最高値の更新は今週に入り止まっています。
この週に大きく下落したのが、GOOGLとアップル(AAPL)です。原因としては、議会の公聴会で、モバイルサファリブラウザでのグーグル検索が4月に初めて減少したと明らかにしたことが原因です。
AAPLはiPhone上でデフォルトの検索エンジンとしてグーグルを許可することで、年間$200億ドル稼いでいます。グーグル検索の減少は、GOOGLだけでなく、AAPLの収入にも影響が出る可能性があるため、両銘柄とも下落しています。
上のテーブルにはありませんが、5月3日の株主総会で、25年末をもってCEOを引退すると発表したウォーレン・バフェット氏率いるバークシャー・ハサウェーは、そのニュース後最初の取引日である5日(月)の-5.12%下落しました(B株)。この程度で済んだとも言えるし、こんなに下がったのは仕方がない、と見るかは評価の分かれるところでしょう。
今後の見通し
5月10日(土)にスイスで行われる米中の協議がどのようになるのかは、市場に大きなインパクトを与えるかもしれないし、与えないかもしれない。
すぐに妥結するとは考えられない。ただ、協議が始まったことはポジティブですし、決裂は双方にとって、特に米国にとって打撃が大きいので、妥結を急いでいる可能性があります。中国の出方によっては関税を下げる用意があるといった発言はそうしたところから出ていると見ています。
まだまだ紆余曲折ありますが、妥結の方向へ向かうでしょうし、トランプ大統領としては、関税問題を早く片付けて、減税政策の話を始めて、来年の中間選挙に向けて、選挙民のご機嫌を取りたいところです。
8日の日に出たニュースで(既に以前から言われてはいましたが)、トランプ大統領が富裕層向けの増税を考えていると報じられました。
共和党の大統領がこれを言うのは、天変地異とも言えるくらいの共和党の方向転換です。民主党の政策のようです。
少なくとも経済政策では、民主党と共和党の違いが無くなりつつあり、民主党に政権が変わっても今の方向性は変わっていかないかもしれません。
市場はまだまだヘッドラインに大きく振らされる状況が続くでしょうが、それでも4月8日の大底は割らないと思って良いかなと思っています。
後は、関税の着地点とその影響を確認しつつ見極めていくプロセスが続くと思われます。
後記
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