これまで、米国株高、円安で、日本からの米国株、グローバル株はとても順調で、新NISAで投資を始めた人は、投資って結構簡単じゃん、なんて思い始めていたかたも多いかもしれません。
ちょっと雲行きが怪しくなってきました。円だけが弱い状況が続いて来ましたが、それも変化の兆しが出てきています。
一方で、米国株式でも、変化の兆しが見られており、その転換点はやはり若干痛みを伴う下落もあり得ると思われます。
7月22日～26日の米国株式市場の週間アップデートです。
市場全体＆マクロ
(週次の数字が誤っておりましたので、修正しました）
市場全体の動きを見るにはNYダウより、S＆P500の動きを見た方が良いです。（指数の作り方によるものです。日本では、東証株価指数＝TOPIXの方が日経平均の方が良い）
前週後半から、これまで市場を牽引してきたテクノロジー、コミュニケーションなどに変調が見られ始め、その流れは結局今週に入っても終わらず、そのウェイトの高いNASDAQ100、NASDAQが大きく下落していることを背景に、S＆P500も下落しています。
26日（金）に取り敢えず、一旦下げ止まりましたが、状況は基本的に変わっていないので、安心は禁物です。状況は変わっていなくても、「下がった」から安く見える（もう十分下げた）という理由で買う人もいるからです。
このような上昇は、非常に脆いので、更なる売り浴びせに簡単に崩れます。まだ安心できる状況だとは見えないので、警戒を続けましょう。（特に新たな買入は慎重に。積立投資はそのまま継続です）
マクロ指標で注目を浴びたのが、第2四半期GDP（25日）とPCE価格指数（26日）です。
第2四半期GDP（前期比）＋2.8%（前期＋1.4%、予想＋2.0%） 前期そして予想よりも高い数字でした。
一方で同時に発表される価格指数は+2.3％（前期+3.1%、予想＋2.6%）と前期として予想より低い数字でした。
景気は比較的強く、インフレは鈍化しているように見える。
コアPCE価格指数は対前年比で＋2.6%（前月＋2.6%、予想＋2.5%）、予想より若干高かったものの、前月並み。
対前月比では、＋0.1%（前月＋0.0%。予想＋0.1%）と予想通り。
これらを受けて、金曜日には、9月での金融緩和開始期待が膨らみ、市場の下落を止めた一つの要因になったとも言えます。
市場心理が強気に傾き過ぎているな、と感じ始めていたら、いきなり下落が始まったので、驚きました。きっかけを作ったのはテスラ（TSLA）の決算、アルファベット（GOOGL）の決算でした。
マグニフィセント７銘柄に対する根拠の薄い過大な期待（予想を大幅に越える期待が株価に織り込まれがち）が、裏切られ、人々を冷静にさせる効果になったようです。
一旦これらが大きく修正されれば、その後の相場展開にはポジティブにもなります。
セクターの状況：セクターロテーション？
エネルギーセクターは原油価格の下落の影響です。それを除くと、綺麗にグロースセクターが大きく－となり下位をしめています。
その一方で、それら以外はプラス。
これは、セクターロテーションが起きている、グロース系セクターから景気敏感、もしくはディフェンシブへお金が流れていると見える動きです。
インデックスレベルでも、NASDAQ、NASDAQ100、S＆P500が大きく下落する一方で、ダウ平均とRussell2000（中小型株指数）が上昇していることとも符合します。
ロテーション（マーケットリーダーの交代）が起きつつあるのかもしれません。
個別銘柄の状況
（グリーンでハイライトしたバーテックス（VRTX）はAll Time Highと引け値ベース最高値をこの週に更新しました）
テーブル上部のマグニフィセント７が全滅（それもかなり酷い）の一方で、テーブル下部の方にはプラス銘柄もかなり入っていますし、決算が好感されたセールスフォース（CRM。NYダウ採用銘柄）が大きく上昇するなど、ばらつきがあります。
マグニフィセント７は指数に与える影響が大きいですが、これらだけ見ていると市場に何が起きているのかを見落としてしまうことがありますので、ご注意を。
今後の見通し
まだ分からないのが正直のところです。当面、ラフな（上下動の激しい）市場が続くだろうなと思います。
完全に上昇トレンドに戻るには少し時間が必要かもしれません。
投資には、大きく下落することも、時々あるもの、と思っていただいた方が良いかと思います。
痛みを感じて売る人がいることで、それを買いのチャンスにすることが出来る人もいる。いろいろな人がいろいろな思いで参加しているので、株式投資は成り立っています。上昇しっぱなしでは市場は成り立ちません。
来週はFOMCもありますし、引き続き業績発表が続きます。
まだまだジェットコースターのような状況が続くかと思います。（時折、急上昇する場面も入ってくれれば、安心です。急降下がずっと続くとなかなかつらいですからね）
後記
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