お金持ちになる有効な方法として、よく不動産投資が挙げられます。
そして、全額をキャッシュで買うのではなく、銀行融資で買うという方法を前提として語られることが多いかと思います。
銀行でお金を借りて、賃料で返済して、大きな資産を得るということです。
不動産投資はレバレッジ・バイアウトと同じ仕組み
不動産投資が資産を一気に大きくする方法として語られるのは、少ない投下資本で大きなリターンが得られる仕組みがあるからです。
収益物件だった場合、たとえば、利回りが10%の物件に対して、頭金10%、残り90%をローンで購入した場合(金利を2%とします)、単純には、80%の利回りに跳ね上がります。
(10-2)/10=80%
これは、自分の投下資本が全体の10%しかないのに、全体の10%の家賃があり、2%の利子が出ていくためです。
そして、元本は家賃の中から支払われれば。持ち出しは最小の頭金だけで、その物件の所有権が手に入る。
途中のメンテナンス費用が大きくかかったり、不測の事態が起きて空室率が上昇したりして、キャッシュフローで銀行の返済が出来なくなると、大変です。
借入額が大きいので、別途本業からの収入などから、返済資金を工面しなければならなくなります。
このように、少ない投下資本で大きな物件に投資することができ、資産を増やすことは出来ます(ネットの資産はかわりませんが)。
この仕組みをレバレッジと言います。
レバレッジとは「梃子」(てこ)のことです。梃子を利用すれば、少ない力で思いものを持ち上げることができます。
この梃子の原理を利用した金融取引が数多くあり、レバレッジはあちこちで頻繁に使われています。
例えば、レバレッジ・バイアウト。この言葉をニュースなどで聞いたことがあるかもしれません。
レバレッジ・バイアウトとは、買収先企業の持つ資産を担保に融資を受けて企業買収をするものです。
かなり危険視されていましたが、よく考えれば、不動産投資は、レバレッジ・バイアウトと同じ仕組みです。
レバレッジは危険か
レバレッジが危険かどうかは、不測の事態が起きた時でも、大きな損失を被らずに、対処できるかどうかにかかっています。
例えば、不動産投資で言えば、金利上昇で銀行への返済額が上昇したり、空室率が上がったり、メンテナンス費用が上昇して、キャッシュフローが悪化しても、銀行への返済を続けることが出来るかどうかにかかっています。
不確定な前提条件が多いのに、レバレッジ比率が高いと、僅かな金利の変化でも、大きな変化として降りかかってきます。
そのような状況になった時、あるいはそうなりそうな時にどう対処できるかで、リスクは異なります。
FXは為替証拠金取引で、レバレッジが掛かっています。
10万円で250万円分の取引きが出来るのは、25倍のレバレッジが掛かっているということです。
借入をおこしているのと同じです。
(10万円自己資金で、240万円を借り入れて取引をしているということです)
損益は25倍の大きさで動きます。上手く行っているときは良いですが、そうでない時は厳しいです。
不動産投資と違ってそれと見合うものを持っていないので、返済はまるまる自己負担になります。
日本株の信用取引も、レバレッジをかけて取引をしています。
レバレッジ比率は、FXより小さく、3.3倍程度なので、危険度は低いです。
それでもレバレッジをかけて取引きをしているので、うまくいった時のリターンは大きく、下がった時の損失額は大きくなります。
主なネット証券では、米国株の信用取引は扱っていないようです。
さて、レバレッジをかけた投資家がいる市場で、市場が急変した際は、何が起きるでしょうか?
例えば、ある銘柄が急落した場合。真っ先に動かざるを得ない人は、信用買いをしている人になるかと思います。
早くポジションを解消しないと、損失が何倍にもなってしまいます。
したがって、市場急変の際にポジションを解消する必要に迫られるので、適正な価格で売るというよりは、価格には関係なく、投げ売りをしてでもポジションを解消する動きが集中します。
この動きで、ストップロス(損切り)を巻き込んで売りが売りを呼ぶ大きな下げにつながっていきます。
バブルの崩壊
危険なバブルが発生するのは、レバレッジを使って特定資産が買い上げられて、本来の価値とはかけ離れた価格になってしまうことであり、バブルの崩壊は、その巻き戻しです。
単に価格がその本源的価値とはかけ離れて上昇しているだけであれば、それはバブルであっても危険度は低いです。
直接的・間接的であれ、借入=レバレッジが絡んでいる場合は、危険度は高くなっていきます。
バブルの起きている資産を割高で売却して、別の資産を買うのは危険ではないです。
一方バブルの起きている資産を担保にお金を借りて、別の資産を買うと、これはかなり危険な取引になります。
バブルが弾けた時に、両方の資産を手放さなければならないだけでなく、大きな借金を抱える可能性もあります。
不動産投資は、多くの場合、レバレッジ=借入が絡んでいます。
そのため、バブルが最も発生しやすいのが、不動産市場です。
融資する側も、担保付の融資の方が出しやすいこともあり、貸出条件も緩くなりがちです。
日本のバブルは、ベースに不動産バブルがあり、その派生効果で株も大きく買われていましたし、上述のように証券担保融資までありましたから、ダブルでレバレッジがかかっていたケースもあったかと思います。
サブプライム・ショック、リーマン・ショックも根本原因には、不動産融資が絡んでいました。
価格が変動する資産を担保にお金を借りるのですから、頭金を大きくして借入比率を下げることが安全性につながります。
安全性を高める分、利回りは落ちます。
リスクと利回りは、まさにこの点ではトレードオフの関係です。
不動産であれ、株であれ、どのような資産であっても、レバレッジはうまく使い、リスクコントロールをしっかりできれば、投資のリターンを大きくするツールとしては最高です。
このリスクコントロールで最も大事なのは、自分の感情のコントロールです。
熱くなってしまうようであれば、レバレッジは止めた方が良いです。
レバレッジは、市場動向を頻繁にモニターし異変を見たらすぐに解消できるようにしておくこと。
そして自分を良く知り、自分の感情をコントロールできるようにして(いつも冷静でいられるということです)、利用いただければ良いかと思います。
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