これまで、投資の仕方について大枠をお話してきました。
これからは、より具体的に、経済の環境や市場の環境を踏まえながらどのように投資していくかをお話していきます。
まずは、景気の状況と株式市場や債券市場の関係を見ていきたいと思います。
投資の成果の大半は、市場全体の動きで決まる
統計的には、個別株のパフォーマンスの約75%以上が、市場全体の動きに影響されています。
これは何を意味するかというと、いかに良い銘柄でも市場全体の状況が良くないとやはり上昇しにくいし、逆に特に何のニュースもないのに、市場が上昇したり下落したりすることで、同様に上昇したり下落したりします。
即ち、どんな銘柄を選ぶかよりも、マクロ経済状況や市場の動き方を知る方が投資の成果により大きな影響がある。
マクロ経済状況や市場の動き方を理解した上で、その状況にあった良い銘柄を選ぶことが出来れば、かなり良い投資のリターンを得ることが出来る、とも言えます。
景気が良いとか、悪いというのを何で測るか、ということですが、一般的には、GDPの成長率の動きによって判断されることが多いと思います。
※GDPの成長率とは
国内総生産(GDP)を前期や前年と比較した場合の伸び率。
代表的な経済指標のひとつで、「経済成長率」とも呼ばれます。
ただ、これもあまり細かい定義は不要かと思います。
自分の関わっているビジネスの状況でも概ね景気の良し悪しは感じられるかと思います。
メディア(YouTubeなども含め)の解説などは、ほとんどあてにならないので、惑わされないようにする必要もあります。
景気が悪くなると、メディアはそれをそれに輪をかけて悪いニュースばかりを取り上げます。
あたかも、そのまま世界が終わってしまうかのようです。
一方景気が良くなると、それが永遠に続くかのような調子に乗った報道も見受けられます。
メディアの特性として、良くても悪くても、それを煽る傾向があるということです。
(基本的にはネガティブの方が好きなようです。その方が視聴率が取れるから。)
全くメディアに頼らずに景気を判断するのは難しいかもしれません。
メディアから情報を取るとしても、事実と意見を区別するように聞くことです。
意見は聞かない。
複数の情報源から情報を集める。
その上で、今、景気は景気サイクルの中のどのあたりにいるのかのイメージを作ると良いかと思います。
サイクルの形は、綺麗ではありません。
状況によりかなりいびつになります。
しかし、サイクルを形成します。
永遠に上昇し続けたり、永遠に下がり続けたりはしません。
景気のサイクルとその時に好調な資産
株を中心に考えてみましょう。
株価を決める大きな要因は、業績とそれに対する評価です。
業績は、一株当たり収益が注目されています。
それに対する評価というのは、その業績に対して、どのくらいまでの株価なら買っても良いかという市場の評価です。
これはPER(株価収益率)で示されます。
株価=一株当たり収益xPER という式で株価は表現されます。
PERというのは、その企業を部分保有した際に、投資した株価に対して、どれだけの収益が上げられるか、というものを示しています。
(一株当たり収益÷株価=益回り)
投資家にとっての投資利回りを示しているとも言えます。
これは、金利が低い時には低くなり、金利が高い時には高くなります。
(債券の金利と比較して有利な方にお金は流れるので、連動して動きます)
益回りが低くなるというのは、益回りがPERの逆数であるため、PERは大きくなります。
即ち、金利が低い時は、PERが大きくなり、一株当たり収益が同じであれば、株価は上昇します。
PERが一定であれば、一株当たり収益が上昇すれば、株価は上昇します。
すなわち、株価に影響する要因は、一株あたり収益(業績)と金利ということになります。
ただ、株価は、短期的には事実に対してではなく、金利の動きや業績の動きに対する思惑で動きます。
長期的には事実に収束していくものの、この思惑で上下に振れます。
思惑で動くので、その時々の状況で変化しますので、景気と株式市場の関係を定式化するのは難しいのですが、一般的なイメージは下の図やグラフのようになっています。
上のチャートの上部に、金融相場、業績相場、逆金融相場、逆業績相場という言葉が入っています。それぞれは以下のような意味になります。
金融相場というのは、金利が低下することが株式市場を上昇させる要因になっているような時期です。
業績相場に入ると金利の動きの影響は小さくなり、景気の上昇に伴う業績の向上が株式市場のプラスに働く時期になります。
逆金融相場というのは、金利の動きが株式市場に再び大きな影響を与える時期になります。
景気は悪くないが頭打ち状態になり、業績が伸び悩み始めるが、それまでの好景気の影響で、インフレも高くなり、景気を冷やすための金融引締めも起こり、金利が上昇し始め、結果として株式市場にとってネガティブな状況になってきます。
逆業績相場は、金利の影響が低下し金利が低下基調にあっても、景気の悪化のため、業績が不振の方が市場に大きな影響を与え、株価が下落しやすくなる状況です。
株式市場を中心に、景気のサイクルとの関係での株式市場の動きの典型的なパターンを見てきました。
株式市場が、不振な時であっても、相対的に好調な資産クラスというのも存在しています。
世の中にある投資マネーは、株式が不振なら、その他の良さそうな資産クラスにどんどん移っていきます。
全ての資産が全てダメという状況はあまりないです。
リーマンショックのようなほとんどの資産が暴落した時期でも、唯一、米国国債だけは上昇していました。
それぞれの資産クラスには旬がある
景気の状況に応じて相対的に好調になる資産を一般化して区分してみました。
景気の状況を春夏秋冬の四季に例えています。その四季は上のサイクルのチャートの下の方にある四季の表示に対応しています。
かなり強引に押し込んだ感じになっています。これは大まかなイメージであって、その時々の状況によって変わります。それを踏まえて判断いただければと思います。
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