中国は成長しているのか?その質を問う:製造業偏重・内需の限界・中所得国の罠

投資

米国株中心のブログではありますが、今回はちょっと外れて、投資対象としての中国を検証していきたいと思います。

中国は成長しているのか?その“質”を問う:製造業偏重・内需の限界・中所得国の罠

中国は、EVやAI分野で技術的には世界の先端を走り、「世界の工場」から「世界のテクノロジー拠点」へと脱皮しようとしているように見えます。

しかし、構造的な課題がいくつも噴出しており、表面的な成長だけを見て判断するのは危険です。

この記事では、製造業偏重がもたらす過剰投資の罠eコマースの成長と内需の限界、そして今後の最大の壁となり得る「中所得国の罠」について掘り下げ、投資対象としての中国をどのように見極めるべきかを整理します。

 

製造業偏重がもたらす”過剰の罠”

• 地方政府がGDP成長と雇用創出を優先し、EV・太陽光・AIなどの分野に一斉に投資。

• 工場の乱立 → 過剰供給 → 価格下落 → 利益率の悪化。

• 中央政府は警鐘を鳴らしているが、現場は制御できていない。

• 投資と需要のバランスが崩れており、構造的な非効率が顕在化している。

FTによると、習近平自身が「なぜ皆同じ分野に集中するのか」と不満を述べたほどの状況。
「China struggles to break its addiction to manufacturing(中国が“製造業中毒”から抜け出せない)」2025/07/29

eコマースは進んでいても、内需の底力は弱い

• アリババ、JD、拼多多(PinDuoDuo:PDD)などが成功し、eコマース取引額は世界最大級。

• しかし消費の中心は都市部の中間層で、農村部や若年層には波及しない

• 社会保障の未整備(医療・年金・教育)が貯蓄志向を助長し、消費を抑制。

• 家計消費の対GDP比は約38%(米国:68%、日本:50%超)と極めて低水準。

• 若年失業率は15〜20%に達し、「欲しくても買えない」層が拡大中。

そして最大の壁「中所得国の罠」とは

中国は現在、一人当たりGDPで約12,000〜13,000ドル。これは“中進国”と呼ばれる水準であり、ここから高所得国(G7水準)へのジャンプには大きな壁が存在します。

中所得国の罠とは:

賃金が上昇して「低コストの強み」が消える一方で、イノベーションや高付加価値産業に十分に移行できず、成長が停滞する現象。

中国におけるリスク要因:

• 高付加価値産業への移行がまだ限定的(外資依存、知財課題)。

• 民間の自由な創造活動が抑圧されやすい統制型制度。

• 米国や欧州とのデカップリングによる輸出先の縮小。

• 社会保障や再分配政策が遅れており、消費主導型経済に転換しきれない。

成長モデルを「量」から「質」に転換できなければ、人口規模だけでは豊かさは得られない

投資家として押さえるべき視点

中国全体にまとめて投資するのではなく、セクター・企業の選別が不可欠

• 世界市場で競争できるEV・バッテリー・AI企業(例:BYD、CATLなど)は投資妙味あり。

• 一方で、制度的リスク(政府介入、情報の不透明性)は依然として大きい。

• 中国は「世界一の製造力」と「消費の脆さ」という二面性を持つ市場であると認識すべき。

後記

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