【米国株式週間レビュー 6/30~7/4】S&P500は連日の最高値更新、雇用統計と関税交渉が交差する夏相場

投資

7月第1週は、アメリカ独立記念日前の短縮取引週ながらも、株式市場は大きく動きました。
S&P500は史上最高値を連日で更新し、一方で金利と為替は雇用統計や通商交渉の影響を受けて振れ幅の大きい展開になりました。
この記事では、米国市場の主要な動向とその背景を初心者にも分かりやすく整理し、今後の展望を長期投資家目線で解説します。

概要&マクロ

株式市場:S&P500は4営業日中3日で最高値を更新、6279pt(+0.83%)で終了。ナスダックも同様に強く、テクノロジー主導の上昇が目立ちました。

金利動向:7/3発表の雇用統計が予想を上回ったことで、利下げ観測は一気に後退。10年債利回りは4.34%へ上昇し、2年債も急反発。

為替市場:ドル円は一時145円台へ。強い雇用統計と金利上昇によりドル高・円安が進行。

マクロ要因:

トランプ政権によるベトナムとの関税合意発表

上乗せ関税(7月9日失効予定)を巡る懸念

雇用統計では民間雇用の伸びが鈍化する一方、公的部門の雇用が大きく伸長し、想定より良い数字となりました。

セクターの状況

上昇セクター:テクノロジー、エネルギー

下落セクター:公益事業、ヘルスケア

景気関連指標が想定より良かったことで、景気敏感(シクリカル)系セクターが堅調でした。

特筆すべきは、量子コンピュータ関連株やエネルギー(太陽光・石炭)株の急騰。背景には税制政策や地政学リスクの緩和が背景にあると考えられます。

個別銘柄の状況

市場全体が好調であったこともあり、グリーンでハイライトした銘柄はこの短い週の中で、All Time Highと引け値ベースの最高値を更新しています。

ネットフリックス(NFLX)はAll Time Highと引け値ベースの最高値を更新した後、利食い売りにあっているようですが、JP モルガン(JPM)、エヌビディア(NVDA)は依然騰勢を保っているように見えます。

FRBの年次のストレステストを通過した銀行株が、吹っ切れたように上昇をしています。この動きは地方銀行などにも波及しているようです。目先、銀行株は堅調な動きが期待されます。

今後の見通し(短期・中期・長期)

【短期(~7月中旬)】
雇用統計の上振れにより、7月FOMCでの利下げ観測はほぼ消失。利下げ期待は9月以降にずれ込みました。

地政学的リスクの低下(イラン・イスラエルの12日間戦争の終結見込み、ガザでの停戦協議再開)は、原油市場のボラティリティを抑え、リスクオンの支えに。

ただし、7月9日に失効予定の対中関税の一時停止措置が延長されない可能性が高く、報復関税や米中関係再緊張のリスクが残っています。

こうしたなか、市場は7月中旬のCPI・PPI、企業決算シーズンのスタートに向けて慎重な姿勢を保つことが予想されます。

【中期(2025年内)】
On Big Beautiful Act(OBBA)の議会通過により、巨額の減税と歳出拡大が見込まれます。これにより、

金利上昇圧力(≒国債増発)

インフレ再加速懸念

為替市場でのドル高圧力
が強まる可能性があります。

一方で、通商交渉は対ベトナム合意成立など一定の進展はあるものの、中国・日本との摩擦は未解消。企業のサプライチェーン対応や輸出入コストの上昇が業績に影を落とすリスクは残ります。

投資家のセンチメントは良好ながら、バリュエーション面では「やや過熱」感が出始めており、一時的な調整局面への備えが必要です。

【長期(2026年以降)】
・金融政策の正常化が進む一方で、構造的な財政赤字の拡大と金利水準の上昇が、米国経済の制約要因となり得ます。

・一方で、AI、量子コンピューティング、再生可能エネルギー、バイオテクノロジー分野などの成長産業への構造的な資金シフトは継続

地政学的緊張の沈静化が続けば、エネルギー・資源価格の安定やグローバル資本の流動性が回復し、米株への資金流入基調が強まりやすい環境となるでしょう。

ただし、トランプ政権の不確実な通商政策(関税、規制、制裁)の継続的な変動性は、グローバル経済全体において「構造的リスク」として織り込まれ続けることになります。

🔍 投資家へのメッセージ(長期視点から)
これらの材料は一見、方向性がバラバラに見えますが、市場にとって最も重要なのは「不確実性の管理」です。金利・関税・地政学・財政――それぞれの要素が市場を押し引きしながらも、長期投資家にとってのチャンスは、こうした不確実性が価格に織り込まれる過程そのものに存在します。

引き続き、分散された資産配分と、シナリオ分析に基づく柔軟なポートフォリオ戦略が鍵となります。

後記

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