■ はじめに
最近よく耳にするのが「プライベート・エクイティ(PE)」や「非流動性資産」という言葉です。
かつては超富裕層や機関投資家しか手を出せなかったものが、今では「民主化」と称して、私たち一般投資家にも広がりつつあります。
「高いリターンが期待できます」「市場の乱高下に左右されません」――こうした宣伝文句は、確かに魅力的に聞こえます。
でも、その裏にはしっかり理解しておかないと危ない落とし穴があります。
■ 非流動性資産とは?
非流動性資産とは、すぐに売買できない投資対象のことです。
例えば、未上場企業に投資するPEファンドや不動産ファンドなどが典型例です。
株やETFならクリックひとつで売買できますが、非流動性資産は「換金したい」と思っても数年単位で資金を拘束されることがあります。
この「身動きの取れなさ」が“非流動性”の正体です。
■ なぜ人気なのか?
ファンド側(運用者=GP)がアピールするのは次のような点です。
高いリターン:過去の実績では株式市場を上回るケースもある
市場のボラティリティから隔離される:毎日の株価変動に一喜一憂せずに済む
分散投資の一環:株や債券以外の資産に投資できる
確かに魅力的です。しかし、ここに「見かけ上の安心感」が含まれていることに注意が必要です。
■ 実際のリスクは?
リターンの低下傾向
資金が世界中から集まりすぎて、買収価格が高騰。結果としてリターンは昔ほど出にくくなっています。
加えて、上場株市場がここ何年も非常に高いリターンを上げています。非流動性資産の市場は「非流動性」リスクを取るので、その分がプレミアムが上乗せされるとされていましたが、実際には上場株市場のリターンの方が高いことも珍しくない状況です。
換金できないリスク
投資期間中は基本的に資金を引き出せません。「急にお金が必要になった」ときに困る可能性があります。
見かけ上の安定性
上場株のように毎日価格がつかないので、変動が見えません。
でもこれは「安定している」のではなく、「評価されていないだけ」。本当は景気や金利の影響を大きく受けます。
詐欺的商品も混じる恐れ
「非流動性だから本当の価値が分からない」という構造は、悪意ある業者にとって格好の舞台。
高いリターンをうたいながら、実態は極めて怪しいファンドも存在します。
■ 個人投資家が気をつけるべきこと
「高リターン」「市場に左右されない」という言葉だけに飛びつかない
流動性(いつでも売れるかどうか)を冷静に確認する
仕組みが分からない商品には投資しない
特に個人向けに小口販売されるファンドは、透明性や規制面を慎重にチェックする
■ まとめ
「非流動性資産の民主化」という言葉は、一見するとポジティブに聞こえます。
しかし実態は、「プロがやるから成り立つ投資手法を、個人投資家にも売り出している」という構図でもあります。
私たち個人投資家にとって大切なのは、「見かけに騙されないこと」。
本当に資産形成に役立つのか?それともリスクに見合わない商品なのか?を、自分の目で見極める姿勢が必要です。
投資の世界では、「知らないものに手を出さない」という基本ルールが、結局は一番のリスク管理になります。
コメント