【米国株式週間アップデート】ゴルディロックス再来? 2024年12月7日

投資

12/2~12/6のNY株式市場は引続き、上昇トレンドが続き、S&P500は今年57回目の最高値更新となりました。

感謝祭が終わり、クリスマス~新年とホリデーシーズンに入ってきたこともあり、世の中、ちょっと浮かれています。ゴルディロック再来のように感じているようです。

概要&マクロ

最初のテーブルで、グリーンでハイライトされているS&P500、NASDAQ、NASDAQ100は金曜日に最高値を更新しました。NYダウは、12月4日(水)に最高値を更新しましたが、木・金と下げてしまいました。

先週および先月に絶好調だった小型株指数のRussell2000は、NYダウと同様に下げて週を終えています。

業績発表の大きな山を越えたこともあり、市場の関心の中心は、12月17・18日のFOMCで追加利下げがあるかどうかになっています。経済指標が発表されるたびに推測ゲームで大きく上下に振れていいる感じです。

12月6日(金)に発表された雇用統計は、非農業部門雇用者数は予想以上に増加した一方で、失業率が若干の上昇。そして、ミシガン大学の消費者信頼感指数は予想より強い数字で発表されています。

雇用市場が若干緩みつつある一方で、景気そのものは適度に強い、というゴルディロックス的な状況になっており、市場にとって非常に良い環境になっているとの解釈をする市場参加者が増えてきています。

ゴルディロックス=熱すぎず、冷えすぎず、ちょうど良い状態。童話のゴルディロックスの話から

一方で、市場が先走っていることもあり、FRBの高官は、インフレがまだまだ高く、金利引き下げの速度を遅くしても良いのではないか、といったニュアンスの発言をしています。

セクターの状況

ゴルディロックス再来の見方もあり、グロース株が市場を牽引した形です。シクリカルやディフェンシブはミックスです。

市場はイケイケモードに入ってきています。この雰囲気に日本の投資家は、なかなかついて行けません。ただ、米国市場では、時々このようなことが起きます。反転した時も一気に下落するので、注意も必要です。

個別株の状況

ブルーでハイライトした銘柄はこの週にAll Time Highと引け値ベースの最高値を更新した銘柄です。

こんなにたくさんあります。

先週もグリーンでハイライトされていた、アマゾン(AMZN)、ネットフリックス(NFLX)などは継続して上昇しています。

注目は、ユナイテッド航空(UAL)かなと。めでたく、2018年11月に付けたAll Time Highをついに更新することが出来ました。同じエアラインでもアメリカン航空(AAL)がAll Time Highにはるかに及んでいないのを見ると、シクリカルでもかなり差が出ていると言えます。

銘柄関連では、ちょっと驚きと悲しいニュースがありました。ユナイテッドヘルスグループ(UNH。NYダウ採用銘柄)の保険部門のCEOが、投資家デーの朝、会場であるヒルトン・ミッドタウン・ホテルでタクシーを降りたところで銃殺されてしまいました。

犯人はまだ捕まっていないようです。何が理由かは分かりません。保険部門はUNHの旗艦部門でもあるので、それを率いるCEOの突然の訃報で株価も10%下落しています。

早く解決することを祈るばかりです。

今後の見通し

ゴルディロックス的な市場環境のように見えます。

従って、NASDAQ(あるいはNASDAQ100)を中心に、まだ上昇を続ける可能性は十分あります。

ただ、それに乗り切れない懸念材料もあります。

それは、市場がかなり強気に傾いていることです。過去にも何度かお伝えしましたが、強気に市場が傾き過ぎると、反転も起きやすい。

強気への傾斜が強ければ強いほど、反転の大きさも大きくなります。

相場格言の「山高ければ、谷深し」ですね。

これは、私が日次でトラックしている市場心理に係る指標です。Bull/Bearは週次、Margin Debtは月次です。

VIX=S&P500のボラティリティの先物で、市場が大きく下落するとこれが急上昇します。そのため、恐怖指数とも呼ばれています。通常は15~20の間くらいが理論的には平常と言って良い水準かと思います。

昨日これが12.77でした。これは、市場が下落をほとんど警戒していない状況に近い。この水準は、7月半ば以来のものです。

7月はその後、グロース株が大きく売られ、そして8月初の大きな下落(短期的でしたが)につながりました。

この水準になったからダメということではないですが、警戒をした方が良い水準です。

Investor Intelligence社が週次で発表しているBull/Bear指数です。投資家向けニュースレターの筆者が強気(Bull)か弱気(Bear)かを調査しているものです。

Bullが60%を越えてくると要警戒水準に入ります。状況によっては、この状態がかなり長く続くこともあるので、上のVIX同様、必ず下落しますとは言えないものですが、過度に強気に傾くと下落しやすくなるのも確かです。

この週の上昇は、グロース銘柄中心の上昇でした。

また、S&P500に限って言えば、指数自体は上昇しているものの、騰落銘柄数を見ると、下落銘柄の方が多い。これはあまり良い兆候ではありません。

目先の市場環境は悪くないですが、警戒も必要かなと思っています。

警戒しつつ強気継続」です。

後記

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