この週(2/9~2/13)は週初にNYダウが最高値を二日連続で更新したのち、このブログでフォローしている主要指数はすべて下落した週になってしまいました。
NASDAQ、NASDAQ100に至っては、これで5週連続のマイナス週が続いています。
概要&マクロ


上でも述べましたが、2/9・2/10にNYダウは最高値を更新しています。
2/9〜2/13の米国株は、「AIが“ソフトウェア内”に留まらず、実体経済のビジネスモデルまで崩し得る」という連想が広がり、リスク選好が急速に冷えました。
結果、主要指数は週次で下落。S&P500 -1.44%、NYダウ -1.32%、NASDAQ -1.88%、Russell2000 -2.04%。金曜はインフレ指標を受けて下げ渋りましたが、週足ではマイナスで着地です。
金利面では「強い雇用→利下げ後退」と「インフレ沈静化→利下げ期待復活」が、週の中で綱引き。
雇用統計(1月分)は非農業部門雇用者数が+13万人と予想を上回り、金利は上方向に反応しやすい地合いを作りました。
一方で、1月CPIは総合が前月比+0.2%と市場予想を下回り(コアは+0.3%)、金利は低下方向へ。
下げ観測(6月利下げ確率)がデータ後に上振れる場面もあり、株も一瞬リスクオンへ戻りかけた、というのが週後半の流れです。
ここに“センチメントの急変”が乗りました。AI由来の懸念は、決算の良し悪しよりも速く「連想」で広がります。
さらに、統計が遅れたり歪んだりし得る局面(data fog)では、投資家は 「自信を持ってリスクを取りづらい」→「少しの材料で両極に振れやすい」。強気に傾きかけたところで一気に警戒へ、という“反転の速さ”は、この構造と整合的です。
セクターの状況:AIの破壊の連想が物流・ソフトウェアを直撃

金利が大きく上下したことが金融にはマイナスとなったようです。荒れた市場で「リスク・オフ」モードが比較的強かったこともあり、グロースセクターが振るわず、ディフェンシブ>シクリカル>グロースという状況になっていたと言って良いかと思います。
今週のキーワードは、「AI fear trade(AIが既存収益源を壊す恐れ)」。先週のAnthropic関連の衝撃が尾を引き、ソフトウェア/ITに“まず疑いの目”が向きやすい状態が継続しました。
一方で、指数全体は下落でも、ディフェンシブ(公益・不動産など)が相対的に底堅い場面がありました。これは、金利低下とリスクオフが同時に来る局面で起きやすい典型的な動きです。
そして今週の“象徴的イベント”が物流・トラック業界。AIツールの発表が引き金となり、業界株が急落し、Russell 3000 Trucking Indexが下落するなど、AI懸念が「SaaS→実体経済」へ波及する形を市場に見せつけました。
個別銘柄の状況

緑でハイライトした銘柄、ジョンソンエンドジョンソン(JNJ)、キャタピラー(CAT)、ディアー(DE)は、この週にAll Time Highと引け値ベースの最高値を更新しています。
グレーでハイライトした銘柄は、この週に52週(すなわち過去1年)の最安値を更新した銘柄です。ネットフリックス(NFLX)とセールス・フォース(CRM)が52週の最安値を更新してしまいました。
今週は、前週のAnthropicショックに続き、Algorhythm(アルゴリズム)ショックとも言えるものが発生しています。
物流(CH Robinsonなど):AIが“中抜き”する恐怖
AlgorhythmによるAI物流ツールの発表が材料となり、C.H. Robinson Worldwide(CHRW)など物流・ブローカー株が大きく売られました。論点は「既存の仲介・配車・最適化の価値が、AIで急激に薄まるのでは」という一点です。
ここは“事実確認”より“想像力”が株価を動かす領域で、行き過ぎやすい(=反動も速い)点が要注意です。
ソフトウェア:Anthropicショック継続
先週に続き、Anthropicの新ツール群が「ソフトウェア企業の価格決定力(席課金)を壊すのでは」という見方を強め、ソフトウェア周りの評価軸を揺らし続けました。
金・銀:値動きが“投機的”に見えやすい週
引き続き上下動の激しい動きはしているものの、前週ほどの動きではなくなっています。とはいえ、株式市場が崩れたときに安全資産として金などの貴金属も暗号通貨も退避先としての機能が大きく損なわれてしまった感じです。
通貨
(ここのところ動きが激しいので、一応コメントしておきます)
為替は、ドルが対主要通貨で軟化しやすい週でした。特に円は対ドルで週次+2.8%程度の上昇という報道もあり、“円だけ弱かった状態が、他通貨のドル売りにキャッチアップした”という見立てに整合します。
衆議院選挙の選挙運動中に、財政支出が増える(国債の増発)懸念で、円安圧力が強く円高に行きにくい状況が続いていました。選挙が自民圧勝となったことで、少し落ち着いた感があります。
これまでは単なる懸念で、債券市場が動き、それにつられて(金利の動きに反応して)為替は円安・ドル高圧力が弱まり、ドル安方向に動いています。

これはBloombergで作成したチャートです。過去6か月の動き
黒はドル円の動き(これは、上に動くと円安ドル高)、紫がユーロ・ドルの動き(これは上がユーロ高ドル安)、オレンジがポンド・ドル(これも上がポンド高ドル安です)。
ユーロもポンドも、過去六か月を見ると、ややドル高の後はドル安方向に動いています。一方で、円はドル高方向が続き、足元でようやくドル安に動き、ユーロ・ドル、ポンド・ドルの動きに近くなってきたという状況です。
日本の特殊な状況から円安圧力が続いていたが、円に関してはいったんユーロやポンドと同様に動きに戻ったうえで、高市政権の実際の政策の動きを観察しながら動くことになるかと思います。(それが最も合理的な推測かと思っています)
今後の見通し:市場が見ているのは「利下げ時期」より“どこが壊されるか”
来週以降の焦点は大きく2つです。
1.金利の方向:雇用は強め、インフレは鈍化――この組み合わせは「利下げを完全否定しないが、時期はデータ次第」を強めます。市場は6月利下げを再び織り込みやすくなっていますが、次の雇用・物価でまた簡単に揺れます。
2.AIの“破壊の範囲”:ソフトウェア→物流と波及したことで、次は「自社の収益源がAIに置換される業界はどこか?」が連想ゲームになりやすい。これは短期的にボラを上げます。
センチメントが急反転した意味
ポジションが軽い/確信が薄い:データの不透明感があると、強気に傾ききれず、逆回転も速い。
“物語(narrative)相場”:AIは数値より物語で値が飛ぶ。材料が出るたび、勝者/敗者の仮説が入れ替わりやすい。
長期投資家としての示唆:結論はシンプル、「慌てず、しかし観察は鋭く」
この局面で長期投資家がやるべきことは、基本は3つです。
1.コアは維持:短期の連想売りで“構造が壊れた”と断定しない(本当に壊れるのは、決算・契約・解約率に出てから)。
2.勝者の条件を更新:SaaSなら「席課金一本足」から、AI機能の“使用量課金・価値課金”へ移れるか。物流なら「人海戦術の最適化」から「データ+実行系(オペレーション)一体」へ移れるか。
3.ボラは味方にもなる:良い企業が“物語”で叩かれた時に、バリュエーション調整が起きる。分割買い・リバランスの好機になり得ます。
今週の相場は、AIがバラ色の未来だけでなく「破壊を伴う変化」だと改めて思い出させた週でした。
だからこそ、短期の値動きに反応して売買回転を上げるより、“どの業界の収益構造が、どの速度で置き換わるか”を観察し続けるのが、最終的に勝ちやすいです。
後記
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