概況
先週(9/11~9/15)のNY株式市場は、前週の弱い流れを引き継ぎ、週レベルでは2週連続の下落となりました。
市場は、来週9月19・20日のFOMCで、金利の据え置きを予想しつつも、利上げモードが想定より長く続くのではないか、との不安に支配され、PERの高い成長株系の銘柄を中心に軟調な展開。
金曜日(9/15)がトリプルウィッチングであったことも、取引量を大幅に増加させ、値動きを増幅させたとも言えそうです。
先週のイベントとしては、最大のものはCPIの発表でした。これは、若干のズレはあったものの、ほぼ予想通りの結果であり、大きなインパクトは無かったと見て良いかと思われる。
市場では、19・20日のFOMCでは、利上げは見送られるものの、インフレへの勝利・利上げモード終了の宣言はしない、との見方が強まっているとのこと。
インフレへの勝利・利上げモード終了の宣言を期待している人がいた、ということの方が、私には驚きでした。そんなことは、インフレが2%になるまで絶対に口にしないのではないか、と思う方が普通かなと思っていたので。
市場の中には、どこまでもWishful thinking(希望的観測)で物事を考える人が多いようです。痛い目に会いますよ。
このほかに、従前から期待されていたアップル(AAPL)がiPhone15を発表したことも一つのイベントでした。個別のニュースが市場のセンチメントに影響したとも言えます。
センチメントという意味では、ソフトバンク・グループ(9984)が、その傘下にあるARM Holdingsを上昇させたことも大きなニュースになりました。$51で値決めされ、初日は25%上昇して終了と、大型IPOでしたが、良い結果でスタートしました。
引続き、経済指標はミックスですが、利上げが景気の大きな後退をもたらすような感じではない、ということはプラスのようです。
引続き雇用は強く、また、自動車業界では、ビッグ3(フォード、GM、クライスラー)で労働組合が賃上げ要求で全米ストを決行しました。賃金の上昇圧力にもつながりかねず、ひいては、インフレの減速を弱める原因ともなりえるため、注視が必要な状況になっています。
まだまだ不安のたねは尽きず(基本的にこれがなくなることは決してありません)、市場は不安定な状況が続くものと考えます。
セクターの状況
指数レベルでは、S&P500、NASDAQが週レベルでは下落でしたが、S&P500をセクター別に見てみると、指数の下落の主な原因はテクノロジーにあるということのようです。
市場が不安定なせいか、ディフェンシブセクターであるユティリティが強かった。
原油先物市場が、サウジアラビアとロシアの減産継続で、需給関係がタイトになってきており、原油価格が上昇基調にあります。WTIでも$87.51で週を終えており。ジワジワと継続的に上昇を続けています。
両国の減産は年内続くとのことであり、その場合には、2007年以来の供給不足になるとのことでした(あのころ、ハイオクガソリンが1L200円を超えていたような。。。)。これも、インフレ懸念を強める要素になりかねません。
半導体セクターが軟調ですが、そんな中で、昨日台湾セミコンダクター(TSM)関連でのニュースが同セクターにマイナスの影響を及ぼしています。
個別株の状況
個別では、AAPLがiPhone15を発表しています。これは基本的にはポジティブなニュースですが、期待を大幅に上回るものではなかったので、噂で買って事実で売る、事実になった時点で一旦利食いという動きが出やすかったようです。
テスラ(TSLA)はモルガンスタンレーが、自動運転車に使われるAIが同社の企業価値を大きく増加させうるとして、目標株価を大きく引上げたこともあり、市場が軟調な中で、堅調に推移しました(1週間で+10.42%上昇)。
半導体関連では、TSMが、先進半導体製造装置の納入期限の延期を要請したとの噂(ロイター通信が事情に詳しい人の話として報道)が流れ、半導体製造装置や半導体にネガティブな影響を与えています。特に、先進半導体製造装置を手掛けているASMLや、先進半導体作っている(設計している)エヌビディア(NVDA)などにマイナスの影響が大きく出ています。
この噂の真偽は確認されていません。
市場が不安定な時は、ちょっとしたネガティブなニュースが株価に大きく影響します。これがフェイクであれば、良い買い場かもしれません。いずれにしても、実際はどうなのかの詳細を知りたいところです。
次の注目はFOMCになるかと思います。利下げがすぐに行われることはありません。利上げは見送られる公算が高いので、見送られてもプラスでもマイナスでもない。今回も利上げしたら、それは大きなネガティブサプライズになるので、市場は大きく下落する可能性があります。
利上げはしないとしてもプラスにはならないが、姿勢がどう変わっていくのかのヒントが得られるかどうかが市場の注目です。ただ、上でも述べたように市場に変な先入観を持たれてしまうこと自体が、政策の幅を狭めてしまうことになるので、下手なことは言わない、というのが普通だと思います。
したがって、FOMCはプラス材料にはおそらくならない。ただ、不安材料を一つこなしたということで、少し重荷が軽くなるかと思います。
もうしばらく軟調が続くと考えて対応していった方が賢明かと思います。
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