【米国株式週間アップデート】5月は順調でしたが、異なる展開の兆しで要警戒  2024年6月1日

投資

先週(5/28-5/31)のNY株式市場は、中小型のRussell2000指数を除き、主要指数は下落でしたが、5月を通してみると、酷かった4月に比べて市場の状況は大きく改善し、順調でした。2月に次ぐ順調な1か月であったと言えます。

Goldene Symbolfiguren auf Finanzzeitung

とはいえ、セクターローテーションと思われる、これまでとは異なる展開の兆し(物色の変化)も見えて来ているので、要警戒です。

市場全般・マクロ:

業績発表はまだ続いているものの、山は越えているので、市場の関心は再びマクロ環境、特にインフレの状況とそれによって想定されるFRBの金融政策の行方に集まっています。

市場に若干の安心感を与えたのが、金曜日に発表された個人消費支出(PCE)価格指数でした。この数値は、FRBがインフレを見る際に最も重要視していると言われているためです。

コアPCE価格指数(前月比): +0.2%(予想+0.3%、前月+0.3%)

コアPCE価格指数(前年比): +2.8%(予想+2.8%、前月+2.8%)

PCE価格指数(前月比): +0.3%(予想+0.3%、前月+0.3%)

PCE価格指数(前年比): +2.7%(予想+2.7%、前月+2.7%)

ほぼ予想通りで、コアの前月比が予想より低かった。インフレ指数が、予想通りもしくは予想より少し低い、というのはFRBの金利引き下げ期待が高まるものなので、市場からは好感されました。

この週は、米国の国債(財務省証券)の入札が不調であり、金利が上昇気味になっていたので、このPCE価格指数が発表された後は、債券への買いが入り、金利は低下しました。それでも10年金利が前週末より高いのは、週中で大きく上昇してしまったことによります。

これまでと異なる傾向(物色)が見られるという点は、二つ。

1.小型株が劣後を挽回しつつあるように見える

2.ハイテクが牽引するというマーケットの構造が変わりつつあるかもしれない

2番目の点については、セクターのところでお話します。

小型株(指数としては、Russell2000で見ています)が、先週はS&P500よりも上昇しています。

まだまだ年初来や、今四半期初来では大きく劣後しています。これは、金利の低下に対する期待の表れ(金利低下の恩恵は、小型株で大きい)と、5月中に一部で復活したミーム株の動きによる影響もあるかもしれません。

市場が安定的に上昇していくには、やはり小型株まで含めた上昇の広がりが欲しいので、良い兆候だと少し期待しています。

セクターの状況:セクターロテーションの始まり?

先週だけを見ると、テクノロジーが最も悪く(半導体の影響が大きい)、コミュニケーションなどグロース系セクターが不振です。

ディフェンシブ系とシクリカル系(景気敏感)が相対的に良い状況でした。

月次で見ると、まだまだ、半導体を含むテクノロジー、コミュニケーションなどがやはりとても良い状況であることはこれまで通りかと思います。

ただ、5月31日(金)の動きはテクノロジー、コミュニケーション、一般消費財サービスなどのグロース系セクターが下位を占め、それらのセクターからディフェンシブやシクリカルに資金は流れたように見えます。セクターロテーションの始まりか?とも言われています。

これは市場上昇の広がりとして悪くはないですが、先にハイテクセクターから資金が逃げてしまうと、市場に与えるインパクトもそれなりありますので、一時的に大きく下落する可能性も否定できないので、要警戒です。

最近よく話題になるセクターのユティリティ(電力・ガスなど)ですが、実はこのセクターの好調の影響は、ハイテク特にAIブームのおかげと言われています。

テック大手がデータセンターのAI対応化を進めています。この動きは、データセンターの電力消費量の増大を示唆します。この影響で、データセンターを抱える地域の電力会社株が買われています。

この電力問題は、今後も続くでしょう。そして、炭素燃料依存低下の動きも相まって、電力源ミックスをどう変えていくかなど、今後のイノベーションが大きく期待される分野でもあります。

債券の代わりくらいにしか考えられていなかった、詰まらない業界が今、とてもホットな業界になりつつあります。

個別株の状況:

決算で大きく上昇したエヌビディア(NVDA)は、その後も良いニュースが続き最高値を更新していますが、米国政府が、最先端GPU製品の中東への輸出許可を遅らせているとのニュースをきっかけに利食い売りなども出て、木金で下げています。

NVDAは、時価総額が世界第3位(米国2位)のアップル(AAPL)に肉薄してきています。(AAPLが不調であることも相まって)

マグニフィセント7では、NVDAとAAPLのみが上昇で他は下落です。こうした動きも、上で述べたセクターロテーションの始まりか?という予想の根拠になっているようです。

決算絡みでセールスフォース(CRM、ダウ採用銘柄)やアメリカン航空(AAL)などが大きく下落しています。

今後の見通し

FRB高官の発言はまだまだマチマチですが、インフレが落ち着きつつあることは期待して良さそうです。過度な期待は禁物ですが、金利低下方向を期待しても良いと思っています。

PCE価格指数が良い方向の動きでした。来週(6/3~6/7)は、6/7(金)に雇用統計が発表されます。これが予想より雇用市場が落ち着いてきているという数字が出れば、債券が買われて金利が低下、株式市場にも好影響を与えるかと思います。

一方、予想より強いとインフレ再加熱の懸念が出てしまう可能性もあります。(これは債券市場・株式市場にとってネガティブです)

今週末、台湾で行われるイベントで、AI関連の多くの企業(NVDAを含む)のCEOが登壇するとのこと。どのような内容の話になるのか楽しみです。

半導体の世界は、ファブレスのNVDAのCEO、AMDのCEOはともに台湾系アメリカ人、ファンドリーで世界最大なのは、台湾セミコンダクターです。半導体セクターは台湾が牛耳っている感じです。

この辺りにも、安全保障絡みの動きが影響する要素はあるかもしれません。

後記

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