【米国株式週間アップデート】潮目は変わるのか? 2024年7月13日

投資

皆様、ご無沙汰しております。

2週続けて週末を不在にしていたため、3週間ぶりのアップデートです。

この1週間のNY市場を俯瞰します。NY株式市場は、この1週間は、動きは大きかったものの、結果としてはあまり前週末から変わっていません。

その中でこれまでとは少し異なる動きが見えているので、今回のタイトルは「潮目は変わるのか?」としました。

市場全体&マクロ:超大型銘柄から中小型へシフト?

雇用統計・CPI・PPIなどの経済指標の発表、FRBパウエル議長の議会証言など金利の先行きを左右するイベントが続き、9月利下げ開始を予想する向きが増える状況にありました。

債券市場でもその傾向は出ており、金利は10年金利が4.28%→4.18%に低下、2年金利が4.60%→4.45%と大きく低下しています。

こうした背景を受けて、S&P500、NASDAQ100は7/10(水)まで6取引日連続で、NASDAQは同じく7/10(水)まで7取引日連続で最高値を更新しました。

表面的には悪くないのですが、指数の上昇が超大型グロース銘柄によるもので、市場全体としては下落銘柄が多いなど、あまり良い市場の状況ではありませんでした。

11日(木)にS&P500、NASDAQ、NASDAQ100は大きく下落し、最高値更新はストップしました。

この日、大型株指数が大きくする中で、小型株指数であるRussell2000は+3.57%と大きく上昇しています。

そして、この1週間を見ても(上のテーブル)、Russell2000は、主要指数がフラットに近い中で、+6%と極端に大きく上昇しています。

また、上昇銘柄の広がりも大きく変わってきています。10日間の騰落率(10日間の上昇銘柄数合計÷10日間の下落銘柄数)で見ると、上昇を続けていた7/9には、1を越えていた(即ち上昇銘柄の方が多い)のは、NASDAQ100だけで、しかも1.03という僅かに上昇銘柄の方が多い状況。

一部の大型銘柄の影響で指数が動いていることがよく分かります。

ところが、大きく下落した7/11(木)は、実は上昇銘柄の数の方が下落銘柄数より圧倒的に多かった。S&P500で見ると、指数は-0.88%の下落ですが、上昇銘柄399に対し、下落銘柄102でした。

NASDAQに至っては、指数は-1.95%の下落ですが、上昇銘柄2468銘柄に対して、下落は732銘柄です。

小型株の復活(の可能性)と、こうした多くの銘柄の上昇(Market Breadthと呼びます。この広がり)は、これまでとは異なる動きです。

これまで出遅れていたダウ平均も、最高値を更新できませんでしたが、5月17日以来の4万越えで終えています。S&P500やNASDAQよりもダウの方が成績が良い週は久々です。

市場の上昇継続のためには、こうした動きが必要になります。セクターのところでも少し異なる動きが見えてきています。

潮目が本当に変わったのかどうかは、だいぶ先に行ってからでないと断定は籍ませんが、その可能性を感じさせる状況にはなってきています。

為替についても触れておきましょう

円安が進んで1ドル161円台後半まで行きました。その中で、実は、ドルはユーロやポンドに対しては弱含んでいました。ドル円だけがドル高方向という少し歪な動きになっていました。

週末157円台までドルが下落、円が買われましたが、この歪さの修正と見ても良いくらいかと思います。介入があったかどうかはしりませんが、介入したとすれば、インフレ指標が弱めに出て、ドルが売られやすい時だったので、効果的ではあったかと思います。

しかし、介入無しでも円高方向へ動く可能性はあったかと思うので、介入の必要があったのかなと思います。為替介入は一時的なスピード調整しかできないので、そもそもしなければいいのにと思っています。

セクターの状況:

この1週間のセクター別のパフォーマンスのランキングでは。REIT(不動産)、ユティリティなど金利に敏感なセクターが上位を占め、そしてその次が景気敏感系です。グロース系セクターはいま一つです。

コミュニケーションは大きく下落していますし、上昇したテクノロジーでも0.51%程度にとどまっています。

こうしたセクターロテーション的な動き、まだ一時的なもので、本格的な動きかどうかは分からないものの、もしかしたら潮目が変わるポイントに到達しつつあるのかもしれない、と思わせるような状況にはなってきています。

個別株の状況:広がりを見せるか?

前回(3週間前)の投稿では、上がっているけど、結局マグニフィセント7だけか、というコメントを残しましたが、今回は少し違うコメントになっています。

マグニフィセント7の中では、アップル(AAPL)はAll Time Highと引け値ベースの最高値を更新しており、そのうえで、この週も上昇で終えています。時価総額トップに返り咲いています。その理由が若干納得感はないのですが。。。

アマゾン(AMZN)も、この週にAll Time Highと引け値ベース最高値を更新しましたが、週ベースでは、マイナスとなっています。

コミュニケーションセクターのメタ(META)とアルファベット(GOOGL)は、All Time Highを更新しましたが引け値ベースでの最高値は更新できず、かつ週ベースとしては大きな下落となっています。

JPモルガン(JPM)は、金利低下の恩恵を受け、決算への期待もあり、All Time Highと引け値ベース最高値を更新しましたが、金曜日の決算発表後は必ずしも市場の期待に副うものではなかったようです。

ここには掲載していませんが、金曜日にS&P500の中で最も上昇したのが、自動車メーカーのフォード(F)でした。この銘柄が話題になることすらなかったので、ちょっと驚きました。

これも、潮目の変化を感じさせる兆候の一つかもしれません。

今後の見通し:微妙です

明確にセクターロテーションなり、マーケットリーダーの交代が行われたとは言えない中で、来週以降、第2四半期の業績発表が本格化します。

特にAI・半導体関連を含む大型テクノロジーの業績は、期待感が非常に高いので、期待に満たないと大きく下落するきっかけになり兼ねない。

逆に、期待を越える業績が引き続き発表されるようであれば、もうしばらくは、大きく下落することもなく上昇し続ける可能性もあります。

まずは、来週発表されるASMLと台湾セミコンダクターに注目ですかね。市場への影響度はそれなりにあるかと思います。

後記

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