【米国株式週間アップデート】インフレ期待の動きとAIで動いた1週間 2024年5月25日

投資

5/20~5/24の週は、インフレ期待とそれに伴う金融政策の動向への期待、そしてAI関連の業績発表で動いた1週間でした。

市場全体・マクロ

この週の最大のイベントはAI投資テーマの現在の中心にある半導体メーカーのエヌビディア(NVDA)の決算でした。今後のAI投資テーマにとって、米国の株式市場にとっても、そして世界の株式市場にとっても、とても重要な業績発表として注目されていました。

一企業の業績がこれだけ注目され、世界中の株式市場の方向性に影響を与えるようなことはかつてなかったような出来事でした。

結果としては、NVDAは予想を上回る非常に強い業績発表と今期の業績予想のガイダンスも市場予想を上回るものでした。(22日水曜日の引け後の発表)

NASDAQ、NASDAQ100はNVDAを中心にテクノロジーの好調のおかげで、最高値を更新し、5週連続の上昇となりました。

NVDAは大きく上昇しましたが、他のAI関連銘柄が必ずしも上昇した訳ではなく、また、NVDAの決算以上にマクロ環境の影響で、必ずしも市場全体が好転した訳ではありませんでした。

5月のPMI(速報値)が大きく上昇したことなどで、インフレ再加速懸念が浮上し、市場全体を押し下げたことで、S&P500やNYダウは下落した週で終わりました。

上の二つ目のテーブルを見ていただけると分かりますが、10年金利はあまり動いていないですが、2年金利は上昇しています。結果として、為替もドル高方向です。ただ、このドル高方向というのも、ドル・円為替だけで、ドル・ユーロ、ドル・ポンドでは、ドル安方向に動いている状況です。

金利が高止まりしていることで、金は久々に大きく下落しています。金利が低下し、ドル安方向に動くと、金は再び上昇に動くかと思います。

セクターの状況:IT系以外はすべてマイナス

週を通してみると、テクノロジーとコミュニケーションのみがプラスであとはすべてマイナスでした。

金利の影響を受けやすいセクターが特に大きく下落した感じです。

テクノロジーが飛びぬけて良いのは、半導体セクター、その中でもNVDAの影響によるところがほとんどかと思います。

そういう意味では、NASDAQも最高値を更新したとはいえ、もろ手を上げて喜べる状況でもない感じです。

個別株の状況:NVDA一人勝ち

全体としてはあまり良いとも言えない市場で、牽引役となったNVDAはなんと1週間で15%を越える上昇で、もちろんAll Time Highと引け値ベース最高値を更新しています。

スーパーな業績発表に加えて、1株を10株に株式分割すること(6月7日の引け後に実施されます)と、配当の大幅引き上げ(+150%。もともと僅かでしたが)が発表されています。

株価が$1000を越えてきたので、株式分割によって一株当たりの株価が$100台になるので、心理的に買いやすくなり、プラス材料となる可能性があります。(経済合理性は全くないですが)

アップル(AAPL)が年初来では大きくマイナスですが、5月に入ってからかなり回復してきているように見えます。S&P500やNYダウが上昇し続けるには、こうした超大型銘柄の回復が重要になって来ます。

今後の見通し:次の牽引役はどこに来るか?

AIは、NVDAのジェンスン・ファンCEOが業績発表時の資料で次のようにコメントしています。

「次の産業革命が始まった。」「AIは、ほぼ全ての産業に大幅な生産性向上をもたらし、企業のコスト効率とエネルギー効率の改善および収益機会の拡大に役立つだろう。」

これは間違いないと思っています。「AIが世界を変える」という投資テーマはまだしばらく続く投資テーマだと思っています。

今はまず、AIを走らせるにはまずはハードウェアが必要で、そのハードウェアの世界ではNVDAのGPUが最先端であり、これがないと始まらない、という状況なので、NVDA一人勝ちの状況になっています。

次の段階がいつから始まるかは分かりませんが、次はAIを使って如何に儲けるかの段階に入っていきます。

マイクロソフト(MSFT)、アルファベット(GOOGL)、メタ(META)、アップル(AAPL)などのテクノロジーの最大手がまずその分野で先行しています。とはいえ、AIで儲けているという感じにはなっていません。

OpenAIが上場すれば、これはAIのPure Playになると思うが、まだまだ何が出てくるのか、そしてどこが勝ち組になるのかは未知数です。株投資の面白いところです。

インターネットの出現から普及までの時のような、様々な企業の興亡が見られるかと思います。ワクワクドキドキです。

来週は、月曜日がメモリアル・デーで休場ですが、FRBのベージュブックとPCEインフレデータの発表があります。

業績発表がほぼ一巡しているので、再び、インフレ・金利の先行き(利下げはいつから?)を巡る思惑で市場は動きそうです。

後記

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