全体観
先週(7/31~8/4)の米国株式市場は、7月末を比較的良い状況で終えたものの、8月に入ってから、神経質になってきています。
これまで、比較的順調に上昇してきていますので、神経質な動きで、利食いなどが進む中で、大きく下げずに済めば、反転上昇もしやすくなるかと思います。状況を見守る時期かと思います。
年初来の数字を見れば、これまでのところ今年が如何に良い相場であるかが分かるかと思います。NASDAQ、NASDAQ100はもちろんのこと、一番低いNYダウでも5.79%の上昇です。長期のリターン平均からすれば、7カ月でこの数字は悪くない。
米国国債の格下げ
Fitchによる米国債の格下げ(AAA→AA+)により、主要3格付け機関のうちAAAを付けているのがムーディーズだけとなった。格付けが分かれている場合は、平均を取るということになっていますので、S&PとFitchがAA+のため、AAA格としての扱いを失いました。AAAだけを投資対象としているファンドなどは、米国債券を売却せざるを得なくなります。
とはいえ、最大の債券発行国である米国を外してしまったら、そもそもポートフォリオとして成り立たないので、ガイドラインを変更するような形で売らずに済ませると言うことになるかと思います。また、米国政府が返済不能になることは考えづらいので、気にする必要はないかと思います。(これについてはバフェットも気にする必要なし、とコメントしています)
今回の米国債の格付け引き下げの理由としては、米国政府が国債の発行量を増やすという計画を発表したことを契機としています。即ち、財政規律が緩くなったことで、今後も更に国債発行量が増えることへの懸念です。
日本は、とっくの昔に同じ理由で格下げされています。
業績のばらつき
もうひとつ、市場が神経質になっている要因の一つは、これがより大きいのではないかと思うのですが、業績のばらつきが大きいことかと思います。(個別株については、後述します)
中長期的には、上昇トレンドを維持していますが、短期的には警戒ゾーンに入っているかと思います。
現時点で、21日移動平均線を確保しているのは、NYダウと小型株のRussell2000です。S&P500とNASDAQ、NASDAQ100は21日移動平均線を下回ってしまっています。目先は警戒を要するかと思います。
セクターの状況
OPEC+の主導的立場にあるサウジアラビアとロシアが減産を1か月延長すると表明したことなどもあり、原油価格は6週連続で上昇しています。(米国において夏場の需要が伸び悩んでいるという話も出てはいるのですが)
金利が急上昇し、短期金利よりも長期金利の上昇の方が大きい(スティープ化)という状況は、金融機関にとって有利(逆ザヤの状況が改善方向)であることもあり、金融が相対的に強い。その一方で、金利の上昇と、商業用不動産の不振などがささやかれているREITセクターは売られています。
主要銘柄の動き
建機のキャタピラー(CAT)、ホテルのハイアット・ホテルズ(H)、マリオット・インターナショナル(MAR)は、All Time Highと引け値ベース最高値を更新しました。CATとMARは週を通じて上昇でしたが、Hは大きく下落してしまいました。
期待が大きい銘柄の業績もマチマチです。先週、目立ったところでは、やはり失望決算のアップル(AAPL)と好決算のアマゾン(AMZN)。
AAPLは弱い決算と見通しで、金曜日に-4.7%、週で-7.07%の下落です。3兆ドル時価総額の、インデックス最大ウェイトのAAPLがこれだけ落ちたら、インデックスは下落しやすい。AAPLは金曜日の下げで、時価総額で3兆ドルを割り込んでしまいました。
その一方で、アマゾンは予想を上回る決算で、金曜日には、+8.27%と大きく上昇しています。時価総額の1日の増加としては、史上最大とのことです。こんなに大きな株が+8.27%も上昇したというのは、凄いです。
来週は、10日(木)にCPI、11日(金)にPPIが発表されます。業績発表はまだ少し続きます。来週で概ねずれますが、その後、決算期のズレている小売り業や、今のマーケットリーダーの一つであるエヌビディア(NVDA)なども決算を発表していきます。
今週(8/7-8/11)の決算発表
終わりに
毎日非常に暑い(猛暑日も)状況が続いている東京です。台風が迷走している沖縄や、前線の影響でやはり雨が続いている北海道の方、お気をつけください。
雨の降っていないところは、熱中症にお気をつけください。
昔は、北海道は梅雨がなく、夏は天気が良く爽やかなところ、という印象でしたが、最近はそうでもなくなってきているようです。気候変動の影響が着実に広がっているということかと。
できることから、少しずつ対策を実施していかないと、大変かなと。テクノロジーが進んでいるので、何とかなるかもしれませんが、コストその他を考えると、人間が、その暮らし方を変えるのが一番なのかなとも思います。
体調管理に留意し、元気にお過ごしください。
<推薦図書>抜粋
1.「サイコロジー・オブ・マネー 一生お金に困らない「富」のマインドセット」
2.「DIE WITH ZERO 人生が豊かになり過ぎる究極のルール」
3.「その後のとなりの億万長者 全米調査からわかった日本人にもできるミリオネアへの道」
4.「いつも『時間がない』あなたに 欠乏の行動経済学」
5.「お金で失敗しない人たちの賢い習慣と考え方」
6.「賢明なる投資家」
7.「バフェットからの手紙 第5版」
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