前週のFOMCの決定(50bpsの利下げ)とパウエル議長の発言、そしてドットプロット、これら3つの解釈で、前週は揺れましたが、この週(9/23~27)は落ち着きを取り戻し、先を見始めています。
市場全般&マクロ
9/27までの週においては、NYダウとS&P500が最高値を更新しています。FRBの金融政策の転換に関しては、いろいろな解釈がされましたが、最終的には、金融政策が高金利の維持から低下へ向けて転換がなされたこと、そして今回の利下げ幅が50bpsであったという事実を、まずは受け入れたということかと思います。
そのうえで、市場は、年内にあとどれだけ利下げをするかを予想しつつ債券市場も、株式市場も動いているように見えます。
年内あと2回FOMCがあり、あと75bps(50bps+25bps)の利下げを期待している、かなり貪欲な(あるいは景気に悲観的な)市場参加者もそれなりにいるようです。
従って、景気の減速がどの程度のものかを巡る思惑の変化で動いています。
発表された経済指標などを見ても、新規失業保険申請件数は予想より少なく(即ち、雇用市場の軟化はそれほどでもない)、PCE価格指数は予想通り、コア指数は予想より低く、個人消費支出は予想より少し弱い(景気の減速、インフレの鎮静化を示す)、その一方でミシガン大学消費者マインド指数は5か月ぶりの高水準になるなど、経済指標はミックスです。
今のような時期は、経済指標はミックスになりやすいですし、1か月の状況だけを見てもノイズが多いので、長期的なトレンドを見ていく必要があります。
そうした転換点でもあるので、金融政策も変わってきているのですから。
為替の話もしておきましょう。
上の2番目のテーブルを見てもお分かりのように、金利が前週末と比べてほぼ横ばい、景気懸念と供給懸念で原油価格は軟化、利下げ方向でFRBが動いていることから、金は最高値を更新しています。
最も目立った動きは為替です。(特にドル・円の為替)
米国が利下げ方向に動き始めている一方で、日本(日銀)が利上げ方向に動き始めているので、基本的方向としては、円高になりやすい環境かと思います。
日銀の動向が不透明ななかで、自民党の総裁選挙(次期総理大臣)が市場の思惑を左右していたようです。
有力候補と言われていた高市氏が、選挙戦の中で、利上げ方向に動きだしている日銀に対して牽制する発言をしていたことから、高市氏が総裁に選ばれると円安に進みやすいだろうという思惑が、27日(金)に向けて高まって行きました。選挙直前には146円台まで円は売られていました。
しかし、石破氏当選という結果になったとたんに、円高に進みました。
短期的にはこのような動きがいろいろあると思います。とはいえ、中期的には金利差の方向性から円高方向に向かいやすいかと思います。
どこまで行くかは、予想しがたいですが、以前のような110円台というのは、現時点では想定しにくいかなと思っています。
セクターの状況
半導体セクター(テクノロジーのサブセクター)が息を吹き返していることもあり、引き続きグロース系セクターとシクリカル系セクターのせめぎ合いが続いているかなという状況です。
マテリアルが最も好調だったのは、中国の幅広い景気対策の動き(金利の引き下げなど)による中国景気浮揚期待によるものかと思います。
ようやく中国が動き出す兆しが見え始めたかなと見えます。
個別銘柄の状況
9/27までの週では、メタ(META)、ネットフリックス(NFLX)、キャタピラー(CAT)がAll Time Highと引け値ベースでの最高値を更新しています。
今週グロースセクターが少し戻りかけたのは、半導体セクターが大きくプラスに動いていたことが背景にあったかと思います。
マイクロン・テクノロジー(MU)の好決算、そして、昔は今のエヌビディア(NVDA)のように持てはやされたインテル(INTC)が低迷から上昇に向けて動きだしたことなどがあったことによるかと思います。
これらによって、久しぶりにNVDAが大きく上昇しました。とはいえ、金曜日に中国政府が中国企業に対してNVDAの製品を買わないように、との通達を出したとのニュースで少し売られています。
アメリカ政府からは、中国に最先端の製品は売らないようにとの輸出制限を受けていますが、NVDAは中国向けように性能を少し落としたものを輸出していたようですが、中国側がそれをも禁止するような展開になっています。
NVDAの最先端のGPU無しでAIで米国を凌駕しようとするのは、なかなか厳しいのではないかなと想定します。中国政府は米国企業(CEOは台湾出身者ですしね)に中国のAIの命運を握られてしまうのが、それほど嫌なのか、あるいはNVDA並みの製品を内製化できる技術が既にあるということなのか。。。 どちらでしょう?
今後の見通し
スタンスは変わっていません。
短期的には大きく下落する局面もあり得るでしょうが、基本的には上昇トレンドに戻ったと見ています。
ただ、セクターの状況でもお話したように、明確なマーケットリーダーがグロースのままなのか、シクリカルがなるのかはまだ分かりません。
インデックス投資はどちらになってもインデックスの上昇は取り込めます。個別株投資は、選別を慎重に行う必要があるかと思います。
上でも少し話をしましたが、円からの投資の場合、為替の影響はそれなりに大きいので、ある程度は気にしておく必要があるかと思います。
超長期的には、その影響は小さくなると考えますが、円高の時に買えると、気分的には悪くない。為替ばかり見ていると、株式市場の上昇について行けない可能性もあります。
ベストのタイミングを狙おうとすると、何も出来ないことにもなりかねません。そのような場合は時間分散をする、その究極の形としてドルコスト平均法で市場タイミングを狙わないというのが、最終的には良い結果をもたらすと考えています。
後記
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