【特別講義】金利と債券 (1)

利上げ 投資

金融の世界を支配している力学の一つは、「金利」です。

株式投資は、投資先企業の収益が最大の関心事ではありますが、理論株価・公正価値など算出する上で、重要な役割を果たすのが、「金利」です。

株式相場

ニュースなどで、「金利低下観測が高まったので、株式市場が上昇した」と言った表現を聞いたことがあるかもしれません。

業績に関するニュースが無い時には、株式市場を動かしている要因の一つが「金利」になります。

金利を理解することで、株式市場の変動に惑わされることなく、長期的な視野に立って投資を行うことができるようになります。

「米国株式投資オンラインスクール」で、金利のお話をするのに違和感を覚える方もいらっしゃるかもしれませんが、上で述べたような理由から、「金利」を理解してより深く株式投資を理解し、成果を上げて行っていただきたいからです。

では、始めていきたいと思います。

債券投資の基礎

債券投資の基礎ということで、私が過去にセミナーでお話した内容をまとめたものです。

基礎とは言いながら、難しい部分も出てくるかと思います。

数学的な考え方も必要になってきます。

株式投資で使う数学と言えば、まあ「統計と確率」と言ったところです(文系の人が社会に出て最も重要だと思われる数学の分野)が、もう少し数学を使います。

とはいえ、高度な数学というよりは、四則演算で概ね間に合います。そのあたりも少し分かりやすく解説していきたいと思います。

「金利をベースに体系づけられている」というのは、どういうことか?

投資というのは、投資家が今あるお金を貸す(融資もしくは債券投資)、あるいは企業の経営者に預託し(株式投資)をしすることからスタートします。

投資家は、今使えるお金を使わずに、貸すもしくは株を買うということで、使うのを我慢して、それがより大きくなって返ってくることを期待しています。

また、貸すもしくは株を買って、将来、必ず同額以上のお金が戻ってくる保証はない。そこでは、投資家がリスクを負っていることになります。

使うのを我慢すること=時間の価値と、ちゃんと返ってこないかもしれないリスクを取ってまで投資することへの対価の二つを満たすだけのリターンが必要になります。

我慢すること=時間の価値は、金利によって決定されます。

時間の価値

我慢することの対価が時間の価値であるということは、何となくご理解いただけたでしょうか?

次に、時間の価値について考えていきます。

上では、二つの時間の価値について述べています。

特定の個人が一定時間に生み出せる価値を測るための「時間の価値」は時給で測れる。

全ての人に共通のお金に内在する時間の価値というものを一つの共通の尺度として使おうとしたのが金利です。

今日の100万円と、1年後の100万円は同じか?違うとしたら、いくらなら同じと言えるか?

100万円を今日もらって、銀行に預けると1年後には金利が僅かですがついてきます。

極端な例ですが、もし1年の金利が5%だとしたら、今日の100万円は、1年後には105万円になります。

100万円→105万円

1年の金利が5%の世界では、今日の100万円と1年後の105万円が等価。

1年後の100万円と等価になる、今日の金額はいくらか?

100万円÷1.05=952,381円(少数未満四捨五入)となります。

この二つの時点間(話を単純化するために現在と未来の1時点)の価値を等価にする値が時間価値であり、金利です。

投資が未来を扱うものである以上、この時間価値=金利を無視することが出来ない、ということなのです。

先ほども説明しましたが、金利とは、以下のようなものだと考えれば良いです。

これらの考え方は、証券アナリストのための試験や、MBA(経営学修士号)の授業などで教えられているものです。

一方、実務的には金利というのは「お金の値段」というように捉えることもできます。

一定金額を調達するのに、どれだけの対価を払えば投資家は喜んでお金を出してくれるか、という観点から金利を見たものです。

今回はここまで。金利についての基礎的な理解をしてもらうためのものです。

次回は、金利を決めるメカニズムになっている債券の世界について説明していきます。

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