【米国株式週間レビュー】13日の金曜日は株式市場にも不吉でした 2023年10月14日

景気 投資

概況

先週末(10/6~10/8)まで出かけておりましたので、10/2~10/6のレビューはスキップさせていただきましたので、2週間ぶりのレビューです。

先週(10/9~10/13)の米国市場は、前週末の雇用統計が引き続き強かったことなどを引き金に金利(特に長期金利)が上昇したり、ハマスのイスラエルへの侵攻により戦争状態に入ってしまったことなど、大きなイベントのある中で、株式市場は上昇トレンドへの回帰かと思わせるような動きになりました。

しかし、イスラエルでの状況の深刻化が、大きな重しとなり、上昇トレンドへの回復は一旦挫折してしまった感じです。


想定より強かった雇用統計、想定より鎮静化が遅いインフレ指標、ハマスvsイスラエルの紛争と、市場にとっては基本的にネガティブイベント続きでしたが、前週が下落し続けていたことなどもあり、自律反転して木曜日までは堅調に推移しました。

その際のサポート材料になったのが、前週から週初にかけて、急激に上昇した金利(特に長期金利)のせいもあり、FRB高官から、これ以上の金利引上げは不要かも、といったハト派にも聞こえるコメントが出されたこと。

そんなことを言ったら、市場金利は一気に低下してしまうので、本当にそう思っているなら、なんでそんなコメント出すんだろうと個人的には疑念いっぱいです。

現時点では、金利の高い状況は夏に考えていた以上に長く続くと思った方が良さそうです。今、その先を予想して動くのはリスクがあるかなと思います。

特に、大きな不透明要因となっているのが、イスラエルの情勢です。イスラエル軍がハマスに対して地上軍を送るということのようなので、戦争状態に入ることがほぼ間違いない状況です。

これがイスラエルの中での局地的なもので終われば良いのですが、大幅にエスカレートし、イランやその他の国が参加するような事態になると、かなりヤバイ状況になります。

原油価格は$150くらいまで上昇し、世界のGDPは大きく落ち込むと推計されているようです。そうした悲観的な推計が発表され始めていることから、市場の不安心理が強まり、13日の金曜日には大きく下落することになったと思われます。

ただ、それ以前の上昇もMagnificent 7など大型成長株のみが上昇しているのに近い状況で、市場の健全性を示すBreadth(騰落比)は狭く、NASDAQでは10日間の騰落比(上昇銘柄/下落銘柄)は1以下(即ち、下落銘柄の方が多い状況)が続いています。

S&P500でも、徐々に低下し、13日の金曜日には1を割り込みました。市場全体の健全性が低く、力強い上昇ではなかったと解釈できます。

チャート的にも、21日移動平均線だけでなく、50日移動平均線も割り込むなど、一旦、上昇トレンドへの回復の試みは失敗に終わった可能性が高いような状況です。

テクニカルから見える市場の状況

テクニカルと言っても、とてもシンプルなものです。移動平均線で見ます。(短期:21日、中期:50日、長期:200日)

まず、S&P500

赤いラインが50日移動平均線。黒が200日移動平均線。黒を割り込んでしまうと、中長期的に下落トレンドに入ると言われています。

それは辛うじて回避しましたが、中期的な上昇トレンドに回復するためには、50日移動平均線を上回る必要がありますが、そのチャレンジに失敗しています。

次にNASDAQ


S&P500よりは状況は若干良いですが、やはり50日移動平均線の回復に失敗しています。

NYダウ平均


NYダウ平均は、ちょっと醜いチャートです。既に200日移動平均線を割り込んでいます。せめて200日移動平均線を回復しないと、下落トレンドに入ってしまう懸念があります。

Russell2000(小型株指数)


Russell2000(小型株指数)は、かなり悲惨な状況です。200日移動平均線を大きく下回っていますし、50日移動平均線が200日線を下に割り込んでしまったので、これが早急に回復されなければ、小型株は厳しい。

あまり山っ気を出して、小型株が安いからと買いに入ると、ドツボにはまる危険性がありますので、小型株はマーケットの状況の良い時まで我慢した方が良いかと思います。

金利の動き

雇用統計近辺の金利の動きを見ると、長期金利が大きく上下に振れ、短期金利(2年債)はあまり動いていません。

金利市場では、これ以上の利上げはあまり想定しておらず、金利が低下するタイミングを予想しながら動いていることがよく分かります。

長短金利スプレッド(10年金利-2年金利)


長短金利スプレッド(10年金利ー2年金利)。これがマイナスになると半年後にリセッション入りする、という話を昨年何度も聞いたのではないでしょうか?

上のスプレッドのチャートは1970年代からのものですが、確かにこれまでは、そんな感じです。今回は景気が冷えずにマイナスのスプレッドの状況が続いています。

過去にはあまりなかった状況です。これで原油価格が急騰してインフレが更に長引くことになれば、リセッション入りの可能性がありますが、外生的なインフレなので、スタグフレーション(景気が悪い中でのインフレ)に陥る懸念もあります。

懸念だらけですね。

今日はなんだか思いっきりネガティブです。

ただ、悲観的なことばかり想像していてもしょうがないので、あまり考えないことにしています。

これは、何もせずに能天気にしている、ということではなく、悲観的になって何もしないということではなく、大きく下落する可能性もある(しない可能性だってあります)ということを、踏まえて、心構えをしておくこと、そして、そのための準備をしておくことです。

想定していれば、その時の行動(何もしないことも含めて)はある程度合理的にできるかと思います。何が起きてもパニックにならないことが重要です。

セクターの状況


面白いですね。ヘルスケアを除くディフェンシブ系が強い。

エネルギーセクターは、ハマス・イスラエルの紛争で原油価格が急騰していることの恩恵を受けています。

個別銘柄の状況


先週(10/9~10/13)にも明るいニュースはありました。

13日金曜日から第3四半期の決算発表が本格化しましたが、金曜日、JPモルガン(JPM)を始めとする金融大手の決算が相次ぎ、好決算で上昇しています。

また、ヘルスケアでは、やはりユナイテッド・ヘルス(UNH)が好決算で上昇しています。NYダウ平均採用銘柄の決算発表が良かったこともあり、金曜日は、S&P500やNASDAQが下落する中で、NYダウ平均のみ上昇していました。

薬品会社のVertex Pharamaceuticals(VRTX)は、All Time Highと引け値ベースの最高値を更新しています。

一方、ハマス・イスラエルの紛争で、旅行業界、特にエアラインやクルーズは大きく売られています。当然のことながら、イスラエル関連銘柄が大きく売られています(イスラエル企業で米国上場の企業もあります)。

悲喜こもごも。

後記

先週は週間レビューをお休みしましたので、久しぶりのアップデート。状況把握に若干時間がかかり、この時間になってしまいました。

ポートフォリオのクォリティを上げつつ、上昇トレンド対応に転換しつつあったのですが、金曜日の市場の挫折で、しばらく様子見かなと。

完全強気モードに入っていなくて良かったと胸をなでおろしています。

イスラエルの状況は注視していく必要があります。状況を理解することが大事。

良い週末をお過ごしください。

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