【特別講義】金利と債券(5)

投資

今回は、債券がなぜ株式よりも安全と言われているのか、ということや、プロでない人が債券投資をどのように取り入れていくのが良いかを考えていきます。

債券の安全性

債券が安全であるというのは、二つの側面で言えます。(但し、二つ目の理由は、一つ目の理由があるから発生してくるものです)

安全というのが、元本が返ってくることの確からしさという点での安全性です基本的には、満期日に決められた額の元本は返ってきますし、その債券で約束された利金(クーポン)も定期的に支払われます。

基本的には、すべて当初予定された通りにお金が支払われます。そういう意味で安全性が高い。

「基本的に」というのは、企業や、新興国の場合は、財政状況により返済が遅れるとかなされないということもまれにあります。(そうしたリスクが高いとそれに見合った利回りで販売されるのが通常です。リスクに見合ったリターンが要求される世界です)

究極のケースを考えるとよく分かります。社債を発行している企業が破綻し、会社清算ということになった場合に、残余財産をどのように分けるかの順位を示したのが上のスライドです。

企業が倒産しても、支払いの順位は「税金」がトップです。税金は何があっても真っ先に払わなければならないものです。きちんと払っておくのが最善の策です。

この順位で行くと、社債などは一般の債権と同様の扱いなので、5番目。一方、株式は最後で何も支払われないことも多い。(株主=株式の保有者は、会社の所有者なので清算時にゼロになってもやむなしでしょう)

*余談ですが、2023年にクレディ・スイスが破綻状況でUBSに買収された際に、AT1債(資本性の強い債券)がゼロと判定されたのに、株式がゼロと扱われなかったことで騒ぎになりました。この辺りは微妙な問題です。(順位が逆転したように見えますが、会社清算ではなく買収という形となったことが影響しているかと思います)

株式投資は、元本というものがありません。投資した金額が戻ってくる保証はありません。その代わり、投資した金額以上になる可能性もあります。

元本が予定通り返ってくる可能性が高いので、その安全性と引き換えに利回りは低くなります。安全性と利回りの高さはトレード・オフの関係にあります。

但し、この予定通り返済される可能性が崩れると大きな損失になります。逆に言えば、何かあった時のダウンサイドが大きい割に、アップサイドがほとんどない、というリスクとリターンが非対称になってしまうケースがあります。(ジャンク債や新興国債でたまに起きます)

利金支払いや元本の返済の可能性が高いということから、投資家側からすれば、かなり安心感の強い投資になります。そのため、価格変動は、株式に比べると小さい。

価格変動が小さい=リスクが小さい、ということになります。(金融の世界では、リスクとは価格変動の大きさのことを言います)

債券投資のメリット・デメリット

債券投資を考える前に、債券投資のメリット・デメリットを理解しておきましょう。

安全性の説明の中で、これらはほぼ説明しました。

5番目の株式市場との相関が低いというのを上げましたが、局面局面では、かなり高くなることがあります。

株式市場が金利を材料に動いている時は、金利低下(債券価格上昇)で株式市場が上昇し、金利上昇(債券価格下落)で下落するので、相関が高くなります。

しかし、債券には満期があること、利金(クーポン)が定期的に支払われること、満期には元本が返ってくることになっていること、などから株式とは本質的に異なるものであるため、株式とは異なる動きをするものと考えて良い。

続いてデメリットです。(スライド2枚)

ここで上げられているデメリットは、実はたいしたことはないです。最大のデメリットは、一般の債券は、インフレに弱いということです。

元本100万円分の5年満期の債券を持っているとしましょう。購入後にインフレが高まってしまったような場合には、お金の価値が下がるので、5年後の100万円では、今100万円で買えるものが買えないということになります。

デフレの場合はもちろんプラスにはなりますが、デフレになり易さとインフレになり易さを考えるとインフレの方が可能性が高い。

このリスクを解消するために、プロの債券投資家たちは、その時々のインフレの状況に合わせて債券を入れ替えたりする取引をきめ細かく行っています。

債券投資をどう行うか?

答え:プロに任せる→投資信託もしくはETFを買う

これが全てなのですが、その理由を説明します。

通常、債券を個別に買う際の最低ロットは100万ドル単位。日本円の場合は1億円といったかなり大きなロットになります。これより小さい額でも買えることは買えますが、価格は割高になります。

また、欲しい債券が常に市場にあるとは限りません。

債券市場は基本的に相対取引です。そして、社債発行企業は様々な年限の様々な条件のものを発行していることが多く、そして社債の保有者などは持ち切りの保有者も多いので、欲しいものが市場に出回るとは限らないという状況です。

株式市場のように簡単には売買出来ない。これはこれを仕事としている人に任せるしかない。

債券市場では、金利の上下だけではなく、年限毎の金利の歪み、債券の種類(国債・社債・モーゲージ債など)の選択など、相対的な付加的なリターンを狙う戦略が沢山あります。これもかなり複雑であり、努力している割に株式のように大きくプラスが取れる訳ではない。

努力している割に取れるリターンの期待値が小さい。これはプロに任せるのが一番です。

(債券市場がそもそも金融機関や機関投資家といわれる非常に大きなお金を運用する人たちのためのものであるので、これでも成り立っています)

債券投資の目的は、①株式市場の大きなブレに対する緩衝材、②ある程度資産が出来た人が成長性よりも安全性を重視するときに増やす対象、ということが多いかと思います。

であれば、ここで不必要なリスクを取る必要はありません。

先進国債券などのインデックス型の投資信託(信託報酬の低いもの)を購入するのが良い選択だと思っています。

高い利回りを求めて、ジャンク債や新興国債券に投資しても良いですが、リスクはかなり高くなっていきますので、ポートフォリオの中でのウェイトは抑制気味で良いかと思います。

細かいところはまだまだあるのですが、個別の債券投資などを行わない前提ですし、かなり数学的な説明にもなってしまいますので、それは割愛し、今回の【特別講義】金利と債券、はこれで終わりです。

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