【米国株式週間アップデート】金利早期引き下げ期待再浮上で株は上昇 2024年5月5日

景気 投資

4/29~5/3の米国株式市場は、大きなマクロイベントとして4/30~5/1にFOMCが、そして金曜日(5/3)には4月雇用統計が発表されるという環境の中で、業績発表が続くという不安定な市場環境でしたが、金曜日の雇用統計で、雇用市場も緩んできたことから、金利早期引き下げ期待が再浮上し、株価は上昇するという展開になりました。景気

市場全体・マクロ環境

4/29~5/3の週は、少なくとも日本では、為替の動きばかりがメディアを賑わしていたようです。

当局の介入を期待しない方が良い(皆が期待している時はやるわけがない)と思っていましたが。日本が休みであった29日にドル円の為替が、1ドル158円台から一気に160円台にまで載せる投機的な動きが起きた際に、介入を行ったようです。

日本が休みで、市場も薄い時なので、効果は抜群でした。そして、FOMC→雇用統計への流れで、米国金利が低下方向に向かったことと相まって、今回の介入はとても効果的なものでした。

通常、ファンダメンタルズ(経済状況など)を背景とした為替の動きを介入で止めようとしても、それは出来ず、その動きの程度を抑制する程度と言われています。

実際、今回もその通りなのですが、雇用統計で弱めの数字が出て、金利の早期引き下げ期待が再浮上したことで、あたかも方向性まで変えてしまったかのような感じになっています。タイミングが良かったということでしかない。

大きな流れは、経済ファンダメンタルズが作り、個別企業の業績はその中での相対的な優劣をつける、という状況は変わっていません。

経済ファンダメンタルズのイベントのまとめ

FOMC(4/29~5/1)

事前の経済指標がインフレの鎮静化の鈍化を示すものが多く、再利上げに踏み切るのではないか、という悲観論まで出ていた中でのFOMCでした。

終了後のパウエル議長のコメントでは、利下げに必要なデータから大きな確信が得られていないとし、利下げはまだ先であると示唆する一方で、次の政策が利上げになる可能性は低い、とも述べています。

更に、FRBの資産ポートフォリオの縮小ペースを減速する計画を発表したことが市場にはサプライズであったようです。これは、金融緩和期に買い入れた国債について、満期が来て償還になったら、新たな買入をしなければ、FRBによる量的緩和の量が減ることで、引締めの効果があります。

今回の発表は、満期が来て償還された資金の一部を使って再度国債を買い入れることで、FRBの持つ債券の減少速度を遅くする、即ち、量的緩和の解消の速度を抑えるということで、金融緩和的な措置になります。

FRBとしては、インフレが確実に2%に向かって低下し、それが実現すると確信できるところまでくれば利下げに向かいたいという意志の表れともいえます。

思ったよりタカ派的ではなく、取りようによっては、現況下ではかなり緩和的ともとれる内容でした。

雇用統計

非農業部門雇用者数:17.5万人増(予想+23.8万人増、前月31.5万人増)

失業率:3.9%(予想3.8%、前月3.8%)

平均賃金(年率):+3.9%(予想+4.0%、前月+4.1%)

どれも予想より雇用市場が緩んできていることを示しています。即ち、タイトな雇用市場から来るインフレの圧力は低下するということになります。

上の二つ目のテーブルを見ると、前週末と比較して金利が10年債でも2年債でも大きく低下しています。これが、為替のドル安円高方向への大きな力になっています。(介入の力というよりは、結果的にはこちらの方が大きな要因であったと思っています)

4月の状況も一応、数字だけでも掲載しておきます。

3末と比べると、金利が大きく上昇しています。これが、4月の市場を軟化させる大きな原因だったかと思います。久しぶりに大きなマイナスの月になっています。

セクター:シクリカルセクターが出遅れ

ディフェンシブ系とグロース系が入り乱れている感じですが、はっきり言えるのは、シクリカル(景気敏感)系が今一つであったことです。

高金利の長期化で、景気が弱まりつつあるのに、インフレの鎮静化の遅れで利下げがなかなか行われないことの影響かと思います。

イスラエルーハマス戦争が終息に向かうのではないかとの期待で、原油価格が低下しており、結果としてエネルギーセクターが最下位となっています。

個別株の状況:アマゾンとアップルが注目の業績発表

テスラは、先週の業績発表とそのあとの、ドローンタクシーの実用化の発表予告、廉価版EV販売の前倒しなどのニュースに加えて、中国において全自動運転車の認可が下りたとの話が追加材料として出てきたことで、大底を打って反転に向かっているように見えます。

この週、注目された業績発表は、アマゾン(AMZN)とアップル(AAPL)でした。

AMZNは、業績が予想を上回ったものの、ガイダンスが若干弱めでした。それでも大きく落ち込むことなく、比較的堅調に推移しました。

一方、AAPLは中国でのiPhoneの売れ行きなど、事前に懸念が大きかったこともあり、逆に業績は思ったほど悪くはなかったとの解釈になったようです。加えて、1企業としては過去最大の自社株買いと若干の増配を発表したことで、大きく上昇しました。

更に、AIのエリアでは、AMD(アドバンスト・マイクロ・デバイシーズ)とSCSI(スーパーマイクロコンピューター)が、失望決算(期待が高すぎる!)で大きく下落したことで、エヌビディア(NVDA)は連れ安しました。

また、糖尿病薬、肥満薬で大きく業績を伸ばしているノボ・ノルディスク(NVO)、イーライ・リリー(LLY)に対して、NYダウ採用銘柄であるアムジェン(AMGN)が、やはり糖尿病・肥満薬の開発段階の状況が良いことを発表し、AMGNは大きく上昇し、寡占状況にあるNVOとLLYは競争が激化するとの予想で、売られています。

まとめ&今後の見込み

S&P500に連動するETFの値動き

赤い線が50日移動平均線です。日中この50日移動平均線を上回っていますが、引けでは若干下回っている状況です。

50日線は抜けませんでしたが、21日移動平均はこの日超えています。価格の動きとしては、NY株式市場は、一旦上昇トレンドに戻ったかのように見えます。

しかし、大きく上昇した木・金は、ともに前日より出来高を減らしての上昇でした。即ち、本格的な買いが入ってきていない状況です。まだ確信が持てず、様子見を決め込んでいる投資家も多いのかもしれません。

確信をもって、上昇トレンドに戻った、というにはまだ早いかもしれません。

引続き警戒を強めつつ、新たな買入は慎重にしていく必要があるかと思います。一方、積立投資は、どんな時でも淡々と続けることが大事です。

後記

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