【米国株式週間レビュー】利下げ観測後退するも意外にしぶとい 2024年2月17日

投資

概況

2/12~16の週のNY市場は、火曜日のCPI、金曜日のPPIがいずれも予想より強い数字で出てきたことで、早期利下げ観測が更に後退したことを受けて下落しています。世界

ただ、債券市場の下げに比較すると、意外にしぶとい、粘り強い感じです。

この週だけを見ると、小型株指数のRussell2000以外は皆下落し、S&P500、NASDAQは5週連続上昇が止まりました。

金利上昇に最も脆弱な小型株が最も良かったというのも面白いところです。この背景には、短期的にはいろいろあるが、基本的には利上げは終了し、次は利下げという市場のコンセンサスが出来ているので、パフォーマンスでここ2年位ずっと劣後していた小型株に目が移り始めたのかもしれません。

大型株が上がり過ぎたと感じる人が、出遅れている小型株に目を向け始めたということも一部にはあるかもしれません。

コアCPI(1月)
対前月比:+0.4%(予想+0.3%、12月+0.3%)
対前年比:+3.9%(予想+3.7%、12月+3.9%)

PPI(1月)
対前月比:+0.3%(予想+0.1%、12月+0.1%)
対前年比:+0.9%(予想+0.6%、12月+1.0%)

順調にインフレが鎮静化していると言われている中で、最後に来てなかなか下がり切れないという状況になっており、インフレのしつこさが際立っています。

サマーズ元財務長官は、インフレ警戒心が強く、次のアクションは利下げではなく、利上げになるのではないか、とまで言っているようです。(この人の予想はそんなに当たっているという感じではないですが、そういう意見もあるということです)

金利は、利下げ観測が後退したので、短期も長期も上昇。上昇幅としては短期の方が大きい形になりました。これは銀行株にとってはネガティブですが、決算も悪くなかったこともあり、銀行株の株価にはあまり大きな影響を与えていないようです。

セクターの状況


金利上昇はグロース系セクターにはやはりネガティブ要因でした。

シクリカル(景気敏感)系セクターが上位に来て、それにディフェンシブ(非景気敏感)セクター、そしてグロース系セクターがマイナスで指数の足を引っ張った格好です。

指数の上昇を牽引してきたグロース系セクターが下落しても、それ以外のセクターが比較的堅調に推移したため、金利上昇の影響は軽微なもので済んだとも言えそうです。

個別株の状況

ここでは、全ての銘柄を見てピックアップすべきものをピックしている訳ではなく、マグニフィセント7といくつかのセクターで目立つ銘柄を定点観測しているものです。
私の独断と偏見で選択していますが、私が保有している株ということでもありません。


グリーンでハイライトした銘柄は、この週にAll Time Highと引け値ベースの最高値を更新した銘柄です。

AI投資テーマの寵児であるエヌビディア(NVDA)は、今週もプラスで終わり、時価総額でアマゾン(AMZN)、アルファベット(GOOGL)を抜き、マイクロソフト(MSFT)、アップル(AAPL)に次ぐ時価総額世界第3位になっています。

マグニフィセント7で上昇したのは、META、NVDA、TSLAですが、TSLAはそれ以前に大きく下落していますので、その反動とも言えるものかと思います。

METAは好業績の結果(広告収入が増えた。FBの広告がやたらと増えたなと思っていたので、その効果があったようです)。

NVDAは21日(水)に業績発表予定です。3期連続の3桁の増収増益という予想になっています。

現在の予想
EPS(一株当たり収益)が前年同期比+422%、売上+237%という凄い数字になっています。よくあることですが、市場の期待はこの業績以上のものを織り込んでいることが充分考えられます。

ガイダンスがかなり強気であっても、本当にひっくり返るくらい強気のものが出てこないと、一旦は利食い売りに会いやすい状況かなと見ています。

ただ、それは短期の人たちによる動き。長期投資家からすればノイズになるかもしれません。業績が堅調であることは間違いないかと思います。あとは程度問題。

業績の伸びの加速が永遠に続く訳ないので、どこかでそれは鈍化していくはずです。短期投資家はその時に出ていき、他へ移る。長期で見るときは短期的な急上昇は判断を鈍らせやすい情報になるので注意です。

どのようなものが出るか要注意です。

AIで現時点で実際に大きな収益を稼いでいる唯一と言って良い企業なので、NVDAの業績の動向は、AI関連企業、更にはテクノロジー・コミュニケーション・セクター全体の株価の動向に影響する可能性があります。

今何をすべきか

基本的には、現時点で大きく下落する要因はあまり見えません。急速に上昇していることや、一部銘柄で極端に上昇しているものなど、個別には過熱感の見えるものがある(スーパーマイクロコンピューター=SMCIは、1か月で3.5倍近くになっています)。

多少、スピード調整が必要かもしれません。売る人がいなければ、上昇も出来ません。

市場全体のセンチメントは、強気に傾いていますが、過度に危険というレベルでもありません。

インデックスを積立で行っている人は、何も考えず、そのまま続けてください。マーケットに関するニュースや専門家と言われる人の意見に左右されない方が良いです。見ているホライズン(投資期間)が全く違います。

(私も一応専門家に近い人間ではあります。ということは私の意見も聞かない方が良いということか、だとしたら、私の意見は聞いたら良いのかいけないのか、無限ループに陥って結論が出ませんね)

比較的短期(~半年くらい)で個別株をトレードしている人は、警戒をより強めた方が良いかと。新な銘柄でポジションを作りにくい状態かと思います。確信度の強いもの以外のポジションをどうするかを考えておいた方が良いかと。

私個人のポートフォリオでは、昨年秋に銘柄の絞り込みと入替を一部行っており、それがまあまあ上手く行っているので、これはこのまま維持し、積立をしているインデックス系+アクティブファンドなどはそのまま淡々と積立継続です。

おまけ(日本株の話)

それにしても、日本株は強いですね。日本株を昨年からずっと押して来ましたが、今年に入ってからの動きは少し急すぎるので、若干警戒しています。

日経平均の史上最高値更新と、数値のNYダウとの再逆転がもうすぐ起きそうなので、楽しみにしています。

昔、日経平均が下がって、NYダウが上昇し続けて、逆転が起こり以降ずっと日経平均の方が値が小さい時期が続いていました。

個人的には、オルカンではなく、米株と日本株だけで株式への投資は十分だと思っています(個別であれ、インデックスであれ)。少なくとも当面(10年くらい)は。

そう言えば、ARMの好決算で、ARMが暴騰したおかげで、親会社(ARMの株式90%を保有)のソフトバンクグループ(9984。以下SFBG)の株価が急騰しました。

ARMの16日時点での時価総額が日本円で約19.8兆円。その90%(=17.8兆円)がSFBGの持ち分です。

一方、SFBGの金曜日時点のSFBGの時価総額は12.2兆円。ARM保有以外の保有株やビジネスの価値がゼロだとしても、SFBG株の時価総額の方が小さいという減少が起きています。

SFBG株は、評価が難しい企業でもあるので、ディスカウントが入りやすいのと、孫さんへの好き嫌い感情が混じるので、企業価値と株価との乖離が起きやすい。

これを割安で買いとみるかどうかは、意見が分かれるでしょう(ARMの評価も含めて)。(買いを勧めている訳ではありません。投資の判断はご自身でしてください。投資は自己責任です)

後記

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