11/4~11/8の米国株式市場は、大統領選の早期終結と、FRBの利下げなどにより、目先の不透明要因が消えたことなどから、大きく上昇し、S&P500は今年に入って50回目の最高値更新を11月8日(金)に記録しています。
市場全体&マクロ
タイトルにも示したとおり、S&P500は、今年に入って50回目の最高値更新です。目先の節目と言われている終値での6,000もあと僅かです。
NYダウも最高値を更新し、終値でもう少しで44,000を超える勢いです。
NASDAQは過去9週で8週間上昇です。(前週に連続記録が途絶えています)週間で+5.74%は、2022年3月以来の週間上昇率です。
最も上昇が大きかったのは、小型株指数のRussell2000です。週間で+8.57%で、2021年11月の最高値までもう少しのところまで来ました。(ようやく小型株にも陽の目が当たってきた感じです)
こうした株式絶好調の背景は、5日に行われた大統領選挙の結果です。地滑り的にトランプ氏が優勢となり、次期大統領に決まりました。(手続き的にはまだいろいろありますが)
民主党政権での閉塞感に対して、変化を求める人が多かったということかと思います。(バイデン大統領の名誉のために言えば、彼への批判の多くは、大統領の政策の責任とは言えないものも多く、タイミング・運が悪かったとも言えるものです。)
最大の不透明要因であった大統領選の終了で、見通しが立てやすくなったとのことで、株式市場には一気に資金が流入したようです。(11月6日は1日で200億ドル、約3兆円の資金が流入したとのことです)
所謂トランプトレード(財政政策出動による景気刺激を受けた金利高止まり、ドル高を想定した動き)が再度出ましたが、長続きせず、一旦は利食いし、様子見をしている感じになっています。
その背景には、トランプ氏が選挙運動中に発言した内容について、大統領に就任してすぐに実現できるものがさほど多くはないだろうとの想定です。
選挙期間中は、どうしても煽情的な言い方だったり、極端な言い方になりがちですが、実際に政策として実行するとなると、そんなに簡単ではない。
多くの専門家から、トランプ氏の発言がそのまま政策として実現されたら、米国経済にとって結局のところマイナスであるとの意見が多数出ています。
補助金などを含む財政出動の多様化は、一方で別の予算の削減が無ければ、国債発行による財政赤字を悪化させることになります。
漸く収まってきたインフレを再加速させ、金利は上昇します。関税の引き上げも、サプライチェーンが国際的に複雑に結びついている中では、コストを引上げインフレを低下させにくくなる可能性があります。
これからの4年間どうなるか、地政学的リスクをどうハンドルするのかも含めて、頑張って欲しいものです。優秀なブレーンをそろえて欲しいところです。
FRBは、9月の0.5%の金利引き下げに続き、0.25%の金利引き下げを行いました。トランプ氏の当選によって市場は、金利が下がりにくくなるとの判断をしているようです。金利低下のスピードは従来の想定より遅くなりそうです。
セクターの状況
基本的には、シクリカル(景気敏感)系が好パフォーマンスで、それにグロース系、ディフェンシブ系が続くという構図と見て良いかと思います。
一般消費財・サービス・セクターが、週間でトップにあるのは、主要構成銘柄であるアマゾン(AMZN、+5.18%)とテスラ(TSLA、+29.01%)の影響とみて良いかと思います。
特にTSLAの影響は大きいかと思います。(後述)
個別銘柄の状況
銘柄名をグリーンでハイライトしているのは、この週にAll Time Highと引け値ベースの最高値を更新した銘柄です。絶好調であった週を象徴しているような状況です。
エヌビディア(NVDA)はアップル(AAPL)を抜いて、世界最大の時価総額を誇る会社になっています。週間で+9.03%の上昇です。
目立つのはやはりTSLAの+29.01%の上昇です。
御存知のように、TSLAのお騒がせCEOのイーロン・マスク氏は、トランプ氏の最大の支援者でした。総額で1億3000万ドル(約200億円)の政治献金を行っています。
トランプ氏の次期政権では、マスク氏が要職に就くとも言われています。これで自社に都合の良い政策ばかりを打ち出したら、利益相反も良いところで、金で政治を買う金権政治と言われても仕方がない状況です。
こうしたことは、程度の違いこそあれ、これまでも行われてきた米国政治の慣行でもあります。金権政治と言うかは別にして、日本よりはるかに政治に対するお金の影響が強いかもしれません。
トランプ氏が大統領になった場合、EVへの風当たりは強くなるかもしれないと考えると、ヘッジのためにもトランプ氏を応援しておいた方が得策であったとも言えます。
いずれにしても、TSLAを含め、マスク氏の関連するビジネスに対して、規制・政策はネガティブにはなりにくくなるという期待感から、大きく上昇したと思われます。(それにしても「やり過ぎ」のようには思いますが。)
NVDAはインテルに代わってダウに採用され、11月8日(金)からダウ銘柄になっています。これで、NYダウのS&P500との連動性もより高くなるかと思います。
今後の見通し
上でも述べましたが、大きな不透明材料であった大統領選が終了し、また11月のFOMCで想定どおり0.25%の金利の引き下げが終了しました。
今後は、再び、経済指標へ関心が戻ってくるかと思います。
13日(水)消費者物価指数(CPI)
14日(木)生産者物価指数(PPI)
15日(金)小売り売上高
重要指標が目白押しです。
大統領選終了のパーティは終了し、酔いが少しずつ醒め、より冷静に今後の状況を予想し始める時期に入っていくかと思います。
業績発表も大きな山場は既に過ぎていますが、11月20日にNVDAの発表がありますので、注目です。
後記
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