今回のテーマは、「時間を味方につけよう」です。
前回の「資産形成の基本」の項で、「時間は個人投資家の最大の武器」ということをお伝えしました。
今回は、もう少し「資産形成における時間について」詳しくお話していこうかと思います。
勘の良い方は、何の話をしようとしているのかお分かりかもしれません。
「複利の法則」です。
複利の法則とは
利息計算の方法として、単利と呼ばれるものと、複利と呼ばれるものがあります。
- 単利:元本に対して金利をかけて利息計算するもので、1年目だけでなくずっとそれが続く。
- 複利:1年目は元本に対して金利をかけて利息を計算。2年目以降は前年でついた利息を元本に加えて、更にそれに金利をかけて利息を計算する。
最初の元本を100万円。金利を5%として具体的に計算してみましょう。
- 単利:100万円x5%=5万円の利息 2年目 100万円x5%=5万円の利息、とずっと続くので、10期あった場合、100万円の元本に5万円x10=50万円で合計150万円
- 複利:100万円x5%=5万円の利息 2年目 105万円x5%=5.25万円の利息 この計算を10期続けると 合計は約163万円になります。
期間が長くなればなるほど、複利と単利の差が大きくなります。
イメージとしては、以下のようになります。(100万円、年5%の利回り、50年で計算しています)
更に極端にした例をあげてみましょう。
1か月で大金持ちになる方法を教えます。
方法は簡単です。
ただ、普通の人は途中で挫折してしまいます。
最初は1円を貯金します。
2日目はその2倍の2円。
3日目はその2倍の4円と貯金していきます。
10日目は512円です。
合計で1023円。
まだまだ簡単ですね。
15日目は16,384円です。
ちょっと大変になってきたかな。
合計で32,767円です。
20日目は貯金する金額が524,288円。
合計が1,048,575円です。
31日目。
最終日は貯金しなければならない額が何と1,073,741,824円!
すなわち10億円を超えてしまいます。
貯金総額は2,147,483,647円。
21億4,748万円です。
簡単でしょ。
方法はとても簡単ですが、最後までやり続けることは普通できない。
これが複利の威力です。
2倍2倍と増やしていくのは、利回り100%で複利計算をしたということです。
複利は人間が発明した最大の発明でもあります。
かのアインシュタインは次のように言っています。
“Compound interest is man’s greatest invention. He who understands it, earns it. He who doesn’t pays it.”
「複利は人類最大の発明である。理解している人は複利で稼ぎ、理解していない人は複利で利息を払う」
複利は人を幸せにする福利です。
(これは私の名言?迷言?)
複利の威力は長期ほど大きい
先ほどの図でもよく分かるように、時間が経てばたつほど複利の威力は大きくなります。
だから投資は長期投資ですることにより大きなリターンを得ることが可能になっていくのです。
世の中で長期投資を勧める人が多いのは、まさにこの長期における複利の効果を意識してのお勧めです。
短期では、タイミングやトレーディングのスキルの占める割合がとても結果に大きく影響します。
一方、長期、超長期の投資ではそうしたスキルはほとんど影響なくなります。
忍耐力や規律ある投資行動が出来ることが大事になってきます。
時間の要素は、若い人に有利であることは間違いないです。
しかし、先ほどの例にもあるように、最初のうちはその効果は無いです。
遅く始める人の場合は、投資額を大きくすることによって、挽回も可能になってきます。
また、老後資金として必要になった際の引き出し割合を小さく出来れば、それだけ長く運用できます。
工夫次第でかなり充実したものに出来ます。
ともかく始めること、そして短期のブレに惑わされず長期的に投資し続けることを心がけていただければと思います。
借金の場合は複利を注意
複利の威力を理解していただいたと思いますが、借金の場合はその威力で支払い額は大きく膨らみます。
複利は非常に威力がありますが、借金の方は負担を増やす方に威力を発揮します。
最終的な支払い総額を減らすためには、ローン期間は出来るだけ短い方が賢明です。
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