市場のテーマは、インフレの長期化懸念の消化に加えて、中東情勢の緊張化に移ってきており、まずはリスクオフの動きとなっています。
前回のコメントでは、当面レンジ相場が続く可能性を示唆しましたが、状況は少し悪化しています。調整(10%以上の下落)への警戒をしておいた方が良さそうです。
市場全体とマクロ環境:インフレの長期化と中東情勢の緊張化
この週(4/8~4/12)に発表されたインフレ指標が予想より強めであったことで、6月利下げスタート、年内3回利下げの期待が大きく後退し、最悪、年内の利下げ開始があるかどうか、というレベルまでの状況を消化する必要が出てきています。
これが市場の頭を抑える大きな要因となっているなかで、木曜日には再度上昇トレンドに戻ったかと期待されたが、金曜日に中東情勢の緊張化が報道されると再びリスクオフの動きが強くなりました。
利下げ期待の後退は、金利がこの1週間で大きく上昇したこと(4.40%→4.52%)に明確に表れています。一時4.59%まで上昇しました。インフレがここまで根強いものというのは市場の想定以上です。
FRBがとても慎重であったことが、結局は正しいと現時点では言えそうです。
また、ダマスカスのイラン大使館がイスラエルのミサイル攻撃を受けたことの報復の危険が高まっているとメディアが報じたことで、イスラエルとハマスの戦争が中東全体に広がる危険が非常に高くなっています。
地政学的な有事に対して、市場は少なくとも一旦はリスクオフの動きで反応します。特に、第1四半期が極めて好調なマーケットだったこともあり、リバランスや利食いという動きの出やすい時期でもあり、機関投資家を中心にリスクオフの動きが強化されているようにも見えます。
状況が不透明なため、更なる売り圧力が出る可能性もあるため、調整(高値から10%以上の下落)の可能性は否定できず、警戒が必要と考えています。
有事警戒でリスクオフの動きが強くなっていることもあり、金が上昇し続けています。今の動きは、ドルの代替ということではなく、リスクオフから来る買い需要かと思います。
為替もドル高に行きやすい状況になっています。
日銀がマイナス金利解除をしたものの、当面は緩和的姿勢を維持ということを明言しているので、為替(ドル・円)は、米国の金利状況で動きます。
152円で介入を期待してドル売り円買いをしている人もいるようですが、日銀の為替介入は水準でやっている訳ではないので注意が必要です。スピードが速過ぎるときに、米国のFRBの合意を得て初めて実施します。米国がドル高を避けたいと思わない限り、水準では実施しないと思った方が良いです。
ドル高は、現時点では輸入物価を抑える方向に動くので、米国にとっては悪い話ではないので、FRBとしてドル高円安を介入によって是正するメリットはあまりない。円高方向に行くにはもう少し時間が必要かもしれません。
セクターの動き:リスクオフ・金利上昇の影響が大きい
全セクターマイナスですが、相対的にはグロース系セクターがまだマシな感じです。
金利上昇の影響を受けやすいセクターにおいてマイナスの度合いが大きい。
第1四半期の業績が大手金融を皮切りに始まっています。純金利収入が予想より小さかったことや、高い金利が想定以上に長く続くことからくるネガティブ要因への警戒もあり、好業績にもかかわらず下落しています。
中東情勢を受けて、原油先物は高い状況が続いています。まだこの状況はしばらく続きそうです。
個別株の状況:第1四半期の業績発表始まる
下のテーブルに掲載されている銘柄は、Magnificent7と様ざまなセクターの動きを見るために私が独断と偏見でテキトーに選んだものです。推奨している訳ではないですし、私の保有銘柄でもありません。
銘柄名が緑でハイライトされているアマゾン(AMZN)、アルファベット(GOOGL)、マリオット(MAR)は、この週にAll Time Highと引け値ベースの最高値を更新しています。
青でハイライトしたキャタピラーは、All Time Highを更新しています(引け値ベースの最高値は更新できず)。
木曜日にテクノロジーを中心に大きく上昇し、NASDAQが最高値を更新したこともあり、酷い週だったという印象が強いですが、Magnificent7は、メタ(META)とマイクロソフト(MSFT)を除き、プラスを維持しています。
テーブルの下側の銘柄群は全滅でした。
個別のニュースでは、業績発表が始まっていることは上でも述べました。金融のJPモルガンは業績は良かったですが、先行きの懸念で大きく下落しています。
テスラ(TSLA)はロボタクシーを8月8日のイベントで発表すると発表し、これまでの下落傾向を止めたようになっています。ただ、このロボタクシーについては、これまでのTSLA支持者からも懸念が出ており、吉と出るか凶と出るかはまだまだ分かりません。
中国政府が、中国の大手キャリアに、外国製半導体の使用を段階的に減らすように指示したとの報道があり、インテル(INTC)とアドバンスト・マイクロ・デバイシーズ(AMD)が大きく下落しています。
今後の見通しと来週の注目点
マクロ的には、上でも述べたように、インフレ指標を見ながら、利下げのタイミングと回数を予想する動きが当面は続きます。最悪、今年は利下げなし、という展開になることも可能性として考慮しておく必要も出てきているかなと思っています。
また、引き続き中東情勢には大きな影響を受ける可能性があります。イラン大使館が攻撃され被害が出ていることに関して、イラン政府はすぐにでも反撃するという姿勢を取っていますが、それでもかなり自制しているように見えます。
中東戦争へ拡大することは避けたいと思っているようにも見えます。とはいえ、当面注意が必要です。
株式市場は第1四半期に大きく上昇しているので、業績がその上昇を正当化できるかにも市場の注目は集まっていくかと思います。
来週(4月15日~19日)の週で注目される決算発表としては、以下のようなものになるかと思います。
4/15:GS
4/16:UNH、JNJ、MS、BAC
4/17:ASML
4/18:TSM、NFLX
4/19:AXP
(ここに掲載したのはほんの一部です)
半導体関連にASML、TSMの決算は市場全体にも影響あるかと思いますし、ここまで半導体のおかげで上昇した日本株(日経平均)にも影響ありそうです。
市場の状況はあまり良くありません。積立投資をしている場合は、そのまま淡々と続けてください。
下がっても慌てて買入をするのは危険かもしれません。慌てず慎重に行動した方が良い状況が続くかと思います。
後記
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