【米国株式週間アップデート】まだ油断は禁物 警戒継続 2024年8月10日

投資

前週から始まった急落は、週末を挟んでも落ち着かず、世界中の市場の急落を呼び、特に日本市場のはほぼ暴落という状況になりました。

8月5日(月)に一旦底を付け、木・金曜日は、市場のセンチメントもだいぶ改善し、ローラーコースターのようなマーケットも、終わってみれば前週から僅かに下落した程度でした。

 

概観&市場全般:まだ安心するのは早い

前週末比で言えば、指数の動きは僅かです。金利は上昇(10年も2年も)、原油も上昇。金と為替はほぼ同水準。

それに比べると、週の中での動きは大きかった。急落し、そして急激に戻った感じになっています。

御存知のように、今回の下げには様々な要因があると考えられますが、最大のものは、米国経済について、ノー・ランディング(金利の高い状況が続いても景気は強いまま)もしくはソフト・ランディング(景気減速はあってもリセッションまでは至らない)というバラ色の期待が、弱い雇用統計で崩れてしまった(少なくとも、その期待が盤石なものではないことを気付かせた)ことにあります。

マクロ経済統計は、様々な要因でブレます。(特に速報性が高いものはよりブレやすい)したがって、1回の経済統計の結果だけ見て先行きを判断するのは、リスクがあります。傾向値を見る必要があります。

エコノミストなどはそのように見ますが、市場参加者は、他人より先に動くことで金儲けしようとする人が多いので、一つ一つの経済指標に過剰に反応しがちです。

通常であれば、ここまでの反応をするかな?というくらいの反応で驚きました。

話題になった円のキャリートレード(円を借りて、利回りの高い資産へ投資を行う)のポジションが大きく膨らんでいたところで、日銀の利上げと想定以上にタカ派的(利上げに積極的)な姿勢に驚いてその蒔き戻しの売り(おそらくキャリートレードで米株投資もそこそこあったのでしょう)があった上に、弱い雇用統計が重なって、このような事態になったのでしょう。

日本の金利については、内田日銀副総裁が金融市場が荒れていたら利上げをスキップすることもあるというような金融市場に迎合するような発言をしてしまったので(これは余計なことではなかったかと懸念しています)、一時的に市場は安心しました。ただ、これは円キャリートレードを温存することにもなったかもしれず、火種を残してしまった可能性があります。

米国株市場では、戻ったとはいえ、NASDAQ、NASDAQ100は、直近の高値から10%以上の下落をした状態が続いており、調整局面は続いていると考えた方が良い。

ダウ平均やS&P500はさほどではありませんが、NASDAQ、NASDAQ100は、その前から始まっていたロテーション(マーケットリーダーの交代)の動きもあってより大きな下げになっています。

セクターの動き:

大きく動いた要因を考えると、セクター別のパフォーマンスは意外な感じがします。景気に関する懸念が出たのに、結局、景気敏感が相対的に強かった(マテリアルを除く)。

コミュニケーションは、メタ(META)が好決算を発表してから買いが続いており、マグニフィセント7の中で唯一のプラスかつ大きく上昇している影響です。

半導体も、まだマーケットリーダーの座を渡すものか、といった感じで動いています。

半導体は「経済のコメ」(無茶苦茶古い表現で申し訳ないです)と言われるように、経済全体に与える影響は、自動車セクターより大きい。半導体は、あらゆるものに入っています。重要です。

個別銘柄の状況:

上でも若干触れましたが、METAはマグニフィセント7の中で唯一プラスかつ+6.07%と非常に大きい。

目立つ動きとしては、薬品のイーライ・リリー(LLY)です。好決算の影響です。話題になっている糖尿病薬・肥満薬の売上が予想を越えていることが大きく影響しています。

LLYより先に糖尿病薬・肥満薬を開発したノルウェーのノボ・ノルディスク(NVO)も好決算でしたが、予想に若干満たなかったことで売られました。糖尿病薬・肥満薬の生産が追い付いていない供給の問題(ノルウェー人は、米国人よりワークライフバランスを重視しているようです)と値下げの影響と言われています。(経済合理性は別にして、個人的にはNVOの姿勢の方が好きかな)

今後の見通し:油断禁物・警戒継続

(Bloomberg: オレンジ=S&P500、ブルー=NASDAQ、レッド=TOPIX(東証株価指数))

日本株(TOPIX)の下落幅の大きさが目立ちます。NASDAQも大きく下落して少し戻しただけです。NASDAQは、8/7の引け時点で高値から-13.15%。8/9は-10.2%に戻したのみです。

これで下げは終わりというのは時期尚早かなと。(言い方は悪いですが、Dead Cat Bounceということの可能性もなくはない。死んだネコも高いところから落とせば、多少は跳ね上がるということ。市場で時々使われます。猫好きの人、ごめんなさい)

ここのところの日々の動きと出来高の動きを見ると、下げるときに出来高が増え、上げるときに出来高が減っています。上昇への意思がまだまだ弱いことが分かります。

市場心理的には、強気モードから慎重モードにだいぶシフトした感がありますが、それでも恐怖指数と言われるVIX指数先物は高いままですし、Put/Callレシオはまだ1を越えておらず、恐怖を十分感じていないとも言える(油断している?)

円高への圧力は消えた訳ではないですし、米国の景気の先行きについても、まだまだ多くの経済指標のトレンドを見ていかないと分からない。

下落は終わりかもしれないし、まだまだ続くのかもしれない。これは予想しがたい。試し買いはしても良いですが、ツッコミ過ぎないように。個々の投資行動が正しかったかどうかは、それを評価する時点で変わります。

余り一喜一憂しても仕方ありません。下手に動くよりは、今やっていることを継続し、それ以外はしないというのが結局一番良い、あるいは少なくとも悪くはない、ということが多いです。

5年・10年先を見ながら投資をした方が良いかと思います。

後記

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