【米国株式週間レビュー:11/17~21】市場にもクマが出没

投資

週末に向けて下げ止まったものの、これまで市場を牽引してきたAI関連株のバリュエーション懸念(高すぎる?バブル?)が強まり、AI関連株はエヌビディアの好決算にもかかわらず、バリュエーション調整的な動きが強く、乱高下しています。

クマ=Bear(ベア)というのは、市場用語で下に強気、言い換えると弱気あるいは下がることを予想している人々のことです。(逆は牡牛・ブル=Bullです)

これが自律調整的なもので終わるのであれば、健全なマーケットの展開であり、あまり心配することは要らないですが、まだ判断するには早いかと思っています。

(先週末はずっと外出していましたので、お休みをいただきました。悪しからず)

概要&マクロ

マクロ系の話をしておくと、過去最長となった連邦政府の閉鎖が終了しましたが、そのために必要な経済指標の発表が遅れたり、あるいは発表が中止となったりしており、金融政策の先行きが読みにくくなっています。

その中で、FOMCのタカ派の理事のコメントが週前半に目だち、12月の利下げ観測が揺らぎました。金曜日にNY連銀のウィリアム総裁が(中立的な立場のFOMC委員)が利下げに期待を持たせる発言をしたことで、金利は低下し、市場に若干の安心感が広がったようです。

セクターや個別の話でもありますが、市場が注目していたAI関連株であり、かつ世界最大の時価総額となった半導体大手のエヌビディア(NVDA)の決算が水曜日の引け後に発表されました。

アナリスト予想を上回り、更に見通しも非常に強いものでした。そのため、単純に考えると、懸念材料の一つが消えたので、上昇しても良かったのですが、NVDAを始めとするAI関連株は、下落しています。

過去にも、NVDAの決算で、文句のつけようがない決算内容であるにもかかわらず、利食い・バリュエーション調整的な売りを浴びせられることがありました。ビジネスそのものは極めて堅調ですし、ガイダンスでは、中国への輸出については考慮に入れていないので、米国政府の輸出規制の影響無しでも力強いガイダンスです。

ビジネスの問題ではなく、市場心理の問題と考えて良いでしょう。

この週の特徴としては、AI関連株の不安定な動きはありますが、それ以外のセクターが過度に売られることがなく、比較的堅調であったりしています。

そういう意味では現時点では過度な心配はいらないかなと思っています。

ついでに言うと、市場心理的には、9月以降かなり強気に傾いていたので、自律的な修正の必要のある時期であったとも言えるかと思っています。

これは、Margin Debtの動きです。借入をして購入している取引の割合になります。55%を超えると過熱していると判断してよく、過去にも55%を超えるとしばらくして下落しています。

9月の時点で45%まで上昇しています。10月末から11月初くらいは55%に近い水準まで上昇していた可能性があります。(この指標の残念なところは、1か月半くらいたってからでないと発表されないところ)

市場心理の指標は、市場が強気・弱気のどちらに偏っているかを見ることが出来るのと、逆張りの指標として使えるので、時々見ていた方が良いと思っています。(その代わり、タイミングを計るのはとても難しいです。超強気の状態が非常に長く続くこともあります)

セクターの状況

半導体セクターを含め、AI関連が大きく下落しているので、テクノロジーが厳しいです。

こうした荒れた市場環境では、セオリー通り、ディフェンシブセクターが相対的に堅調です。

グロースセクターながら最もパフォーマンスの良かったのがコミュニケーションセクターですが、これを牽引したのはアルファベット(GOOGL)です。

これは、世界一の投資家ウォーレン・バフェットが率いるバークシャー・ハサウェー(BRK.A&BRK.B)が、アップル(AAPL)を減らしてきていますが、その一方でGOOGLを急速に増やしていることが判明したことによります。

「バフェットがGOOGLを買っている」として、勝馬に乗ろうとして追っかけで買っている人が多いのでしょう。でも、既に年末で引退を表明しているバフェットが買ったのではなく、次期CEOのグレッグが選定したというのが本当ではないかなと思っています。

市場全体を赤くした(下げた)のは、NVDAを始めとするマグニフィセント7の大半の銘柄(GOOGLを除く)です。上のヒートマップの右側はまだ緑色(上がったもの)がそこそこあります。

個別銘柄の状況

こんな荒れた週ではありましたが、GOOGL、ジョンソンエンドジョンソン(JNJ)、イーライリリー(LLY)がAll Time Highと引け値ベースの最高値を更新しています。

GOOGLは上でも書いたとおり、バークシャーによる大量買いのニュースによるものです。

JNJとLLYは、市場が荒れていてディフェンシブセクターであるヘルスケアセクターが買われていたことに加え、それぞのビジネスが好調であることが背景にあります。

JNJは血液ガンの分野でのニュースが後押ししているようです。LLYはやはり、糖尿病薬・肥満治療薬の好調が大きく後押ししています。

この結果、LLYは1兆ドル倶楽部入りしました。これは、時価総額が1兆ドルを越えたということです。昨日のレートで156兆4100億円。日本の国家予算より大きい!まあ、日本の国家予算はフローの数字、時価総額はストックの数字ですので、性格が全く異なりますが。

なお、時価総額1兆ドル越えはLLYが11番目。ヘルスケアでは初めての快挙です。

今後の見通し

短期(~数週間)

遅れていた経済指標が一気に出てくるころで、金利とAI関連株を中心に当面はボラティリティの高い展開が続く可能性があります。

中期(~数四半期)

米国経済は減速方向とはいえ、急激なリセッションに入る心配はなさそうです。「成長鈍化+粘着質のインフレ」というシナリオがベースになりそうです。

この場合には、期待が先行し過ぎた高PERグロース株には若干厳しく、安定配当銘柄やディフェンシブ銘柄に資金が流れる可能性があります。

長期(3~5年+)

AI・データセンター投資/エネルギー転換/高齢化・医療需要といった構造的な成長テーマに変更はないので、それぞれのセクターで有望な銘柄をしっかりと持ち続けるのが良いかと思っています。

市場のボラティリティが高い時は、メディアの解説がはっきり言って全く的を射ていないことがあります。メディアのコメント・解説に振り回されないよう、市場が関心を持っている主な要因に関して自分なりの考えを持っていることが肝要かと思います。

後記

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