月曜日が大統領の日で祝日でしたので、NY株式市場は、2/17~2/20の一日短いShort Weekでした。
概要&マクロ:株は反発、ただし「安心できない」反発


この週の米国株は、前週に強まった「AIが既存ビジネスモデルを壊すのでは?」という不安が残る中でも、週次では主要指数がプラス圏で着地しました。週次の上昇率は、NASDAQ +1.51%、S&P500 +1.07%、NYダウ +0.25%、ラッセル2000 +0.65%。
ただ、上昇の“質”は素直ではありません。背景は大きく2つ。
1) 「AI不安」は消えず、むしろ“反応しやすい空気”が継続
市場のセンチメントは、AIの投資回収や、AIが“ソフトウェア/サービスの収益構造を壊す”連想に敏感な状態が続いています。
「悪材料が出れば売りが加速しやすい」一方で、「悪材料が出なければ買い戻しも起きる」──そんな神経質な反射神経相場になっています(値動きの荒さ=“確信の薄さ”)。
2) 2/20(金)の“関税ショック”:最高裁判断→政権の即応で不確実性が再点火
2/20に米最高裁が、トランプ政権の広範な関税(IEEPA根拠)について大きく制限する判断を示し、これがマーケットを揺らしました。
一見すると「関税の不確実性が薄れる=株にプラス」に見えますが、現実はもう少し複雑です。
・既に徴収された関税の扱い(返還の可否・方法)が未確定で、企業側は“帳尻”が読めない(法廷闘争が長期化しうる)
・政権は別の法的根拠で新たな関税(短期の一律関税)を即日打ち出すなど、政策の“落ち着きどころ”がまだ見えにくい
結果として、株は上がって終わったものの、「不確実性が形を変えただけ」という見方が残りやすい週でした。
セクターの動き:テーマは「AI不安の残存」と「材料への選別」

この週は、業績発表もありましたが、AI・メガテックに懸念が生じていることもあり、マクロ経済指標主導のマーケットであったという印象です。
セクター全体を一言でいうなら、“テック一本足からの分散”というより、「AI関連の勝者/敗者の選別が進む局面」です。
AI恩恵(半導体・一部メガテック)は買い戻しが入りやすい一方、
AIに“収益モデルを侵食される側”と見なされた領域(ソフトウェアの一部、ITサービスの一部)は戻りが鈍い
という、分散というより“格付け”に近い動きです。
また、関税問題は、企業のコスト(原材料・調達)や需要(消費者心理)に波及するため、景気敏感/ディフェンシブという分類以上に「関税が効くビジネスかどうか」が意識されやすい地合いになっています。
個別銘柄:目立った動き(“関税”と“AI”の二軸で反応)

不安定な1週間でしたが、その中でも、ジョンソンエンドジョンソン(JNJ)とディアー(DE)はAll Time Highと引け値ベースの最高値を更新しています。
また、ハイアットホテルズ(H)は、引け値ベースの最高値を更新しています。
景気敏感系が強かったことを物語っています。
この週の株価は、ニュース耐性が高い大型株に買い戻しが入りやすい一方で、関税やAI連想で売買が偏りやすい銘柄は振れやすい、という構図でした。
関税関連(貿易・消費関連):最高裁判断を受け、関税リスクの再評価で上昇が目立つ銘柄も(ただし“解決”ではなく“論点が移動”)
AI関連(メガテック/半導体):NASDAQが週次で相対的に強かった点からも、先週までの売りの巻き戻しが効いた週だったかと思います。
為替・ドル・金(+銀・原油):リスクの“逃避先”が一枚岩ではないドル
ドルは週後半まで強含みつつ、2/20(金)は最高裁判断などを受けて下落する場面がありました。
円については、週初(2/17)の時点でドル円は153円台で推移していることが確認できます。
金・銀
金は2/20に1%超の上昇(弱いGDPや関税・地政学リスクの解釈)と報じられています。
銀も同様に上昇が目立ち、短期ではニュース・センチメント要因が効きやすい局面です。
ただし、金銀は「安全資産」と言いつつ、足元は値動きも荒く、“安全”というより“人気の受け皿”として資金が集まる局面もある点は注意です(買われ方が投機的になりやすい)。
金の上昇を支えていたロシア・中国・インドなどの中央銀行の動きですが、ロシアの中央銀行が買いから売りに転じたというニュースも入ってきており、注目です。
原油
原油は、米・イラン情勢をにらんで上昇圧力が強く、ブレントが6か月高値圏で推移したと報じられています。
エネルギー価格の上振れは、インフレ面・企業コスト面で“後から効く”ため、株の上昇を素直に喜びにくい材料でもあります。
今後の見通し:市場が注意すべき論点(断定はできないが、こう動く可能性)
最高裁のトランプ関税違憲判決に関して、現時点での「あり得る展開」と影響は現時点では以下の通りと推測しています。
論点A:関税“返還”が進む場合(財政・需給への波及)
返還が現実化すれば、政府歳入の一部が想定より細る可能性があり、財政面の議論(国債発行・金利)に波及し得ます。
ただし最高裁は返還の具体を示しておらず、下級審・実務で長期化する可能性が高い。つまり“すぐに結論が出ない不確実性”が残る。
結論:「金利が下がりにくくなる」可能性はゼロではないが、まずは“政治・制度の混線”が金利の方向感を鈍らせる、という形が現実的です。
論点B:政権が別ルートで関税を再構築する場合(企業の意思決定への悪影響)
政権が別の法的根拠で関税を積み上げに行くと、企業は
調達先変更
価格転嫁
投資計画の先延ばし
に動きやすく、実体経済の“腰折れリスク”が出ます。
株式市場的には「景気悪化→利下げ期待」という短絡も起きますが、同時に供給制約やエネルギー高が絡むと、スタグフレーション的な嫌な組み合わせにもなり得る。ここが一番やっかいです。
長期投資家としての示唆:今週の値動きをどう扱うか
今回の週は、指数は上がりましたが、構造的にはAI不安が“消えた”のではなく、織り込みの揺れが続いている。関税は“終わった”のではなく、形を変えて不確実性が残っている。
金・原油など、マクロのノイズ源が多いという状態です。
したがって長期投資家としては、やることはシンプルです。
コア(長期の指数・優良株)は、方針を頻繁に変えない
ただし、短期のノイズで振れやすい局面なので、ポジションサイズとリスク(特にレバレッジ・集中)を点検
「AIの勝者」を取りに行くなら、テーマの熱量ではなく、収益化(誰が払うのか)と投資回収(CAPEXの回収経路)を軸に銘柄を絞る
…です。
“当てにいく”より、“壊れにくくする”が勝ちやすい局面です。
後記
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