金利とは債券とは何か、ということや債券の種類などについて(1)と(2)で説明してきました。
今回は、債券投資において、直感的に分かりにくいところについてお話をしていきます。
債券の基礎を学ぶ上で、最低限必要なのは上の4つ。(細かく言えば、まだまだかなりたくさんありますが、この4つを知らなければ、債券の話はほぼ理解不可能になってしまいます)
今回は、特に最初の債券の価格と金利の関係についてお話します。
金利が上がったら、債券価格はどうなるでしょうか?逆に、債券価格が上がったら、利回りはどうなるでしょうか?
答えを言ってしまいます。
金利が上がったら、債券価格は下がります。金利が下がったら、債券価格は上がります。
即ち、金利の動きと債券価格の動きは逆方向です。
100万円額面で、毎年もらえる利子の率(利率=クーポン・レート、単にクーポンとも言います)が5%の債券(ここでは、話を単純化するために信用リスクの入っていない国債とします)を持っているとしましょう。
その時に、10年の金利が4%に下がった場合、5%クーポンの債券と4%クーポンの債券とどちらが得ですか?
今後1年だけ見ても、5%クーポンの債券は、5万円の利子をもらえます。4%クーポンの債券は4万円の利子。
残存期間(満期までの期間)が同じであれば、クーポンの率が高い方がより魅力的です。市場にこの二つが存在した場合、何が起きるでしょうか?
5%クーポンの債券は人気を博し、みんなが買います。購入者が多いので、次第に価格が上がります。
どこまで上がるかというと、4%クーポンの債券と価値が同じになるところまで。具体的には、将来のキャッシュフローを現在価値に割り戻した時に5%クーポンと4%クーポンの債券が等価になるところまで。(この部分は少し難しいので、理解できなくても構いません)
これは数学的に計算されます。したがって、金利が動いた時に、それぞれの債券の価格の理論値は瞬時に計算され、その値に近いところで売買されます。(出し抜くことはほぼ不可能)
金利が低下すると債券価格が上昇し、金利が上がると債券価格が下落するということはイメージできましたでしょうか?
これを具体的な数字で示し、グラフ化してみました。
5%クーポンの債券を持っていて、現在の市場金利が5%であれば、価格は100(パー、と言います)の場合に、金利が動いた時の債券価格がどう変化するかを示したものです。
金利が低いほど価格は高く、金利が高いほど価格が低くなることが分かります。
上のグラフでは、少し分かりにくいのですが、この金利と債券価格の関係は、直線的(比例的)ではないです。グラフの形は下に凸の形になっています。
この部分については、更に専門的な話(金利感応度や金利感応度の変化の問題など)もありますが、基礎の講義でもあるので、ここでは省略します。(数学的には微分の世界に入ります)
次に、上でも何度か出てた用語についての話をします。
利率=クーポン・レート(単にクーポンとも言います)は、額面に対して利払い日にどれだけの利子(あるいは利息)をもらえるのかを示すものです。
利回りは、毎年入ってきたクーポン(利子あるいは利息)を、同じ債券に再投資した場合に得られる最終的な利回りのことです。通常の投資では、同じ債券に再投資するのは難しいので、利回り通りのリターンを実現することは難しいのが現状です。
今回はここまでとします。
次回は、インフレと金利の関係、そして、海外債券に投資する場合に発生する債券投資と為替の関係についてお話します。
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