【米国株式市場 週間レビュー(2025年10月21日〜10月25日)】金利低下観測強まり最高値更新

投資

今週の米国株式市場は、FRBの利下げサイクル継続とインフレ鈍化の流れを背景に、主要指数が堅調に推移しました。

投資家の関心は「利下げペースが緩やかでも景気が持続可能か」という点に移りつつあり、いわゆる“ゴルディロックス相場”の様相を呈しています。

金利の低下とドル高の共存が市場の複雑さを映し出しました。

概要&マクロ

主要株価指数では、S&P500が前週比+0.9%、NASDAQが+1.2%、ダウ平均も+0.6%とそろって上昇。

米10年国債利回りは4.01%まで低下し、FRBの今後の利下げ継続を意識した買いが見られました。

ドル指数(DXY)は小幅に上昇し、為替は1ドル=152円台後半へ。ドル―円の為替に関して言えば、金利低下にもかかわらずドル高となったのは、米経済の底堅さが比較的評価されたこと以上に、高市新政権の誕生が、日銀の利上げの抑制要因になるとの見方も反映しているかと思われます。

WTI原油先物は60ドルを下回る水準で推移。中東情勢が一時的に落ち着きを見せたことに加え、米エネルギー省による在庫増見通しが重石となりました。

金曜日に発表されたCPIが市場の予想を下回る伸びにとどまり、インフレ再燃懸念が後退したことで、コモディティ市場も全体的に落ち着きを取り戻しています。

若干気になる動きであったのが、金(Gold)の市場です。前週の信用市場に関する揺れの影響もあり、安全資産としての金に現物市場だけでなく、ETFを通じた金への資金流入が過剰な状況になり、ETFの純資産価値とETFの価格に開きが出るという歪みが生じるなど(ETFではその歪みは基本的に、無いもしくはあっても非常に小さいはず)、問題が生じていました。(需要が供給を大きく上回る状況)

その中で、20日には1オンス=$4,381.52の最高値を更新しています。(引け値ベースでも$4,356.30)

ところがその翌日と翌々日の二日間で大きく下落し、$4,098.42まで下落しています。過熱していた金市場がこれで一旦少し落ち着くかなと期待されます。

金を巡る市場の環境は、基本的には変わっていないですが、モメンタムを見た短期の投資家の資金が多く入ることで、金市場の大きな変動がたびたび起きる可能性が高まったかなと思われます。

セクターの状況


今週のセクター別では、テクノロジー、一般消費財、通信サービスが市場をけん引。

特に生成AI関連の堅調な決算発表を受け、ハイテク株が上昇を主導しました。また、新しい話としては量子コンピューター関連のニュースで、量子コンピューター関連銘柄が上昇しています。

一方、エネルギーセクターは地政学的リスクの高まり(米国のロシア産原油に対する規制やロシア系石油企業の資産の差し押さえなど)により原油価格が上昇したことなどで、堅調でした。

ディフェンシブ系は、グロース系や景気敏感系に比して劣後しましたが、ヘルスケアは個別の決算の状況などもあり、ディフェンシブ系の中では健闘しています。

個別銘柄の状況

今週は、4銘柄がAll Time Highと引け値ベースの最高値を更新しています。テクノロジーだけでなく、ヘルスケアのジョンソンエンドジョンソン(JNJ)も入っているので、テクノロジー一辺倒の市場上昇ではないと思えるので嬉しい。

テスラ(TSLA)は、期待外れの決算だったことで、一旦下落しましたが、市場全体の戻しの中で、下げ幅を縮めています。

半導体のAMDが、AI関連のニュースで再浮上した後、IBMがAMDの半導体で量子コンピューターを動かせると発表したことで、IBMの上昇と伴走する形で上昇して最高値を更新しています。良いニュースが重なっている感じです。

今後の見通し

短期的には、利下げ期待と実体経済の強さのバランスをめぐる市場の「心理的調整局面」にあります。FRBは年内にもう一度の利下げを示唆しており、長期金利の安定が株式市場の支えとなる見通しです。

また、佳境に入っている業績発表が、市場の今後を占う上でも重要なポイントかと思います。

水曜日の引け後に、マイクロソフト(MSFT)、アルファベット(GOOGL)、メタ(META)が、そして木曜日の引け後に、アップル(AAPL)、アマゾン(AMZN)が業績を発表します。

業績発表のヤマ場の週になるかと思います。

注意喚起ではありますが、クレジットスプレッドは依然としてIG・HYともに歴史的低位水準にあり、過去には同様の局面からシステミックリスクが発生した例も。過度な楽観に対する警戒は必要でしょう。

中期的には、AI投資の波が米国企業の利益率を押し上げる構造的追い風となる一方、地政学・財政赤字問題は潜在的な不安要因。

忘れてはいけないのが、10月31日に韓国で行われる米中首脳会談です、トランプ大統領と習近平首席が、緊張した米中の貿易関係を緩和させる方向に向かわせることが出来るのか、注目しておく必要があります。(過度な期待をせずに)

いずれにしても、長期投資家にとっては、短期調整に動じず、収益力とキャッシュフローを軸にした銘柄選別が重要です。

後記

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