今週(2/2〜2/6)の米国株は、週の前半にソフトウェア株の急落、同時に金・銀の異常な値動き、さらに暗号資産の下落継続と、“リスク資産の中でも荒れる領域がはっきりした”1週間でした。
ただし、週末(金曜)には半導体・テックが反発し、NYダウは史上初の5万ドルを突破して最高値をつけました。指数の見た目と中身の温度差が大きい週だった、と整理するとスッキリします。
概要&マクロ


2/6(金)は日中で S&P500が+2.0%、NASDAQが+2.2%、Russell2000が+3.6%、ダウが+2.5% と強烈な反発。
半導体(NVDA、AMD、AVGOなど)が牽引し、AIインフラ投資への期待が再点火しました。
逆に言えば、週前半はそれだけ売られていた、ということでもあります(特にソフトウェア)。
今回は、米国の未上場企業が発表したAIツール群が、あまりにも凄くてソフトウェア企業のビジネスモデルを崩しかねないとの不安が発端でした。
昨年の1月にはDeepSeekショックがあり、AI関連株が大きく売られています。発端や影響する分野は異なりますが、こうしたことは今後も何度も起きていくものと想定したほうが良いと思います。
マクロの見方としては、今週は「政治ヘッドライン」というより(これは判断が厄介なのでこれが少ないのはありがたいです)、
• AI投資(CapEx)の拡大と、その勝者・敗者の選別
• 資産ごとの“投機の巻き戻し”
が相場の軸になりました。
2/6(金)の大きな上昇は、週前半あるいはその前から続いてきたテクノロジーを中心としたグロース系セクターの軟調を終わらせるものとみるのは時期尚早と見ています。
ここまで、反転のきっかけがつかめず、下落が続いていたこともあり、自律反転的なポジション調整による反転の可能性も十分あり、まだまだ警戒は必要だと思っていたほうが良いと思っています。
安心するのはまだ早いです。
セクターの状況:今週の主役は「ソフトウェア急落→週末反発」

比較的綺麗に、シクリカル(景気敏感系)が優勢、そしてグロース(成長系)セクターが軟調で、ディフェンシブ(非景気敏感系)がその中間という構図が綺麗に形成されました。
その原因の一つは、やはり、上でも触れたソフトウェア関連の動きです。
(1) ソフトウェア/SaaS:Anthropicの新AIツール群が“ビジネスモデル不安”を直撃
Anthropicが発表した新しいAIツール(“職場アシスタント”型の自動化ツール群)が、単なるチャットボットではなく、業務そのものを代替・自動化し得るという受け止めが広がり、ソフトウェア株が幅広く売られました。こうしたAIツールが、SAAS(Softwear as a Service。ソフトウェアのサブスクリプション型のビジネスモデル)を破壊してしまうという恐怖が投資家を襲いました。
(それだけ凄いAIツールが出てきたということです)
ここで重要なのは、「AnthropicがすぐにSaaSを全部壊す」という話ではなく、
“ソフトウェアの価格決定力(=席課金・ユーザー課金)が、AIにより相対的に弱くなるかもしれない”
という将来不安が、株価(=期待)に直撃した点です。株式市場は「現状」よりも「期待の変化」に敏感なので、こういう局面は値幅が出やすい。
週末にはソフトウェアも反発し、S&P500のSoftware & Services指数が連敗を止めた一方、週単位では大きく下げています。
つまり今週のソフトウェアは、**「下げたから終わり」ではなく「評価軸が書き換わり始めた」**のがポイントです。
(2) 半導体/AIインフラ:週末に“勝者側”が再評価
金曜の反発の中心は半導体。AI投資は「使う側(SaaS)」より「作る側(インフラ・半導体)」がまず恩恵を受ける、という構図が改めて意識されました。
(3) 小型株:Russell2000は週でプラス(ただし“楽観一色”ではない)
Russell2000が週で+2.2%と堅調だったのは事実です。
ただ、今週の上昇は「景気が急に強くなった」というより、大型テックの揺れ(ソフトウェア急落)に対して相対的に資金が動いた面もあります。小型株優位が続くかどうかは、来週以降の景気指標・金利の反応を見て判断で十分です。
個別銘柄の状況

グリーンでハイライトした銘柄は、この週にAll Time Highと引け値ベースの最高値を更新した銘柄です。
アルファベット(GOOGL)は週初(2/2)に達成していますが、その後はAI関連株などの混乱に巻き込まれて大きくで楽してしまっています。
ジョンソンエンドジョンソン(JNJ)の堅調が続いています。また、今週目立ったのがシクリカル銘柄のキャタピラー(CAT)、マリオットインターナショナル(MAR)、ディア(DE)がAll Time Highと引け値ベースの最高値を更新していることです。
その一方で、Anthropicショックで大きく下落し、52週(1年)の最安値を更新しているのが、ネットフリックス(NFLX)、セールスフォース(CRM)です。
マイクロソフト(MSFT)は前週の決算発表時の失望で、売られた流れから、この週のAnthropicショックにも見舞われて、下落が続いています。
また、やはりAI関連ニュースで、ということになりますが、アマゾン(AMZN)も今年巨額のデータセンター投資を行うことを発表し、それが嫌がられて大きく下落しました。
その反対で、そうした巨額投資が続くとのことで、NVDAやAMDなどは大きく反転しています。(とはいえ、週間ベースではマイナスですが)
為替・ドル:先週の“円キャッチアップ”後、今週はドルが安全資産として揺り戻す場面も
ここのところ動きが激しい資産については、少し別建てでお話します。
前週(実際には前々週の金曜日)のレートチェックで、大きくドル円で円が買い戻されました。それは、ドル売りが広がる中で円だけ出遅れていたのがキャッチアップしてきた、ともいえる状況でした。
一方、今週(2/2〜2/6)は、週前半のリスクオフ局面でドルが安全資産として買われ、週末にはその動きが一部巻き戻されるなど、ドルは「弱い/強い」が同居しました。
高市総理の(若干不用意とも思える)円安歓迎コメントなどもあり、せっかくドル安円高に少し動いたのに、レートチェックの効果を半分失わせてしまうようなこともありました。
為替に関して長期投資家が押さえるべき点はシンプルで、
• 当局(介入・レートチェック)ができるのは多くの場合「方向転換」ではなく「スピード調整」
• 中期の方向は、金利差・資本フロー・インフレ構造で決まる
という原則です。加えて日銀側でも、利上げの必要性に言及する発言が続いており、円の“耐性”は以前より上がっています(ただし短期の上下は続く)。
金・銀:ボラティリティが高すぎる。ファンダメンタルズ以上に「投機の構造」が価格を支配
金・銀価格のボラティリティは、今週もメインテーマの一つでした。
CMEが金・銀先物の証拠金(マージン)を引き上げており、これは「投機の熱量が高く、清算リスクが増えている」ことの裏返しです。
また、金属市場のボラティリティ拡大には小口投機・SNS・オプション等も絡み、価格がファンダメンタルズ以上に揺さぶられやすくなっているとの分析もされているようです。
ここから言える短期の含意は2つです。
• 「金=安全資産」という固定観念は危ない。安全資産でも“投機化”すると危険資産に見える動きになる。
• ただし、短期の乱高下は「長期の金の役割(ヘッジ)を否定」しない。否定するのは“ポジションサイズの取り方”のほう。
暗号資産:逃避先というより「ハイリスク投機資産」化が鮮明
私のブログを読んでいただいている人には、もうすでにご存じかと思いますが、私は、暗号資産への投資に??をもっています。(リスクが高すぎることと、その動きの理由がよく分からず、私には理解不能だから)それを踏まえて読んでいただければと思います。
暗号資産は今週も厳しく、ビットコインは週で大きく下落、イーサリアムも下げが目立ったとのことです。
暗号資産は、法定通貨と異なり発行の仕組みが厳格化されていて、インフレを起こさず、資産価値を安定化するものとして開発され、期待されていましたが、理想とはだいぶかけ離れたものになっています。
その後は、そのものとしては何も生まない「金」と同様に安全資産もしくはリスク資産とは異なる動きをするものと期待もしました。
しかし、値動きとしては、「分散先」ではなく、リスク資産の中でも最もリスクが高い側として振る舞っている局面が多い。
初心者〜中級者向けに言うなら、暗号資産は「持つなら極小、なくても困らない金額」で十分です。ポートフォリオ全体を壊すのは、いつも“サイズ”です。
長期投資家としての示唆:結論は「長期目線は維持。ただし“AIの勝ち方”が変わる可能性を織り込む」
今週の本質は、指数の上下ではなく、AIテーマが「半導体・インフラ中心」から「業務アプリ・SaaSの再編」に波及し始めたことです。
長期投資家としては、やることは多くありません。
• コア(長期の株式比率)は崩さない
• ただしAI関連は、同じ“AI銘柄”でも立ち位置が違うので、
o 「AIを売る側(インフラ)」
o 「AIを使って儲ける側(広告・効率化)」
o 「AIに代替されかねない側(席課金SaaS*の一部)」
を分けて見直す
*席課金=ユーザー1人(1アカウント)ごとに料金を払うモデルです。
英語では per seat や per user pricing と呼ばれます。典型的な例:1ユーザー 3,000円/月、10人で使うと月30,000円のようなもの。このように、使う人数が増えるほど売上が増える仕組みです。この場合、AIが仕事を代替してしまうと、10人のユーザーが5人+AIというようになったりして、ユーザー数が減ってしまう可能性がある、ということで、Anthropicショックで、そのビジネスモデルの将来性に疑問がわいてしまったということです。
• 金・暗号資産は「持つなら小さく」。ヘッジ目的でもサイズ超過は事故る
結局、相場が荒れているときに必要なのは予想ではなく、壊れない設計です。

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