6/10~6/14の週は、前週の強い雇用統計で利下げ期待が遠退いたことを受けての週になりました。
インフレ指標は予想よりインフレ低下を示唆し、一方でFOMCメンバーの金利想定は、早期の利上げを否定するような内容でした。
債券市場も、株式市場も、FOMCの想定を無視(少なくとも軽視)し、経済指標に期待を持った形で、金利は低下し株式市場も上昇を継続。
S&P500は木曜日まで4日連続で最高値更新、NASDAQとNASDAQ100は5日連続で最高値を更新しました。
市場全体・マクロ:インフレ指標の低下で市場は上昇
主要経済指標として、CPI(消費者物価指数)とPPI(生産者物価指数)が発表され、想定より低いものでした。
前週末の雇用統計がかなり強い数字で、インフレが想定以上にしつこいものと死さされ、早期の利下げ期待がかなり後退していました。
それを受けてのインフレ指標の発表でしたので、これはかなり市場にとって嬉しいニュースでした。
CPIが発表された12日(水)の午後には、前日から二日間で行われていたFOMCの後の会見と、FOMCメンバーが今後の金利をどのように見ているかを示すドット・プロット(ドット・チャートとも)が発表されました。
朝方発表されたCPIの数字を反映しての予想かどうかわかりませんが、前回発表のものよりも利下げ時期が後ろズレし、年内の利下げ回数も減る予想になっていました。
ドット・プロットの中央値では、年内の利下げは1回、2025年は4回の利下げを想定しています。
引続き、FOMCにとっては、よく分からないので、データ次第ということなのだろうと思います。
市場は、FOMCはインフレ数字の予想外の低下を考慮していないものとし、ドット・チャートとは裏腹に、9月に利下げ開始、年内2回の利下げを見ている人が多いようです。
景気の鈍化と利下げの両にらみで、株式市場は動いています。NYダウは、個別の要因も多いのですが(なにせ30銘柄しか入っていないので)、S&P500とNASDAQは上昇しています。
金利の低下を受けて、大型成長株を中心にS&P500とNASDAQは最高値を更新しています。
セクターの状況:テクノロジーだのみ
今週は、金利の低下でREITが少し復活してきましたが、グロースセクター、特にテクノロジーのみが市場を牽引したような状況であることが分かります。
原油価格はロシアが減産に動いたことなどもあり、久しぶりに大きく上昇しましたが、エネルギーセクターは反応薄でした。これは、先行きの需要減の予想が低い(景気減速の影響)ためと考えられます。
個別株の状況:MSFT・AAPL・NVDA
アップル(AAPL)が開発者向けのイベントで、Apple Inteligence(訳してAI。生成AIのリーディング企業であるOpenAIと提携して、Siriの高度化を図るもの)などが発表され、大きく上昇。
発表した当日は売られましたが、アナリストなどの評価を受けて、翌日に大きく上昇した形です。
前週に時価総額2位の座をエヌビディア(NVDA)に明け渡したAAPLですが、この上昇で再度2位に返り咲きです。
上のテーブルでも分かるように、最大の時価総額のマイクロソフト(MSFT)、2位のAAPL、3位のNVDAが、All Time Highと引け値ベースの最高値を更新しました。
結果として、他の銘柄は冴えないのに、S&P500、NASDAQ、NASDAQ100は上昇しました。
アクティブ・マネジャーにとって勝ちにくい市場環境は続いています。
先週、取り上げたテスラ(TSLA)ですが、木曜日の株主総会で、マスクCEOへの巨額報酬とテキサス州法人化が可決しました。(とはいえ、デラウエア州の裁判所は、巨額報酬をブロックすることがまだ可能なようです)
これが可決しなかった場合、マスクCEOがテスラから離れるというような噂(脅し?)があったようで、カリスマCEOを保留するために可決されたとも言えます。
コーポレートガバナンス上如何なものか、と言えるような事例です。米国の大手の公的年金などが反対を表明していました。(創業CEOの報酬は、株価の上昇が中心であるべきで、報酬は株主の利益を減らすほどの金額が払われるのは行き過ぎという主張です)
力のある人が自分のためにごり押しをするケースがアメリカで目立ってきています。ちょっと悲しい。
まとめ
上でも、上昇がほぼテクノロジーだけ、しかも超大型銘柄(MSFT、AAPL、NVDAなど)が牽引して上昇している状況です。
S&P500、NASDAQ、NASDAQ100も最高値を更新していますが、上昇銘柄数よりも下落銘柄数の方が多いですし、出来高はどちらかというと減り気味。
これらは、警戒をした方が良い兆候です。
目先、大きな懸念材料が見えない。市場の材料が、インフレ鎮静化のスピードと金利引き下げタイミング(これが遅れると景気を悪化させ過ぎてしまうリスクもある)、そして当然のことながら業績の伸びにあります。
この状況はしばらく変わっていません。そして、大きな下落の材料は突然出現します。予想はできません。そうこうしていくうちに、米国大統領選も本格化していきます。
強気継続してきましたが、強気度は維持しますが、より慎重に警戒的に見ていきたいと思います。
後記
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