【米国株式週間レビュー】まだまだ課題を消化しきれていない 2023年9月30日

投資

概況

昨日(9/29)で9月の取引は終了しましたが、今年の9月は久しぶりに大きく下落した月でした。何故か、9月10月というのは下落月になることが多い印象です。

先週(9/25~9/29)のNY株式市場は、前週のFOMCの流れを引き継ぎ、金利の高い状態が想定よりも長く続く可能性を消化するため、基本的に下落基調でした。

マクロ的な状況としては、金融政策の先行きに対する懸念から、金利は短期も長期も前月末と比べて上昇しています。前週末比では長期は上昇。

原油もしっかりと上昇しています。ロシアやサウジアラビアの減産が年内続くこと、ロシアが国内の石油関連製品の価格高騰を抑えるために輸出を抑制していることなどから、基本的には上昇基調。

景気の後退が需要の低下を呼ぶとの見方から、供給減と需要減予測で綱引きです。$100/バレルくらいは覚悟しておいて良いかもしれません。

市場は、FOMCの金融政策の方向性について、金利の高い状況がより長く続く可能性を織り込んでいる最中だが、それに加えて、連邦政府機関閉鎖のリスクが、市場に重くのしかかっている。

目先の問題としては連邦政府閉鎖(Government Shutdown)問題がある。

金曜日に、取り敢えずの危機回避策として短期的な歳出法案を模索したが、下院の支持を得られず、事態は混沌としている。

9月中に何らかの方策で議会の合意が取れなければ、連邦政府の職員への給与支払いが滞ることになり、連邦政府業務の閉鎖となる。(10月1日から)

過去にも、こうした事態は何度も起きています。閉鎖が数日で終われば、影響はほとんどないと想定される。しかし、ゴールドマン・サックスなどは、閉鎖は2~3週間に及ぶと見ている。

もし、2~3週間となった場合は、来週(10月6日)の雇用統計や、その次の週のインフレ指標(CPI、PPI)の発表などが予定通りにはなされない可能性があります。

混乱を来すと想定されるし、UAWのストライキと相まって、景気への悪影響はほぼ間違いなくあると想定されます。

<経済指標>
FRBが気にしているPCE価格インデックスが予想より少し弱いなど、インフレ動向に少し期待を持たせる内容でした。

コアPCE価格指数(前月比):+0.1% (予想+0.1%)
コアPCE価格指数(前年比):+3.9% (予想+3.9%)

木曜日に発表されたGDP(確定値)は、前期比+2.1%で予想どおり、価格指数は前期比+1.7%と予想(+2.0%)、前期(+4.1%)を大きく下回ってきています。

経済指標的には、金融引締めの解除が早めに始まることを期待させるものになりつつあります。一方で、29日(金)にNY連銀のウィリアムズ総裁が、利上げはほぼ終了としながらも、金利が高い状況は想定より長く続く可能性について言及したことなどもあり、期待は萎んでいます。

インフレ指標・経済指標を見ながら、金融引締め状態の解除(中立化へ)の動きがいつ頃になりそうか、という問題がしばらく市場を支配するテーマとなるでしょう。

それに加えて、目先は連邦政府閉鎖リスクが市場の不透明感を増しています。

連邦政府閉鎖が回避もしくは短期で終了の場合は、ほとんど影響なく、一旦少し市場は上昇するかもしれません。(短期的に)

もしそうなったとしても、今後の金融政策をどう織り込むかの問題は残ります。

金曜日(9/29)の動きを見る限りでは、あまり過度な期待はせず、多少上昇しても慌てて追いかけないようにするのが賢明かと思います。

セクターの状況


週次で見ても、月次で見ても、まあ、パッとしないですね。

週次・月次の双方ともにプラスなのは、エネルギー・セクターのみ。これは原油価格の先高感の強いことが背景です。

週次でユティリティ・セクターの下落が非常に大きいが、これはここに来て長期金利の上昇が大きいことが影響していると見られます。

個別株の状況


先行して下落していた半導体が上昇をも牽引しているように見えます。

Magnificent 7では、フェイスブックの親会社であるMeta Platform(META)の安定感が光っています。(METAはその前に一人負けの状態に近いくらい弱かったので、その調整が済んだとも言えるかもしれません)

アマゾン(AMZN)はFTCによる提訴(競争の阻害)の影響で上昇しにくい状況だったかもしれません。

アップル(AAPL)は、発表されたiPhone15、新型アップルウォッチ関連のニュースで若干不安定な感じでした。

今は何をすべきか

目先の連邦政府閉鎖問題がどう展開するかは、目先の最大の材料になるでしょう。動くのはその結果を待ってでも良いかと思います。

FOMCの金融政策の方向性の問題は、まだまだしばらく続きます。少なくともFOMCは「これで終わりです。利下げの発表の時期は。。。」なんてコメントする訳ないです。政策担当者としては、政策の選択肢を狭めないように、市場に読まれないように慎重に言葉を選ぶ(市場が喜ぶようには話さない)と考えるのが妥当です。

即ち、最大の課題は、実際に利下げが始まるまで(もしかしたら利下げが始まっても)、どうなるか分からず、不安定な状況が続くと見て良いかと思います。

少なくとも目先は、慌てて株式のエクスポージャーを増やすのは避け、慎重な行動をとっておいた方が良いかと思います。

但し、インデックスファンドなどへの積立投資は、迷わず淡々と続くて頂くのが良いかと思います。

付記

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