個人投資家が投資判断の情報源として活用するのは、TV・新聞・経済紙・投資関連誌などのメディアが最も一般的です。
これはインターネット経由での同様のメディアへアクセスして情報源として活用することや、SNSなども、もちろん個人投資家にとって投資判断の情報源としてなり得ます。
前回、景気の状況に合わせて、どのような投資対象が良いのかということを一般論としてお伝えしましたが、実際の投資になると、その時々の置かれた状況は異なるので、さほど単純ではありません。
また、老後資金のための投資というような場合は、極めて長期の投資ということになりますので、僅かなタイミングの違いなどは、誤差に過ぎないかと思います。
なので投資を行う上では、景気の判断や市場環境などを知るために、いろいろなところから情報を得て、判断していく必要があります。
そこで今回は、個人投資家がどのように情報源と付き合えばよいのかについて、お話したいと思います。
TV・新聞などのメディアの情報源は個人投資家にとって逆を行く方が有利
TV・新聞などのメディアは、基本的にネガティブな意見を流す傾向にあります。
こうしたメディアが、市場の上昇を煽るような記事を書き始めたら、その上昇相場はそろそろ終わりであることが実は多いのです。
逆に言えば、メディアが否定的である時期は、まだまだ上昇余地があるということが多いのです。
メディアは大局的に見た場合の方向性ではなく、ノイズに近いような小さな動きも一大事とばかり報道します。
なので、無視して良いでしょう。
また、5年先、10年先の話などを持ち出して、懸念を表明したりしています。
これも無視して良いでしょう。
株式市場は先読みをしながら動いています。
概ね、半年から1年くらい先を見ていると言って良いでしょう。
余り先の長い話は重要だとしても、あまり市場に影響ありません。
投資判断する際には、30カ月以内にそのニュースの事態が「市場に大きな影響を与える可能性があるかどうか」という視点で判断していくと、方向性を正しく判断できることが多いのです。
メディアからの情報源を見分けるポイントは「事実」と「意見」を分ける事
もう一つメディアを情報源とする際の注意点としては、「事実」と「意見」を分けること。
これは、個人投資家にとっても非常に重要なことです。
例をあげてみましょう。
コップに半分の水が入っています。これを、「水が半分も入っている」とか「水が半分しか入っていない」と伝えた場合、「水が半分入っている」という事実の意味が大きく異なってきます。
「半分も入っている」と言えば、もっと少ないことを想定していたが半分入っていることをポジティブにとらえており、ニュアンスとしては、より増えていく方向を見ているようにも感じられます。
一方「半分しか入っていない」という表現には、もっと入っていることを期待していたが、それに足りないという不足感を感じさせますし、今後更に悪化する方向を見ている、あるいは非難めいたトーンすら感じます。
でも、事実は「半分入っている」ということです。
メディアでは、事実を伝えると言いながら、メディアの主張が入った意見・解釈が伝えられています。ここに注意が必要になってくるのです。
これは、事実だけ伝えても、面白くないし、伝わりにくいので、事実のフリをして明らかに意見・解釈が入り込んでいます。
これはメディアの性質上仕方ないことなので、それを所与として、自分が、事実なのか意見なのかの見分けがつくように気を付けておくことが大事です。
事実・解釈だけなら良いのですが、更に予想まであたかも事実であるかのように伝えたり、物事を針小棒大に伝える傾向がありますので、この部分にも気を付ける必要があります。
(ニュースは基本、珍しいことを伝えるのであって、普通に起きていることは伝えないですしね)
また、YouTubeを情報源としている方もいらっしゃるかもしれません。YouTubeは事実よりもむしろ解釈・意見を伝える場とされているので、鵜呑みにするのではなく、ある一定の事実に対して、その解釈の仕方や様々な見方の比較対象として使うのは有効かと思います。
ただし、足元の相場についての見方などについては、個人的な意見としては、YouTubeを情報源として使うのはお勧めしません。
YouTubeの価値が非常に高いと思われる場面は、著名な投資家(バフェット、その他)の話を誰かの解釈無しに直接聞ける時です。
このようなYoutubeの発信は投資についての考え方や哲学、投資の仕方の「ヒントを得るため」に使うことができます。
Youtubeの情報源は誰かの解説を視聴して鵜呑みにするのではなく、著名な投資家本人が話しているのを視聴しヒントを得る目的で活用することをお勧めします。
個人投資家が情報源として参考とするメディアとは!
日本で、個人投資家が投資判断の情報源として経済に関するメディアは、インターネット版も含め、日経新聞、東洋経済などが上げられるかと思います。
日本株の運用などでは、これで十分かと思いますが、「外国株式投資」となると日経新聞、東洋経済は情報源としては不十分なのです。
日経新聞、東洋経済でもアメリカのニュースは海外ニュースの中では、最も多く扱われていますが、必ずしも十分とは言えません。
投資判断の情報源として量が不十分なことだけでなく、事実に加えて解釈・意見がより多く含まれている印象すらあります。
更に、残念なことに「勉強が不十分かな?」と思えることも多いので、その解釈・意見がツッコミどころが満載だと感じています。
個人投資家の情報源として「米国株」ということで限って言えば、ウォール・ストリート・ジャーナルなどがお勧めです。
※ウォール・ストリート・ジャーナル
米国最大の経済新聞。株式投資の世界ではほぼMUSTアイテムです
ウォール・ストリート・ジャーナルはインターネット版でOKです。
これには日本語版もありますが、日本語版は米国版の全ての記事が翻訳されている訳ではないので、英語版を読まれることをお勧めします。
英語版でも、DeepLなどの翻訳アプリを使えば、webページをまるごと日本語に翻訳することが簡単にできますので、不便は感じません。
ウォール・ストリート・ジャーナルの米国株の情報は、日本では信じられないくらい多くの情報源があります。
そしてレベルもピンからキリまで、料金もピンからキリまで掲載されているので、個人投資家にとっては貴重な情報源となり得ます。
なのでまずは、ウォールストリートジャーナルくらいから始めていけば良いかと思います。
その他、個人投資家の情報源として、ウォールストリートジャーナルの姉妹紙の週間投資新聞バロンズもお勧めです。
これは、日経新聞の姉妹紙の週間投資新聞のヴェリタスに似ています。ヴェリタスが、日本のバロンズを目指しているからです。
バロンズについては、その抄訳版(バロンズ・ダイジェスト)が、SBI証券やマネックス証券に口座をお持ちであれば、その記事読むことができるので、情報源として活用できます。
個人投資家は大局観の中で物事を位置づける
こうした情報源を使いながら、個人投資家が投資をする場合の最初の注意点として、まず、大きな流れ「大局観」をつかむことです。
そのうえで、個別のニュース・事実をその大きなトレンドの中で位置づけていきましょう。
言い換えると、個別のニュース・事実が、その大きな流れを変えるものかどうかを判断して行くのです。
このように、情報源を活用していけば、個人投資家であっても大量の小さな事実に動じることなく、長期目線で投資をすることが可能になってきます。
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