投資と富の賢者、ウォーレン・バフェットとチャーリー・マンガーの知恵に投資を学ぶ(3)

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今回の主なテーマとしては、市場のカジノ化です。

ギャンブル(あるいは投機)か投資か、という議論は様々な場面で見られます。

カジノ化とともに危険視しているのが、金融工学や投資理論です。

すべての玉子を一つの籠に盛らない

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ご存じの方も多いかもしれませんが。

ウォーレン・バフェットは所謂現代投資理論を真向から否定しています。

過去のリスクやリターンを計算し、相関関係などを使ったところで、投資は将来を扱うものなので、不測の事態は常に起きるものです。

統計的なリスクとリターンの関係で、特定の年のことが分かる訳ではない、ということです。

何が起きるか分からないので、分散投資が重要である、というのが投資理論です。

よく言われる「すべての玉子を一つの籠に盛らない」ということです。

しかし、ウォーレン・バフェットからすれば、「全ての玉子を一つの籠に盛って、じっと見守る」のが正しい、としています。

この二つの表現は全く異なることを言っているようですが、私は両立するものだと考えています。

チャーリー・マンガーはインタビューの中で、次のように言っています。

インターネットや数学を使っていくらポンジースキーム(ネズミ講のようなもの)を、飾りたてたところで本質は変わらない。

カエルはカエルに過ぎない、と。(投機は投機に過ぎない)

ウォーレン・バフェットやチャーリー・マンガーのような投資法を取る人にとって見れば、数学で幻惑されることはないし、数学でビジネスの本質が見える訳ではないことは明白なので、投資理論は何の役にも立たないでしょう。

ウォーレン・バフェットやチャーリー・マンガーほどの時間をかけて分析することが出来ず、彼らほどのビジネスへの理解力と判断力、そして胆力を持たない人間にとってみれば、分からない部分のリスクを一定の確率で抑制してくれるのが投資理論だと思います。

ロビンフッドなども含め、様々な仕組みにより、市場にアクセスしやすくなったことや、簡単に金儲けできそうに見える仕組みが沢山出てきていることで、金融市場のカジノ化が進んでいると二人は考えています。

市場へのアクセスと投資(投機というべきか)対象(暗号通貨やデリバティブなど)などの観点からこの問題を語っています。

スマホで株式の売買

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昨年来非常に話題になり、かつ先ごろIPOを果たしたロビンフッド(無料で株式の売買が出来るスマホ証券会社)。

同社は、市場へのアクセスの民主化という理念を掲げています。

ウォーレン・バフェットは、11歳の時に初めて株を買っています。

ロビンフッド以前には、株式市場が一般の人に開放されていなかったわけではありません。

アメリカでは株は1株から買えるなど、日本(単元株制度のためある程度まとまった資金が必要)よりもずっと株式市場はアクセスしやすい状況になっています。

そのアメリカでも、過去、投資の民主化を理想に掲げて多くの企業が様々な試みをしてきました。

ヴァンガードのS&P500のインデックスファンド、チャールズ・シュワブのミューチャル・ファンド(投資信託)購入のワンストップショップ化などもその例かと思います。

ロビンフッドは、スマホで簡単に口座が開けて、すぐにトレードが出来る、そして、取引手数料は無料、ということで、市場へのアクセスのハードルを一気に大きく下げました。

これまでは、投資をするということに、それなりの覚悟を持って始める必要があったのを、ゲーム感覚で気軽に簡単に出来るようにしたということが非常に新しい。

結果として、投資をする準備の出来ていない大量の初心者を市場に引き込んだことに問題があります。

株式売買執行をビジネスとする証券会社が手数料を取らない、という仕組みは利益相反を疑わなければならない仕組みです。この点はSECも何度もチェックを入れています。

売買データをヘッジファンドなどに売り、そのうえで売買の執行もしてもらっています。

お金を払ってでもその執行をしたいというということは、そのヘッジファンドにとってはお金を払ってでも欲しい情報ということですから、それ以上の利益が出るということです。

個人から薄く広く利益をかすめ取っているプレーヤー(最大のプレーヤーはケン・グリフィン率いるシタデル・インベストメント・グループと言われています)がいるということになります。

ロビンフッダー(ロビンフッドを使って取引をしている人々)が最大の標的にしようとしているヘッジファンドを、ロビンフッドを使うことで、富ませていたという皮肉でもあります。

ロビンフッドを使ってトレーディングをすることで、簡単に大金持ちになれるような印象を世の中に、特に投資初心者に与えているが、そうした動きについて懸念を示しています。

ウォーレン・バフェットは、2014年の株主総会で、投資に関しては「物事はシンプルにしておきなさい。そして、ホームランを狙って大振りをしないこと。」というアドバイスをしています。

複雑な仕組みが絡むものは大きなリスクが潜んでいる

複雑な仕組みが絡むものは、見えないところに大きなリスクが潜んでいることがあります。

シンプルにできない理由があります。

そして、複雑なものは、それを複雑にしている人が一番儲かる仕組みになっていることが多い。(金融業界の公然の秘密です)

デリバティブはその最たるものですが、リスクも大きく、時には、それを仕組んだ証券会社をも吹き飛ばすくらいのリスクをはらむことがあります。

2008年の金融危機(所謂リーマンショック)で、それが噴出しました。

デリバティブの基本的なところは、少ない参加料で大きなリターンを得られる可能性があるというものです。

先物、オプション、スワップ然りです。

金融工学と称して様々な仕組みが編み出されて、一見非常に上手く出来ているように見えます。

何もない平常時では、上手く機能します。

しかし、ショックが起きるとほぼ間違いなく、暴発します。

複雑な仕組みを支える前提が崩れます。分散投資も全く効かなくなる。

リーマン・ブラザースが倒産し、メリルリンチがバンクオブアメリカに買収されることで倒産を免れ、信用格付けがAAAであったAIGが一夜にして、公的支援を受けざるを得なくなった。

ウォーレン・バフェットもチャーリー・マンガーも金融市場が割の良いカジノというような様相、簡単に金儲けできる場所という様相を呈してしまったところに問題の根本があると感じているようです。

経済価値を生まないものへの資金投入する価値はない

仮想通貨

経済価値を生まないものへの資金投入を、彼らは否定しています。

根底には株式投資は、その裏にあるリアルなビジネスへの部分参加であるという信念があるからかと思います。

デリバティブについては、「金融の大量破壊兵器」と呼んでいますし、ビットコインに代表される暗号通貨に関しても、ウォーレン・バフェットもチャーリー・マンガーも「価値のない人工的な金」とか、本質的に経済価値を生まないものなので資金投入する価値はない、と否定しています。

新たな対象やアクセス方法などで、カジノ化して多くの人を引き付ける金融市場に関して、ウォーレン・バフェットは、ギャンブルは人間の特性としては極めて自然なことだし、ギャンブル的要素が人を惹きつけること自体を否定はしていません。程度問題です。

そうであるが故に、投資は本質を知り、自己抑制(感情のコントロール)・自律を強く求められるものでもあります。

全ての人にそれが出来る訳ではないので、規制も適宜必要になるということも認めています。

今回の教訓

  • 投資においては、物事はシンプルであるように維持すること。
  • そして、ホームラン(大儲け)を狙って大振りをしないこと。

ウォーレン・バフェットもチャーリー・マンガーもレバレッジ(借り入れも含む)を使わずに、バークシャーをこれだけ大きくしています。

正攻法で、地道に時間をかけていくことの力です。

ウォーレン・バフェットは、個人の投資としては、S&P500を積立投資することをずっとお勧めしています。

市場のカジノ化が進んでいるのは、一つには超低金利政策に伴う、超過剰流動性(市場に溢れかえるマネー)があります。

これが絞られれば、ある程度落ち着くことになるかと思われます。

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