ポートフォリオについては、私自身もしつこくあちこち言っていますので、分散投資が必要なんだろうということは、既にご存知の方も多いでしょう。
短期で大金持ちになりましょう、ということを教えている人は、分散ではなく集中投資による収益の最大化を教えているでしょうし、世界一の投資家ウォーレン・バフェットも分散投資を推奨していません。
ただ、ウォーレン・バフェットの場合、投資のことをよく知らない人には、S&P500を買いなさいと勧めています。
S&P500なら十分分散されていますし、The Corporate Americaへの投資でもあるからです。
※The Corporate Americaとは、アメリカ国内の大企業やビジネス全体という意味で、この場合はアメリカを代表する多くの企業に分散投資ができることを意味します。
更に言ってしまうと、ウォーレン・バフェットのポートフォリオを見てみると、銘柄数としてはかなりの分散がされています。
ただし、ある銘柄に対する確信度が高まると、どんどん買い増していくので、分散ポートフォリオとは言えないのが現状です。
投資の世界でポートフォリオと言った場合には、それは、保有資産の集合体のことを言います。
何を言っているのかだけではなく、何をしているのか、も見ておいた方が良いですね。
最高の成績も最低の成績も集中投資から
投資の成績を最も良くするのは、これから最も上昇するものを見つけて、一旦上がり切ったものを売って乗り換える、ということを誤ることなく、し続けられれば、最も高いリターンが得られます。
これは分散投資ではないです。
最善のパフォーマンスになるものに乗り換え続ける集中投資です。
これが出来たら、あっという間に「億り人」です。これは宝くじに当たるのと同じくらい難しいことかと思います。
逆に言うと最高の投資先を外しまくると、最低の投資利回りしか出ないものになります。
神様のようにこれから先何が一番良いかが全てお見通しである、という人は集中投資で良いかと思います。
それは難しいなと思うのであれば、やはり分散投資をした方が良いかと思います。
分散投資は、最高を狙わないことで、最低にもならず、まあまあの成績を安定的に狙う戦略です。
当て続けるのは難しいということや、最高のリターンを上げられるもの1銘柄だけで勝負するのは難しいが、良いと思われるものを多数買えば、外れはあったとしても、全体としてはまあまあ良い成績になるだろうということが、プロには分かっています。
だから投資信託などを見ても、結構多くの銘柄が入っています。
(50銘柄だと少ない方です)
分散投資のメリット
投資ポートフォリオのリスク分散
分散投資は、投資リスクを分散する手法です。
単一の投資対象に全てをかけると、その対象に関連するリスクや変動によって大きな損失を被る可能性が高くなります。
しかし、異なる種類の資産や市場に分散して投資することで、個別のリスク要素が相殺しあい、全体の投資ポートフォリオのリスクを低減することができます。
収益の安定化
分散投資は、投資ポートフォリオの収益を安定化させる効果もあります。
異なる資産クラスや市場が異なる時期に異なるパフォーマンスを示すため、ある資産のパフォーマンスが低下しても他の資産がその損失を相殺する可能性があります。
これにより、投資全体の収益性を向上させ、リターンの一貫性を確保することができます。
リスクとリターンのバランス
分散投資は、リスクとリターンのバランスを達成する上でも重要です。
高リターンを追求する一方で、高いリスクを負いたくない場合、異なる資産クラスや市場への分散投資は有益です。
リスクの高い資産とリスクの低い資産を組み合わせることで、ポートフォリオ全体のリスクを調整し、リターンを最適化することが可能です。
長期的な投資の安定性
分散投資は、長期的な投資の安定性にも寄与します。
市場や経済の変動は予測できないものですが、異なる資産クラスや地域への分散投資により、特定の市場の変動や個別の企業の業績によるリスクを軽減することができます。
長期的な視点でポートフォリオを管理することで、短期的な変動に左右されずに投資を続けることができます。
リスク管理と心理的な安心感
分散投資は、リスク管理の観点からも重要です。
投資を分散することで、個別の投資対象の結果に過度に依存することなく、全体的なポートフォリオのパフォーマンスを安定させることができます。
また、ポートフォリオの分散は心理的な安心感ももたらし、市場の短期的な変動に対して冷静に対処することができます。
分散投資のキーポイント:ノイズキャンセリングの仕組み
分散投資をするとしても、効果的な分散投資と意味のない分散投資(それを分散とは言わないとしても)があります。
分散投資を考える場合、最大のポイントは、動き方の違うものを組み合わせるということです。
完全に対照的な動きをするものを同量持つ場合を考えてみてください。
これは、イヤホン、ヘッドホンで、ノイズキャンセリング機能があるものと同じです。
ノイズキャンセリングの仕組みは、ノイズの周波数と同じ周波数のものをずらして完全に逆の動きをするようにしています。
それによって周波数同士が打ち消し合って、ノイズが消えてしまうというものです。
完全に逆の動きをする資産が2つあるとしたら、それを同時に同量持つと、互いに打ち消しあうので、リスクはゼロになりますが、同様にリターンもゼロになります。
幸い、このような資産クラスはないので、リスクは消したがリターンも消してしまうという心配はありません。
このノイズキャンセリングをイメージすると良いかと思います。
分散は、組み合わせるものが多ければ多いほど平準化していくのですが、多すぎると分散の効果も低くなります。
分散の効果が小さくなるというのは、1つに対してもう一つ加えるのと、10に対してもう一つ加えるのでは、効果が異なるのは直感的にお分かりになるかと思います。
正確にこれらの分散を効率的かつ効果的に分散していこうとすると、各資産の分散や共分散、相関係数などを求めながら計算していく必要が出てきます。
そこまでやっても、それらの資産が想定通りの動きかたをするかどうかも分からないので、個人投資家のレベルでそこまでするのはムダかと思います。
資産レベルでの分散について、次回お話していきます。
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