投資はお金が絡むので、どうしても感情、特に「恐怖」「貪欲」「退屈」などが、合理的な行動を歪めてしまい、大きな損失、あるいは儲け損ない(逸失利益)の原因になったりします。
これが投資を人間の判断で行う時の最大の問題です。
ただ、運が良ければこれが大化けの原因にもなりますので、両刃の剣です。
投資である程度確実に増やしていくためには、ホームランを狙わず、大損を避けるために何が出来るかを徹底的に考えていくことが大事になります。
前回お話した時間をかけることにより、複利の魔法を最大限利用する方法を考えることも大事になります。
投資のプロではない個人が財産形成のためにする投資では、身の丈に合った投資をすることがとても大事です。
そのためには、今回お話する投資を自動化することと、前回の時間を味方につけることの組み合わせは必須のものとなります。
健康と楽しみのために草サッカーをしている人がいきなりプレミアリーグでプレーするような無茶は痛い目に会うようなものです。
プレミアリーグで戦うには、段階を追って実力を付けて少しずつレベルアップしていくことが大事です。
もしくは、一気にそのレベルで戦い、損失を出しながら学んでいくというのも一つです。
ただ、その場合、最初はカモになって大ヤラレする可能性も高いのであまりお勧めしません。
投資の良いところは、同じフィールドで戦いながら、トッププロにはトッププロの、そしてアマチュアにはアマチュアの戦い方があるのです。
その戦い方を間違えないことを心がけていけば、まずまずの結果が得られることになることが期待されます。
投資の自動化については、このオンラインスクールのステップ3のところでも自動化の設定をしましょう、ということで簡単に触れました。
自動化の仕方には二つの方法があります。
一つはドルコスト平均法(Dollar Cost Averaging)と呼ばれるものです。
これは様々なところで取り上げて、個人の投資では重要であることが述べられているので、聞いたことのある方も多いかと思います。
もう一つ、価値平均法(Value Averaging)と呼ばれるものもあります。
この呼称で呼ばれることは多くないですが、一般的な方法の一つです。
それぞれについて、簡単に説明していきます。
ドルコスト平均法
ドルコスト平均法とは、毎回の投資額を一定にし、購入する資産(例えば、株・債券・投資信託など)の数量を調整させる方法です。
証券会社のサイトにおいて、「定期定額購入」とか、「積立投資」という名称でプログラム化されているサービスがそれにあたります。
定期定額が可能な主な資産は、投資信託です。
株式は、日本株でそうしたサービスをしている会社は多いかと思います。
この場合、単位株(多くは100株単位)未満は、自己名義にはなりませんが(株主優待はないです)、配当などは持ち分に応じてもらえます。
米国株などで、この定期定額購入のサービスはまだ見たことはありません。
既にやっている証券会社もあるかもしれませんので、適宜チェックしてみてください。
この方法の利点は次の三つです。
- 毎回投資する(積み立てる)資金の量が一定であるので、計画的に投資しやすい。
- 購入対象の価格が高い時は少なく、安い時は多く買うことが出来るため、コストの平均を下げる効果が高い。
- 市場の良し悪しを見て投資タイミングを判断する必要がない
例:ドルコスト平均法
この場合、1か月10,000円ずつ10カ月積立て合計100,000円の投資となりました。
購入していた株が上にように動いていた場合、各月の購入株数は、10,000円÷株価で計算されたものになります。
結果として、10カ月で149.24株を購入したことになります。
平均単価は670.05円です。
この証券の直近の株価が672.3円でした。
株価がかなり高い時期にも買っていましたが、それでもプラスのリターンが出ています。
((672.3-670.5)x149.24=+335.93)
価値平均法
価値平均法は、購入する株価を一定にして購入していくものです。
こちらも定期的に購入する仕組みとしては、とても良いものです。
しかし、ドルコスト平均法にはかないません。なぜなら、株価の変動によって、毎月積み立てる額が変動するため、投資の計画が立てにくい。
また、高い時でも安い時でも同じ数量しか購入しないので、コストを抑える効果がドルコスト平均法に比べると劣ります。
ただし、ドルコスト平均法と同じように、市場の良し悪しを見て投資タイミングを判断する必要がない、という大きなメリットがあるので、価値平均法も利用価値はとても大きいと考えています。
例:価値平均法
購入数量がドルコスト平均法とほぼ同じになるように、毎月15株買うという購入方法にしました。
毎月15株ずつ10カ月購入していきます。
毎月の積立額は、その月の購入日の株価x15株で決まります。ドルコスト平均法の例で使用した株と同じものを使って比較してみます。
10カ月で150株(15株x10カ月)の購入が出来ました。
購入に要した費用、すなわち投資した総額は101,346.75円になります。
そして平均単価は675.65円です。
ドルコスト平均法に比べると若干高くなってしまっています。
(それでも、途中700円台が4回ほどあったにも関わらず、平均単価はかなり抑えられていると言えます。)
平均単価が少し高かったため、直近では僅かに損失になってしまっています。
((672.3-675.65)x150=-501.75)
ドルコスト平均法、すなわち定期定額購入や、積立投資のプログラムがある場合はそれを出来るだけ利用すると良いかと思います。
一方、価値平均法が出来るのは、「定期購入」というサービス名で提供されているかと思います。
これも利用していただければ良いかと思います。
市場が良くても悪くても、悩まずに勝手に投資しておいてくれる自動化のサービス(定期定額、積立投資、定期購入など)は是非導入していただければと思います。
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