過去3回にわたって、銘柄を見つける方法についてお話してきました。
銘柄を見つける方法
- 個別の製品・サービスから個別の企業にたどり着く方法
- ビジネス・トレンドから個別の企業にたどり着く方法
- 大きな社会的トレンドや社会課題に取り組む会社を探し当てていく方法
- 証券口座や有料情報サイトでのスクリーニングによって銘柄を絞り込む方法
- プロの投資家によって運用された優れた投資信託が保有している銘柄を参考にする
- 有料メルマガなどで取り上げられたもの
- 本や雑誌で取り上げられた銘柄をヒントにする
- SNSなどで取り上げられた銘柄
⑤まで説明が終わりましたので、今回は⑥からになります。
通常は、⑥⑦⑧を情報源とした投資は止めた方が良いとお伝えしています。
百害あって一利なしというほどでもなく、少なくとも一利くらいはあるかと思いますので、そのあたりを説明していきたいと思います。
⑥有料メルマガなどで投資を取り上げられたもの
やってはいけないのが、有料メルマガなどで取り上げられたものを鵜呑みにしてそのまま投資してしまうこと。
これはNGです。
まず、投資において万人共通の正解はありません。
そのメルマガの投資スタンスがどういうものかを理解しておく必要があります。
まずは投資スタンス、2~3年である一定程度(例えば20%、50%、100%以上)上昇する銘柄を狙っているのか、1~2か月くらいで20%くらいの上昇を狙っているのか。
投資元本の安全性を重視した運用なのか、リスクはそこそこあるが資産の増大を目的にしているのか。
そうした投資へのアプローチが、自分の目指しているものと合致していますか?
その確認なしに、そこで推奨されているものを鵜呑みにするのは、自分の大事なお金を不必要なリスクにさらしてしまったり、あるいはムダに安全な運用になってしまたり、ということが起きます。
次に、その推奨が起きた時点はいつか?海外のものを日本語にして受け取っていたりすると、海外で発行されたのが1か月前で、日本語になるまでかなり時間が経ってしまっていることも多い。
そして、そもそも推奨に至るリサーチなどが行われたのは、その更に前になります。
こうしたことを踏まえると、少なくとも、鵜呑みにして投資するのは危険だということがよく分かるかと思います。
有料のメルマガの場合は、大きなストーリー(トレンド)の説明がなされ、その恩恵を受ける銘柄はこれです、と言う流れになります。(少なくとも私の知っているものはそんな感じです)
まず、その大きなストーリー(トレンド)の話は、ほぼ皆さんが日ごろから感じていたりすることを言語化しているので、概ね納得感のあるものになります。
次の段階が結構曲者で、そのトレンドの説明から、なぜ、該当の銘柄が推奨となったのかの説明が必ずしも十分ではないケースが多い。
その点が充分説明されずに、そのトレンドの恩恵を受けるし、割安でアップサイドがこのくらいあります、というような説明がされている。
おそらくそれはそうなんだろうな、と思いつつ、でも、なぜその銘柄でなければならないのか、という点に必ずしも納得感が無いことが多い。
そこで、大きなトレンドと、その恩恵を受ける企業がどんなものか、というストーリーだけを参考にしましょう。
そのうえで、もう少し、自分で調査を進めて見るのも良いかと思います。
ただ、この辺りになってくると、ある程度の調査の情報源、調査の経験などの勘所がないと、難しいかもしれません。
有料メルマガなどによる推奨については、中級以上の投資家向けかなと思っています。
これは、有料ではない証券会社のメルマガでも一緒です。
このような情報源は、そこで推奨された銘柄を購入するのではなく、そこで語られている業界のストーリーやトレンドの状況を参考にする(何が世の中で起こっているのか)ために使うのには、とても役立ちます。
それでも、自分で追加調査した結果、やはりそこで推奨されている銘柄が良さそうだ、ということも当然あります。
その場合は、自分で調査もしているので、購入することは全く問題ありません。
⑦本や雑誌で紹介された銘柄
特に雑誌などで「今、買うべき銘柄はこれだ!」みたいな見出しで様々な銘柄が上げられていたりします。
米国株では少ないですが、日本株などでは、よくこうした記事を見ます。
概ねほとんど役に立たない。
この点は、先ほどのメルマガでお話ししたのと全く同じ理由ですし、タイミングのズレ(記事の調査時点、記事が書かれた時点、発行された時点、あなたがそれを見た時点)を考えたら、相当気を付けた方が良い。
奇をてらった銘柄選択がされていることが多い。
まあ、よくこんな銘柄を見つけてきたね、みたいなものも結構あります。
それはそれで面白い。
銘柄を知るということのきっかけとしては、使えると思っています。
⑨SNSで取り上げられた銘柄(ミーム株は要注意)
日本には、Redditのwallstreetbetsのようなサイトがあるのかどうかしりませんが、アメリカでは、このSNSサイトで、インフルエンサーが「XX銘柄が買いで、これから買いにいく」などという投稿をすると、フォロワーが一斉に買いに行き、株が意味もなく暴騰する、と言うことが起きました。
これが、よく話題になったミーム株現象です。
対象となる企業のファンダメンタルズ(ビジネスの状況、収益や売上など)に変化が無い中での動きなので、非常に脆弱です。
日本で、少なくとも私の目に入る範囲(かなり狭いかもしれません)では、SNSで語られる銘柄は、米株に関して言えば、多くの人が知っている銘柄が中心です。
追加調査もしやすいし、自分なりの見方を持ちやすいものです。
投資は自己責任と言いながら、何かで推奨されているものを鵜呑みにして投資して失敗した場合、自己責任と感じにくいものになってしまいます(鵜呑みにしてしまったことの責任はもちろんあります)。
自己責任を取るには自分なりの納得感が必要です。
そして、投資が上手く行かなかったときに、なぜうまく行かなかったのか、を追及し学ぶことが出来ないと意味がありません。
他人のアドバイスをもらう時でも、必ず、自分で納得して投資することが大事です。
自分で納得するための手伝いを他人に求めること自体は、悪いことではありません。
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