寒さがぶり返し、東京でも少し雪が降ったりと天気も不安定になっています。
御存知のように、米国株式市場だけではなく、その影響を強く受ける日本株市場も、トランプ米大統領の発言や政策に、不安定さを増しています。
数値的な定義はともかくとして、現時点で、米国株式市場は「調整局面」に入っていると判断して良いかと思っています。
概要&マクロ
この週(3/3~3/7)の1週間の下げは、昨年9月以来の大幅な下げになります。
BYダウは、年初来でも辛うじてプラスを保っていますが、より市場の状況を的確に反映するS&P500は年初来でも-1.89%、テクノロジーなどグロース銘柄の多いNASDAQは-5.77%と大きく下落しています。
更に、私たち日本人投資家にとってみれば、円高も進んでいるので、下落幅は更に大きくなります。
ここ2年位が異常なほど好都合なマーケットであったので、こうした不安定な状況が珍しいものに思われるかもしれませんが、市場ではよくあることです。
直近高値からの下落率を見てみましょう。
既に、Russell2000は-15.01%も下落しています。NASDAQは長期のトレンドライン(200日移動平均線)を割り込んでしまっていますし、S&P500もこの長期トレンドラインの上下を行ったり来たりの状況です。
長期的な下落トレンドに入る危険な状況に置かれているとも見えます。そのため、数字的な定義は別として、現時点で「調整局面」に入っていると考えています。
私はチャートで全てを判断はしませんが、市場全体の動きを判断する際の一つの情報として利用しています。
市場心理を指標も、非常に弱い状況になってきています。個別でも過去のマーケットリーダーであったマグニフィセント7(その中でも特にテスラTSLAとエヌビディアNVDA)が逆に足を引っ張る状況になっている一方で、次のリーダーになりそうであった銘柄群も崩れてきています。
金曜日に、朝方の雇用統計で景気の弱さを懸念して、市場は更に大きく下落していましたが、パウエル議長の発言が景気は強いとの認識を示したことを、市場は素直に受けとめ、ポジティブな反応をしプラス圏で終わることができました。
市場が下落トレンド、調整局面にあっても、毎日下落している訳ではなく、時々反転する現象は起きます。特に、まだこの状況になってから日が浅いので、落ちたところを拾いに行く投資家も多い。
まだまだ安心は禁物です。状況は何も変わっていません。
セクターの状況
週間でプラスを保てたセクターはヘルスケアのみ。
関税の影響で大きな影響を受けると考えられているのが消費セクターですし、景気の鈍化はエネルギー消費や、金融にも大きな影響を及ぼすと考えられることから、ほぼ全般的に売られたことがよく分かります。(金利も少し上昇しましたし)
一番右側の列の数字を見ていくと、今年はグロース系ではなく、ディフェンシブ系がこれまでのところはかなり優勢であることが分かります。
個別銘柄の状況
週間ベース(WTD)でもそうですが、年初来(YTD)で見てもマグニフィセント7は全然「Magnificent(素晴らしい)」ではないですね。
その一方で、Vertex Pharmaceuticals+21.25%、Johnson & Johnson+15.26%、Eli Lilly+12.64%などヘルスケア銘柄の健闘が目立ちます。
米国株式の中でもこうした分野にも目を向けて分散投資をしていくと、パフォーマンスが安定します。
超大型銘柄が堅調な時は、時価総額加重で計算されるS&P500のインデックス投資も良いのですが、時価総額加重の投資は、ある意味でモメンタム投資(上がっているものをより多く買う)なので、今のような時期には、等ウェイトインデックスの方がパフォーマンスは良いかと思います。
今後の見通し
今回の調整局面は、業績成長とそれへの期待のギャップの調整によるものに加えて、政治的なもの(即ち、トランプ大統領の関税政策)によるものです。
どちらも、それなりに時間を要するものであると思われます。
トランプ大統領の関税政策が、大きな混乱を呼んでいます。これまで時間をかけて作り上げてきたサプライチェーンを壊すものでもありますし、その過程では、物価を押し上げる効果が想定されることなどが懸念材料となっています。
インフレのメカニズムは、実はまだ解明されていない部分も多いので、本当に関税がインフレを引き起こすのかを断定することは出来ないし、どの程度の影響になるかもわからない。
ただ、現時点ではインフレの影響が出るである確率は高そうだとは言えそうです。
第1期トランプ政権では、トランプ大統領は株式市場の反応を非常に気にしていましたが、今回は株式市場に混乱があったとしてもやるべきこと(彼がやるべきと考えていること)はやるという姿勢です。
対カナダ、メキシコ、中国に関しては、国内の薬物過剰摂取の問題が非常に大きい(これらの国から大量に密輸されていると考えられている)ので、この問題への解決策が見えない限り、関税政策を引っ込めることはない可能性が高い。
中国に関しては、それだけではありません。米国経済の中国依存度は非常に高いものの、経済的・軍事的にも米国を脅かす規模になりうる国は現時点では中国であり、これを早く叩いて強敵にならないようにしておくということが意図されていると推察されます。(これは第1期政権以来、バイデン政権も含めて取られている政策)
どの程度までやるかは別にして、そこそこはやり続ける可能性が高いと見るべきかと思います。これまでの国際自由貿易による生産効率化のモデルは機能しづらくなり、サプライチェーンの組み換えや、コストが上がる部分を、国際分散ではなく、どのように効率化するかを追究しえた業界・企業が成功していくモデルに変わっていくのかもしれません。
良いか悪いか、好きか嫌いかは別にして、トランプ大統領はちょっととてつもないことをやろうとしているとも見えます。
彼の言動や、大統領令にサインしたというニュースだけではなく、実際に行われていること(署名された大統領令も裁判所でストップになっているものも多い)をきちんと見ていく必要もあります。
物事を俯瞰的に見る視野で長期の判断を誤らないようにしていきたいものです。
後記
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