【米国株式週間アップデート】利下げ開始。解釈はマチマチ 2024年9月21日

投資

待ちに待ったFRBの利下げが9月のFOMC(9/17・18)で決定され、今回の下げ幅は市場が期待した通り50bps(0.5%)でした。

今回の金融政策の変更についての解釈は、様々ではありますが、最大のポイントは、政策金利が中立化に向かって低下し始めたということです。

市場全般&マクロ

既にニュースなどでも話題になったので、ご存じかと思いますが、NYダウはこの週(9/16~20)に月・木・金の3回最高値を更新しました。

S&P500も19日(木)に最高値を更新しました。金曜日に少し下げてしまいましたが、最高値圏での推移です。

上で述べたように、この週の最大のイベントは、FOMCでの利下げ開始にありました。

市場では、直前に50%以上の確率で50bpsの利下げを期待する状況になっていました。加えて、年内の下げ幅が125bps。これは、今回を含めて年内FOMCは3回なので、50bpsの下げが2回、25bpsが1回という予想が強くなってきていました。

市場は、そのくらいしないとFRBは今回も対応が遅れ、リセッションに入ってしまうのではないか、と懸念していた、と言うことがあるかと思います。

景気が、現時点でそんなに弱いという見方が、ちょっと極端かなと思っていましたので、今回25bps下げ、今後も様子を見ながら下げます、ということで全く問題ないと思っていました。

アナウンスされたのが、50bpsの利下げ。しかし、パウエル議長の会見では、今回は50bpsだがこれが今後も続くとは期待しないで欲しいというものでしたし、FOMCの委員の今後の金利の見方を示すドットプロットが今回発表されていますが、これを見ると、年内100bpsの下げ、2025年・2026年それぞれ1年かけて100bpsの下げを予想しています。

2026年末にはFFレートは2.25%~2.5%まで下がることになります。

インフレは沈静化してきている、インフレの再燃懸念を起こす賃金上昇も落ち着いてきている、ということが確認されてきているということが、今回の動きにつながってきているということは言えそうです。

データ次第では、この利下げのスピード感は変わってくるものかと思います。

これで景気後退に陥ったとしても、軽いもので収まってくれれば(これがソフト・ランディング)、金融市場にとってはかなり良いシナリオ展開かと思います。

セクターの状況

上で見たようにS&P500は上昇しています。

上昇の仕方について、セクターのレベルや個別銘柄のレベルで見ていくと、これまでとは異なるピクチャーが見えてきます。

上のセクターのテーブルは、週次のパフォーマンス(WTD)で順位付けしたものです。(PHLX Semiconductorは半導体セクターの動きを見るために上の11業種とは別でとってきています)

黄色はシクリカル系(景気敏感系)セクター、 薄い緑はグロース系セクター、濃いベージュはディフェンシブ系(景気非敏感系)セクターです。

市場が上昇しているので、ディフェンシブが相対的に劣後しているのは、良くある話です。

その中で、グロース系セクターとシクリカル系セクターが入り乱れています。

ここのところ私がこのブログでも言い続けている「セクター・ロテーション」の最中で、両セクターのせめぎ合いが起きている状況かなと見ています。

これまで市場を牽引してきたグロース系セクターが、最近では若干停滞気味となり、金利低下期待からシクリカル系セクターのパフォーマンスが良くなってきています。

グロース系セクターが主導権を渡すまじ、と抵抗しているように見えます。もう少し、この状況が続く可能性があります。

個別銘柄の状況

この週にメタ(META)とネットフリックス(NFLX)がAll Time Highと引け値ベースの最高値を更新しています。

今四半期(QTD。7月1日~)、S&P500は+4.43%の上昇。マグニフィセント7で、これを上回ったのは、META、AAPL、TSLAの3銘柄だけです。

最近は、マグニフィセント7が市場を牽引するというよりは、足枷になってしまっている状況がしばしばみられます。状況が変わりつつあるのかな?それでも上昇しているのは、幅広い銘柄が上昇しているということなので、市場全体としては悪い話ではない。

S&P500が最高値を更新し、最高値近辺で推移していますが、市場で最も愛された銘柄だったとも言えるエヌビディア(NVDA)は-2.6%ですし、9月の月初来でも-2.82%、7月初からの今四半期初来でも-6.1%と。今はS&P500のお荷物状態です。

年初来はそれでもまだ+134.24%なのでずば抜けてはいます。6月に最高値を更新してからは停滞しています。ビジネスは、引き続き絶好調です。変わったのは、投資家側の見方だけです。特に短期で儲けるべく、レバレッジを掛けて大量に購入していた人などにとっては、この株価の動きは失望です。

短期で過大なリターンを期待し続けた投機家が諦めてくれれば、その堅調なビジネス状況から、長期的には悪いことにはならないだろうと思います。投機家が振り落とされれば再上昇に向かうでしょうが、それに時間がかかると停滞期間も長くなる可能性がると見ています。

ここには出ていませんが、今週出た話で、長期的に注目しておいた方が良いかなと思われることがありました。先週、電力セクターがAIテーマで上昇している話をしましたが、その関連です。

コンステレーション・エナジー(CEG)が、マイクロソフト(MSFT)のデータセンター向けに電力供給する契約を結びました。このニュースで、CEGは金曜日に+22.29%上昇しました。

更に興味深いのが、その電力供給が、スリーマイル島の原子炉(1号炉)を再稼働させて供給するというものです。スリーマイル島は1979年にメルトダウンを起こした原子力発電所(事故は2号炉)で、1号炉は2019年に一旦営業停止していたものです。

このニュースでは、今後20年に渡りマイクロソフトに低炭素エネルギーを供給することになるということで好感され、CEGの株価が暴騰しています。原子力発電に対する見方の彼我の差を感じます。

MSFTの創業者のビル・ゲイツ氏が、最先端の原子力発電などにかなり力を入れていたので、原子力発電による電力供給は驚かなかったが、旧式の発電施設で発電されたものを使うということが、少し意外でした。(これは感想です)

今後の見通し

目先の最大のイベントが、解釈はいろいろあるにせよ、利下げ方向で動きだしたことは、とてもポジティブだと思っています。

次の最大の不透明要因は、大統領選挙かと思います。それも決まるまで。決まってしまえば、市場はそれを受け入れ、消化する過程に入ると見ています。

インフレを再燃させるような財政政策を打ちまくらなければ、基本的には上昇方向に動くであろうと見ています。

短期的には、大きく下落局面も起きえるとは思います。あまりバタバタせず、起きたイベントの長期的な意味合いを考えて行動すれば良いかと思います。(実質的には多くはノイズなので、何もせず淡々と投資するのがベストかと思っています)

後記

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