【米国株式週間アップデート】最高値更新・ダウは4万突破　2024年5月18日

この週（5/13-5/17）のハイライトは、ニュースでも伝えられている通り、米国株は最高値を更新し、NYダウ平均は初の4万を突破して引けたことでしょう。

市場全体・マクロ

業績が比較的好調なことと、インフレ指標が若干ですが緩んできたことで、スタグフレーション懸念が後退し、年内のFRB金利引き下げの期待が再浮上してきたことが市場全体を押し上げてきています。

火曜日（5/14）のPPIと水曜日（5/15）のCPIが心配したほどではなく、インフレの鎮静化を期待させるもの（少なくとも、再利上げになる心配は小さい）であったことなどから、市場には安心感が広がりました。

結果として、前週末時点で最高値に近づいていた、NYダウ、S＆P500、NASDAQ（およびNASDAQ100）は、水曜日（5/15）に最高値を更新し、NYダウは金曜日（5/17）に再度最高値を更新し、しかも4万ドルを突破して引けました。

今週の市場での話題の一つが、ミーム株ブームの復活です。あまり好ましい現象とは言えない現象が復活しているようなので、バブル的な臭いが強くなり始めた感じがします。

前回と同じく。小型株で空売りの多い銘柄が対象になり、ゲームストップ（GME）やAMCエンタ―テイメント（AMC）などが乱高下しています。

ファンダメンタルズの裏付けのない、ギャンブルもしくはゲーム的な動きです。これを逆手にとって大儲けしているヘッジファンドなどもあるようです。

簡単に大儲けできる方法は長くは続きません。動きが極めて速いので手を出さない方が身のためかと思います。

金利が低下していますが、短期金利はあまり低下しなかったこともあり、為替は円高に振れる場面もありましたが、結局あまり変わらずで終わりました。

金が引き続き上昇しています。銅が最高値に接近していることや銀が11年ぶりの高値を更新していることなども影響しているとも言われています。

金利が低下方向のため、為替もドル安方向に動きやすいことなどから、金はまだ強い可能性があります。

セクター―の動き

テクノロジーが週間ベースで最もパフォーマンスの良かったセクターではあるのですが、グロース系が全て良かった訳ではなく、どちらかと言うとディフェンシブが比較的良く、シクリカル（景気敏感）が弱いような市場であったと言えそうです。

個別株の状況

上のテーブルで取り上げている株は全体としては概ね好調だったと言えるかと思います。

その中で、最高値を更新しているのが、アルファベット（GOOGL）とJPモルガン・チェース（JPM）です。

JPMは、業績が向上している上に、金利の動きが収益環境を改善しているということを期待させるので、安定的に上昇している感じになっています。

テスラは底値からの戻りが続いているようにも見えます。中国製EVへの100%関税のニュースなどが、実質的な影響はともかくとして、心理的にはプラスに作用している部分もあるかと思われます。

今後の見通し・今すべきこと

業績は悪くないし、金利引き下げのタイミングはいろいろな見通しがあるようですが、少なくともこれ以上金利が上がることはなさそうですし、低下に向かうことになる可能性の方が高そうなので、環境的には悪くないと思っています。

従って、基本的には強気スタンスです。

最高値を更新すると、もう一旦終わりという声も出やすいですが、水準感だけで判断するのは危険です。最高値を越えた水準は過去に経験のない「未知の世界」なので、何が起きるか分かりません。

ただ、マーク・トウェインが言った（とされる）「歴史は繰り返さないが、韻を踏む」ということは十分あり得るので、気を付けておく必要はあります。

ただ、どのように韻を踏むのか、どのように、そしてどの時点のパターンに近いことが起きるのかは予想出来ません。

来週（5/20-5/24）の注目点は、何と言っても5/22に発表されるエヌビディア（NVDA）の決算かと思います。素晴らしい決算を出すことは間違いないと思われますが、予想も非常に高いので、それを様らに上回り、先行きについてもアナリストの予想を上回るガイダンスが出れば、市場は更に上昇しやすくなるでしょう。

ただ、ハードルは上昇し続けており、AIチップの世界では無敵のNVDAにとってもだんだん厳しくなっていくかもしれません。注目です。

ノイズとしてちょっと気にしているのが、ミーム株の動きです。市場に大きな影響を与えることはないと考えていますが、ミーム株の動きは心理的にはバブル的なものなので要注意です。

市場全体が強気に傾斜しつつあるので、油断が出やすい時期です。警戒を強めつつ強気スタンス維持で行きましょう。