エヌビディアの業績発表も無難にこなし、米国株式市場の関心は、景気を大きく左右するクリスマス商戦の行方と、次期政権の主要人事と政策動向に集まっていくかと思います。
その一つとして、もちろん、12月17・18日のFOMCでの金融政策の決定にも関心は集まっています。
11月28日が感謝祭(Thanksgiving)で休場、29日は市場は半日(Early Close)で休みの人も多いので、実質的には25日~27日の3日間と考えて良いかと思います。
市場全体&マクロ
この週(11/18~11/22)は、主だった経済指標の発表も少なかったので、市場の関心は20日の引け後に発表されたエヌビディア(NVDA)の業績発表にありました。(後述)
加えて、市場を少し驚かせたのが、グーグルの親会社アルファベット(GOOGL)に対する司法省の動きでした。
司法省は、GOOGLに対し、同社のブラウザであるChromeの販売中止(分割、売却などにより)を要請しています。
巨大化し過ぎると、様々な企業活動が、競争を阻害するものと捉えられる可能性があり、このようなことが、米国では起きます。(反トラスト法が根拠法になります)
過去にもAT&Tが、分割させられたことがあります。(1984年)
巨大化した企業、特にマグニフィセント7銘柄は、どの企業も司法省 や連邦取引委員会(FTC)などに厳しく見られているのが現状で、この手のニュースは、しばしば出てくるかと思います。
実際に、分割や売却などに至るとしても、法廷闘争も含め、決着まではかなり時間がかかるので、慌てる必要はないかと思います。(ただ、情勢はウォッチしておいた方が良いです)
もう一つ、市場にいろいろ材料を提供しているのが、トランプ次期政権のキーポジションの人事です。
市場から最も注目されていたのが、財務長官です。候補に3人の名前が挙がっていました。最終的に、22日金曜日の夜に、ヘッジファンド経営者のスコット・ベッセン氏を指名しました。
ウォールストリート寄りに人選なので、市場はポジティブに受けとめるかなと思います。
金儲けをすることと、一国の財務を運営することは全く異なることなので、どのように采配するのか注目したいところです。
一点付け加えておくと、現在、世界最大の時価総額となったNVDAは、NYダウにも組み入れられています。そのNYダウは、22日(金)に再度、引け値ベース最高値を更新しています。
セクターの状況
大型テクノロジーに足踏み感があることもあり、グロース系セクターが下位を占めています。その分、ディフェンシブやシクリカルに資金が流れているようでもあり、良い広がりを見せているように見えます。
感謝祭翌日の29日のブラックフライデーセール、そしてそこから始まるクリスマスセールの行方は、米国経済にとって非常に重要です。この動きは今後を見る上でも注意が必要です。
そうした中で、小売りセクターの業績発表が続きます。(小売りセクターの多くは、決算期が1か月ズレて、1月末というのが多い。これは稼ぎ時の12月末を決算にすることを避けたいということかと思います)
個別銘柄の状況
NVDAは、この週にAll Time Highを更新し、最近絶好調のネットフリックス(NFLX)と金融大手のJPモルガン・チェース(JPM)がAll Time Highと引け値ベースの最高値を更新しています。
NFLXは、ドラマだけでなく、スポーツイベントの生中継が起爆剤になっているようです。
NVDAは、市場予想を上回る決算でした。先週も若干触れましたが、市場予想を上回る期待が一部で囁かれて(Whisper Number)おり、それが非常に高いものでした。そこには達しなかったので、発表直後の取引(引け後取引)では、失望売り、あるいは材料出尽くし売りなどが出たようです。
それにもかかわらず、下げ幅は小さかったうえに、発表後最初の通常取引が行われた21日木曜日は上昇で終えています。
3桁の収益増は既に途絶えた(5期も続いたこと自体が、この規模の企業では通常あり得ない)ことや、株価もここまで大きく上昇(年初来で2.8倍、2022年末と比較すると、ほぼ10倍)していることで、利食い売りも出やすい状況かと思います。
NVDAを今後も持ち続けるかどうかは、この銘柄に何を期待しているのかにもよるかと思います。実際のところ、6月くらいから株価は伸び悩み、再上昇軌道に戻れていないとも言えるからです。
それは、マグニフィセント7全体に言えるかと思います。
今後の見通し
少なくとも、現時点で市場の材料になりそうなことを考えると、米国株式市場にとってあまりネガティブになりそうには思えない。消去法的な選択をしても、取り敢えずは米国株式市場に投資しておくのが一番かなという判断になりやすい。(基本的に上昇トレンドを見ている強気です)
そのためでもあるのですが、市場参加者がブル(強気)に結構傾いて来ています。この話は過去にもしていますが、マージン取引(日本でいう信用取引)の比率が高まりつつあります。
即ち、お金を借りてでも沢山投資をした方が良いと考える人が増えつつあるということです。こうした状況は、何かのきっかけで市場が崩れると、その崩れ方を大きくするので、要注意です。
基本強気で良いかと思いますが、過度に強気にならないようにすること、そして、これまで市場を牽引してきたマグニフィセント7銘柄に頼り切らず、分散を少し心がけると良いかと思います。
マグニフィセント7銘柄を少し削って、中小型を買う動きがあるようで、最近は中小型株が好調です。市場に広がりが見えてきているので、少し視野を広く持つと良いかと思います。
後記
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