【米国株式週間アップデート】景気・インフレ懸念が不安煽り下落 2025年2月22日

投資

2/18~2/21(17日がPresidennts’ Dayで休場)は、週初、S&P500とNASDAQ100が最高値を更新するなど好調に見えました。

しかし、政治が不透明な中で、景気の先行きに対する懸念が強まった一方で、関税の影響によるインフレ鎮静化の遅れが意識されるなど、マクロ環境的には金融市場に逆風が吹きつつあることが意識され始めました。

それに追い打ちをかけるように、企業の業績の伸びに対する懸念(市場の期待に実際の業績、業績見込みが満たない)も出始めるということで、木・金の二日で大きく下落する展開となりました。

概要&マクロ

先週号で、不安定になっているのに、市場は意外に安定している、ということに若干の懸念を表明していました。

火・水は、S&P500、NASDAQ100が最高値を更新するなど、そうした懸念も杞憂であったかと思っていましたが、週を終わってみると、懸念は株価に表れてきたようです。

<マクロ要因>

1. ミシガン大学の消費者信頼感指数:64.7(前月71.1、予想67.8)

インフレ期待(先行き1年):4.3%(前月3.3%、予想4.3%)

インフレ期待(先行き5年):3.5%(前月3.2%、予想3.3%)

消費の落ち込みが懸念される(景気懸念)一方で、長期的なインフレの懸念が高まっています。

2. サービス業PMI指数:49.7(前月52.9、予想53.0)

予想以上に低い(→景気懸念)

3. 中古住宅販売(年率):408万件(前月429万件、予想413万件)

住宅市場が予想以上に冷えてきている。あまりに売れないので、Fo Sale(売り物件)を取り下げる件数が増えているとのニュースもありましたので、このニュースはそれを裏付けるものになっています。

業績懸念要因>

1.これは、実は毎日たくさん出ているのですが、全体に大きな影響を与えたものを上げると、ウォルマート(WMT)の悲観的な見通しは市場に消費の落ち込み懸念を呼びました。WMTは先週、All Time Highと引け値ベースの最高値を更新していました。その結果、WMTは週間で-8.9%の下落となっています。

2. ユナイテッド・ヘルス(UNH)が、金曜日にメディケア請求に関する司法省の調査が行われているとの報道で大きく下落(金曜日だけで-7.17%、週間では-10.91%の下落)しています。

WMTやUNHはダウ平均にも採用されている大型銘柄であることもあり、その影響は大きいです。

株式市場が不安定であったので、「質への逃避」(Flight to Quality)的な動きで、インフレ懸念下でありながら、金利が少し低下しています。

日本の金利の先高観に対し、日銀植田総裁が慎重な発言をし、円高が若干修正されたかと思いましたが、米国の金利が低下したことで、円高が進み一時148円台にも突っ込んだようです。

円高はないな、と市場の大半が以前は思っていましたが、そういう時には往々にして、円高に行きやすくなる。

セクターの状況

景気&インフレ懸念での下落と思われるので、グロース系セクターとシクリカル(景気敏感)系が売られたというのが明確に表れています。

ディフェンシブ系セクターと、原油価格が安定していた(というよりは、方向感が出にくく動けなかった)こともあり、エネルギーは相対的には堅調でした。

個別銘柄の状況

農機メーカーのディア(DE)と、銀行大手のJPモルガン・チェース(JPM)は週前半にAll Time Highと引け値ベースの最高値を更新しました。

DEは週間ベースでもプラスを維持しましたが、JPMは木・金の下落が大きく、結局週ベースでは-4.47%の下落と比較的大きい下落になってしまいました。

アップル(AAPL)はiPhone16eの発表もあり、プラスを維持するなど堅調でした。それ以外は薬品株などが堅調でしたので、UNHの大きな下落にもかかわらず、ヘルスケアセクターとしては堅調だったと言えます。

今後の見通し

これまで以上に警戒が必要かなと思われます。マクロ要因(景気・インフレ)は、政治的な不透明感(関税の影響など)もあり、金融市場には逆風になりそうな気配です。

加えて、業績に対する懸念が広がりつつあるのが、今後の市場の先行き懸念を強めさせています。

過去1年大きく上昇した銘柄が、この週大きく下落しています。

パランティア(PLTR)-14.9%、アクソン(AXON)-24.9%、カヴァ(CAVA)-18%、アップラビン(APP)-19%、レディット(RDDT)は先週-12.8%下落した上に更に-15.3%下落しています。

リスクオフ的な動きとも読み取れます。

24日の週は、マクロでは、火曜日に消費者信頼感指数、水・木には、住宅販売関連のデータ、そして28日金曜日には個人消費支出価格指数(PCE)が発表されます。マクロ指標も盛りだくさんです。

そして、26日水曜日の引け後に、エヌビディア(NVDA)が業績を発表します。NVDAの業績とガイダンスは、ブロードコム(AVGO)、台湾セミコンダクター(TSM)、その他多くの半導体関連などにとっても重要な意味があるので注目です。

NVDAの業績とガイダンスが投資家の期待を大きく超えるものにならなかった時には、再び不安定感が増す可能性もあります。気の抜けない週が続きます。

リスクは落とせるなら、少し落としておいた方が良いかと思っています。私は、先週僅かではありますが落としました。まだま落とし方が足りないかなと若干不安です。

後記

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