概況
先週(10/16~10/20)の米国株市場は、前週のレビューでも申し上げた通り、再上昇への試みが失敗したこともあり、下落が継続しています。
東北や北陸でヒグマが人里に降りてきて、人を襲ったりして、被害が頻発しています。市場にもクマが出現して暴れています。(弱気=市場の下落を予想する人のことをBear=クマと呼びます)
先週は主要4指数は揃って下落。先週指摘しましたが、S&P500、NASDAQが50日移動平均線を下回った状態になっており、これを上に抜ける試みが失敗しました。
そして、先週は16日(月)以外は4日連続で下落し、S&P500はついに200日移動平均線も下回ってしまいました。これは長期下落トレンド(弱気相場)へのシグナルとも言えなくもない。まだ確定ではないですが。
NASDAQはまだそこまで深刻ではないですが、近くこれを割り込むようなことになれば、更に厳しい状況になります。
長期の下落トレンドに入ってしまう可能性もゼロではないが、取り敢えずは実質的には調整局面に入ってきており、しばらく辛抱が必要かと思われます。
このような状況に至った原因にあまり変化はありません。
クマが暴れる要因(クマのエサ)は以下のようなものです。
① 引き続き金融政策の先行きへの思惑
② 混迷を深める米国内政治(予算審議・債務上限問題、下院議長決まらない問題)
③ 危機の度合いを深める中東情勢(イスラエルvsハマス)
④ 終わりの見えないウクライナ情勢
これに加えて、第3四半期の業績発表が始まっています。発表された業績自体はこれまでのところそんなに悪くない。しかし、先行きに慎重な見方を示すところが多く、それが市場の弱気な雰囲気の中で、頼みの綱の業績にも不安を抱かせるものとなり、下落を加速させているような状況です。
地政学的リスクの高まりが、安全資産への逃避を促しているようです。金利が高止まりし、ドルが高止まりしている中では、通常は需要が落ちる金が上昇し、1オンス2000ドルに迫る勢いになってきています。
金そのものの価格上昇とドル高で、日本円での金価格は最高値を更新しています。
雇用情勢は、若干の軟化が一部にみられるものの、引き続き強い状況が続いており、インフレの鎮静化に遅れが出ています。そのため、FRBも、これ以上の金利引上げは不要かもしれないが、金利の高い状況を継続する必要があるかもしれない、というスタンスになっています。
その結果、2年金利はあまり上昇せず、10年金利が上昇し、大きくマイナスが続いていた2年-10年の金利スプレッドが大きく改善し(逆イールドの状況の改善)てきています。
一時は-107bps(2年金利が10年金利より1.07%も高い状況)のマイナスのスプレッドだったのが、20日引け時点では、-14bps(-0.14%)まで縮んでいます。
10年金利が1週間で0.3%も上昇するという、債券は暴落と言っても良い状況です。
金利の上昇が大きく株式市場の足を引っ張ったとも言えるかと思います。
セクターの状況
セクターで目立った動きは、一般消費財サービスと不動産(REIT)です。
一般消費財サービスは、最大ウェイトのアマゾン(AMZN)の不調もありますが、2番目に大きいテスラ(TSLA)が大きく落ち込んだ影響かと思います。
REITは、金利の影響をまともに受けたと言えるでしょう。REITは、利回りで買われるセクターであり、10年金利との比較で魅力度が変わります。10年金利が上昇すれば、REITに求められる配当利回りも高くなる、即ち、価格は下落します。その現象が起きていると言って良いでしょう。
個別銘柄の状況
ここで目立つのは、テスラ(TSLA)とネットフリックス(NFLX)ですね。テスラは、第3四半期の業績が今一つでした。これは、事前に予想されていたので、さほど大きなサプライズではありませんでした。中国での値下げ競争の結果、利益率が落ちてきています。
業績発表のコールの中で、イーロン・マスクCEOが、11月末から納車が予定されている話題のサイバー・トラックについて、業績に寄与するまでにかなりの時間を要する可能性があり、サイバー・トラックについては「墓穴を掘ったかも」というような発言をしたことが影響したようです。
サイバー・トラックに大きな期待をかけていた投資家も多かっただけに、失望が広がったようです。
一方、NFLXは、ID/PWの共有を防ぐパトロールの強化と、安価な加入プランの導入が功を奏し、予想以上のサブスクライバーの獲得になったことが好感されました。
これまでのマーケット・リーダーであったエヌビディア(NVDA)には、再び政府による足枷が課せられた形です。半導体製品の中国への新たな輸出規制により、現在主力のデータセンター向け半導体の20%程度が輸出できなくなるとのことで、下落しています。
今何をすべきか
懸念材料が沢山あり、業績の先行き不安もある。足元では、短期的に売られ過ぎのシグナルも出ているので、自律反転も起きやすいですが、本格的な反転にはつながりにくい状況下と思います。
今は、米国株式のウェイトを下げられる人は下げておいた方が良いかと思います。インデックスの積立投資の場合は、どんな状況になっても淡々と継続することが重要です。
後記
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