先週(8/14ー8/18)の米国市場は、前週からの流れを引き継ぎ、インフレ・金利に対する警戒感が強まる中で、発表された前回のFOMCの議事録が、インフレが鎮静化するまで、まだまだ安心できず、高い金利の状況が想定より長く続く可能性があると読めたことで、引き続き軟調に推移しました。
特に、今年、前半のマーケットを牽引してきた大型成長株が弱い。NASDAQは3週連続の下落となった。
短期も長期も金利は上昇。特に10年債金利は4.33%にも一時上昇し、昨年の最高値水準にまで到達した。インフレの鎮静化に時間がかかっていることによる金利の高止まり、そして経済指標は減速感も見えつつも、雇用が落ちてこないので楽観視出来ない状況。
NASDAQの3週連続の下落など、市場全体にはあまり良いムードが無い。ただ、出来高もさほど大きくないので、この軟調さが、本格的なものかどうか判断しにくい。
テクニカルによる判断
NYダウ
とはいえ、水準的には、健闘していたNYダウも21日移動平均線を下回ってしまった上に、木曜日には50日移動平均線も下回ってしまった。
S&P500
S&P500は、既に8月に入って早々に21日移動平均を割り込んでいたうえに、水曜日には50日移動平均も割り込んでしまいました。
NASDAQ
NASDAQも、8月早々に21日移動平均を割り込んでおり、50日移動平均も前週に割り込んでしまっていました。そこから更に大きく下落してきているので、50日移動平均線を回復するのに時間がかかりそうな状況です。
こうやって見てくると、目先、市場のトレンドとしては調整が続く(調整局面入り)と見てもおかしくないかもしれません。出来高が少ない夏場なので、何とも言いにくいところはありますが、水準感的にはもう少し下押しがあってもおかしくない。
目先の材料2つ
1.マーケットリーダーであり、Magnificent7の中で最も輝いているエヌビディア(NVDA)が23日(水)の引け後に決算を発表します。AIテーマの中心銘柄として、好決算が期待されるところ。
ただ、エヌビディアの業績の見直し、目標株価の引き上げなどが、先週だけで5人のアナリストによって行われています。好調な業績や強気なガイダンスが、買い材料とはならない可能性も十分にあります。
アナリストも腰を抜かすくらいの発表が無いと上昇トレンドの回復は厳しい可能性があります。
とはいえ、この銘柄は、AIテーマだけでなくても、最先端半導体(特に画像系のGPUの最先端)を製造しているので、需要の多少の波はあっても、継続的に最先端分野で大きな役割を果たす企業かと思われます。
2.ジャクソンホールでのパウエル議長の講演(25日)。その中に今後の金融政策のヒントになるようなコメントがなされるかどうか?
そこはあまり期待しない方が良いかと思っています。もう安心です、これから金利を下げるタイミングを探します、なんてことを言う訳が無いですから。これまで通り、データ次第で柔軟に対応する、ということが言われるだけかと思っています。
セクターの状況
大型グロース株(特にテクノロジー)が市場の足を引っ張っている、という言い方がメディアでされていましたが、テクノロジーセクターは、相対的にはむしろ堅調。
コミュニケーション(メタや、アルファベットが入っている)や、下落基調にあるテスラや最近不調なアマゾンの入っている消費一般財サービスの不調が目立ちます。
個別銘柄の状況
マグニフィセント・セブン(Magnificent 7)の中では、軟調な中にありながらもエヌビディア(NVDA)のみ、その名にふさわしい動きを見せている感じです。
テスラは、中国経済の立ち上がりの遅れ、モタツキの影響と競争の激化で数度にわたる値下げの発表などが嫌気されて売られ続けている。1週間で-11.19%、8月月初から-19.42%とかなり売られ方が大きい。
今どのような行動をとれば良いか?
投資スタンスによって、このような調整局面での取るべき行動は異なってきます。
1. 短期でトレーディングをしているなら、株式のエクスポージャーを減らし、キャッシュで待機するというのが基本。
2.長期投資でも個別銘柄中心の投資であれば、保有銘柄の状況で、一部利食いをして、あるいは損切をして、株式のエクスポージャーを下げて、キャッシュ多めで待機。
3.インデックスの投信・ETF、アクティブの投資信託での積立投資に関しては、何があっても買い続ける感じで良いかと思います。
いずれにしても買い急がないのが今は重要かと思います。
秋以降には、本格的に米国市場が回復してくれるのではないかと思っています。その時には、円高方向に動き出している可能性もあるので、円ベースリターンは少し落ちます。
そのため、日本株のパフォーマンスがより堅調に見える可能性があります。
日本株を無視しないで見て上げてください。
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