【投資をはじめよう】15.投資対象:金融商品について(3)

投資の始め方

前回から具体的に、何に投資すべきかを説明しています。

前回、日本株と外国株式について説明しました。

今回は、債券についてお話します。

債券については、馴染みがないせいか、今一つピンと来ておられない方も多いかと思います。

そのため、なぜ投資のポートフォリオに債券を入れなければならないのかについても腑に落ちておられない方が多いようです。

一般的には、債券は株式に比べて大きなリターンは期待できないが、利金という形で安定的なリターンが得られる、と言われています。

株式投資が、「成長」を目指す投資であるのに対して、債券投資は「安全・安定」を求める投資と一般的には考えて良いかと思います。

ここで「一般的には」と申し上げたのは、債券の世界では日夜新しいものが出てきており、非常にリスクの高いものなども多く出てきています。

不十分な理解で手を出すと痛い目に合うこともあります。

国債、政府機関債や一般的な投資適格社債などであれば相対的にはかなり安全と見て良いかと思います。

債券の価格は金利の動向によって全体として一方向に向かう特性があるので、ある程度分散し長期で持つスタンスで投資をしないと、投資のタイミングによって成績に大きな差が出てきます。

債券は、1億円(ドルであれば100万ドル)という単位で売買される、一般的には銀行などの金融機関など機関投資家=プロの世界です。

個別の銘柄を個人で分散して保有することは通常ではほぼ無いと考えて良いかと思います。

個人向け国債や、個人向けの社債などの発行も行われています。

満期まで保有するという前提で、投資されることを否定はしません。

個人の投資家が債券に投資する場合は、投資信託やETFなどのファンドへの投資を前提に考えていただければと思います。

こうしたファンド投資であれば、ファンドの中で多くの銘柄に分散投資されているので、その中での分散を考える必要がありません。

では、具体的にどのようなものを考えていけば良いかの説明をしていきます。

日本の債券(円債)

株式よりも債券の方が安全で、国内と海外であれば、為替のリスクのない分、国内の方が安全、と考えると、最も安全なはずなのが円債になります。

国が利金の支払いや元本の返済が出来なくなる(これをデフォルトと呼びます)ようなことが無ければ、日本に居住する日本人にとっては日本国債が最も安全な資産になります。

逆に、最も安全(リスクが低い)なので、期待されるリターンは最も低い。

特に、現在のように日本の金利がずっと異常に低い状況が続いている環境では、本当に僅かな利回りしか期待できない状況です。

債券は、金利が上がると価格が下がるという性質を持つため(これは、このオンラインスクールでも後に説明していく予定です。

今はこの関係だけ覚えておいてください)、超低金利が続いており、金利がいずれ上昇するという状況の中では、投資しにくい資産です。

それでも何が起きるか分からないので、投資しておくというのも一つの考え方ですし、金利が上昇してから投資を開始するということでも良いかと思います。

実際に投資する場合には、どのようなファンドを買えば良いでしょうか。

株の場合と同じくインデックスに連動するものを投資対象として考えれば良いかと思います。

日本の債券運用では、野村―BPI総合と呼ばれるインデックスが、日本の債券市場の動きを示すインデックスとして、ほぼ業界標準ということで使用されています。

従って「日本債券インデックス・ファンド」という名称のものは、ほぼこのインデックスに連動するものです。

アクティブ・ファンドと言っているものの多くも概ねこのインデックスに勝つ運用することを目的としています。

もともと高いリターンを想定しておらず、安全性を期待しての投資ですし、アクティブ運用でも極端に大きなリターンが取れることはないので、インデックス・ファンドの信託報酬の低いもので選べば良いかと思います。

日本の国債(=国の借金)が増えすぎて、破綻するのではないか、というような話もよく話題に上ります。

ここでは、その議論への深入りはしません。

これについては、実は、様々な説があり、明確な正解が無い状態です。

金利が上昇した時には、少し投資ウェイトを上げるという感覚で投資をしていくつもりで良いかと思います。

外国債券

世界

外国の債券に関しては、国債でも先進国、新興国を含む世界でいくのかという区分や、新興国、社債、ハイイールド債、モーゲージ債(住宅ローン債券)などのどこまでを投資対象とするかなど選択肢がいろいろありそうですが、投資信託のラインナップなどを見ると、現実にはそうでもないようです。

基本は、先進国の国債への投資と考えて良いでしょう。

これが為替などのリスクを除くと最も安定していると考えて良いかと思います。

ここでは、ほとんどのファンドがFTSE先進国国債(除く日本)という指数を使っています。

ファンド(投資信託)の名前も概ね「海外債券インデックス・ファンド」とか「先進国債券インデックス・ファンド」といった名前になっています。

基本はこれでも良いと思っています。

ただ、債券が基本的に金利の動向によって一方向に動きやすいという性格を持っているので、出来るだけ広く分散されたものが良いと考えています。

即ち、新興国、社債、モーゲージ債、ハイイールド債なども含んでいるのが理想です。

ただ、これらまで含んだ総合的なものは、数が少ないようです。

債券市場への理解が深まったら、国債への投資だけでなく、新興国や社債、モーゲージ債(MBSと呼ばれています)、ハイイールド債などへの投資も広げられると良いかと思います。

不十分な理解で利回りだけで投資すると痛い目に会うこともあるのでお気をつけください。

新興国の高金利通貨債券に、高利回りということでだけで大きく投資することはあまりお勧めできません。

多くのケースで、そうしたファンドは大きな損失に見舞われています。

長期投資には向かないので、新興国の単一国への投資は特に気を付けた方が良いでしょう。

また、ハイイールド債への投資も、その市場動向をモニターできる情報源があり適宜チェックできる状況にないのであれば、止めた方が良いかと思います。

動くときは非常に大きく動きます。
(大きく下落します。)

債券投資はやり方を間違えると大きく損失を出しますので、「債券」という言葉に騙されてキワモノには手を出さないようにしましょう。
(金融機関でもそうしたもので損失を出しているケースを時々見ます。)

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