概況
先週(11/27~12/1)のNY株式市場は、景気の鈍化、インフレ鎮静化トレンドを示す景気指標とFRB高官の発言で上昇継続。
(Charlie Munger氏は、11月29日99歳と11カ月弱で逝去されました。R.I.P.)
金曜日のパウエル発言は、警戒的なトーンで市場をけん制したが、市場はむしろ金利打ち止めを読み取った。これで、S&P500とNASDAQは5週連続の上昇です。
取り敢えず、11月の状況も示しておきます。
週間ベースでも月次ベースでもかなりしっかり上昇しています。その背景は、やはり金利の動きです。
上のテーブルでも1週間で、長期(10年)も短期(2年)も大きく下落していることが分かります。
月次で比較してみると更に凄い変化です。10年金利は、-0.60%の下落、2年金利も-0.32%の下落と、債券価格で言うと暴騰と言った感じになります。
市場が、 Higher & Longerを織り込みに行っていたが、むしろ、さほどHigherにもさほどLongerにもならなそうだと考えるようになったということのようです。
今回は、特にパウエル議長の金曜日の発言で、まだまだ分からないとしつつも、金利環境が景気抑制的になっている、とコメントしたことが、これ以上の利上げはなさそうだ、次のアクションは金利引き下げだ、という連想につながったようです。
まだ上がるかもしれないという不安(Higherの部分)は払拭されたと市場は捉えたということです。
市場は気分的にもクリスマス・ラリー期待なんでしょうね。昨年裏切られていますから。
セクターの状況
週間ベースでは、REITが最も良かった。これは、金利低下の影響が最も強くでるセクターなので、金利低下が大きく影響したということかと思います。
金利環境の恩恵もあり、グロース系セクターに比べ、シクリカル(景気敏感)系セクターがより堅調な1週間でした。
この点はポジティブに考えて良いかと思います。これまで、テクノロジーを中心としたグロース系セクターが牽引する市場でしたが、グロース系セクターが足踏みする中でその他が堅調であるのは、堅調さが市場全体に広がる兆しでもあるので、より健全な現象だと見ています。
原油先物が、OPECプラスも含む拡大OPECで、減産合意となったものの、あまり効果が見込めないとの解釈がなされており、北海ブレント先物は1バレル$80を割り込み、WTIも$75を割り込んでしまっています。
そのため、エネルギーセクターは、引き続き不振です。
個別株の状況
NYダウ銘柄でもあるセールスフォース(CRM)は好決算を発表し、1週間で+15.87%と大きく躍進しています。年間でも+96.09%の上昇です。
11月30日にサイバー・トラックのデリバリー・イベントを行ったテスラ(TSLA)ですが、発表後は下落となっています。
評論家やアナリストからは、このサイバートラックはあまり好意的には受けとめられていないようです。それどころか、このイベントの前には、イーロン・マスクCEO自体が失敗であったと認めるような発言をしていました。
人によって評価はいろいろあると思いますが、あの車に1000万円を出す気にはなりませんでした。悪しからず。
今後の見通しと取るべき行動
まだまだ安心しきるには早く、希望的観測(こうなって欲しい希望→こうなるという予想)による動きである可能性も多分にあります。
センチメント的にも急速に強気に傾斜しています。こういう時は、あまり前のめりにならず、淡々と従来と同じように投資していた方が良い。
米国の投資家からすれば、警戒しつつも、金利は低下し、株価は上昇しており、悪くない。これが、日本からの投資だと必ずしもそうでもない。
この週は特に円高が進みましたので、顕著です。
この1週間の円ベースリターン(左)とドルベースリターン(右)を比較すると違いは明白です。
日本の金利が上昇方向で、米国金利が下落方向であれば、円高ドル安方向に動きやすい展開です。
アメリカ市場が金利低下で上昇しても、その分為替でマイナスを被り、円からの投資では、あまり良い結果が得られないかもしれません。
これは、海外債券投資の場合、更に顕著に現れます。したがって海外債券投資の場合は、為替をヘッジしたものの方が「今は」良いかもしれません。米国金利が上昇局面→ドル高方向に動きだすタイミングでは、ヘッジ付よりもヘッジ無しの方が良い。
海外債券投資は、安全(債券の値動きが小さい)で期待リターンが低い分、為替の影響によってパフォーマンスが決まってしまうことが多いので、為替を中長期でどう読むかがポイントになります。
なんだかんだ言っても、為替は基本的には金利差の影響が一番大きい。金利動向を気にせずに米国株投資はやはり難しいかと。金利の動きも含めて、投資するのであれば、トレーディングよりも積立投資で長期に投資を行って、ドルコスト平均法が生きるようにする必要があるかと思います。
ドル高でアメリカ株も上がる時期はむしろ珍しい時期ですが、そのタイミングでは強気になって良いかと思います。
後記
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