【米国株式週間レビュー:2026年5月4日~5月8日】市場は「イラン後」を織り込み始めたのか?

投資

日本ではGWも終わり、少しずつ夏に近づいている感じがします。(それでも北海道の一部では雪がちらついている、というようなニュースも聞かれます)

GWで休んでいる間も、米国の金融市場は動いています。1週間を振り返ってみましょう。

概要&マクロ: 史上最高値更新の裏で、市場の関心は“次”へ移り始めている

5月4日〜5月8日の米国株市場は、主要指数がそろって上昇し、S&P500、NASDAQ、NASDAQ100、Russell2000はいずれも史上最高値圏を維持しました。(上のテーブルでグリーンでハイライトしてあるのは、5月8日に最高値を更新した指数です)

週間ベースでは、

NYダウ:+0.2%
S&P500:+2.3%
NASDAQ:+4.5%
Russell2000:+1.7%

となり、特にNASDAQの強さが際立つ1週間でした。S&P500とNASDAQは6週連続上昇となり、NASDAQは2009年以来の強い上昇ペースとも言われています。

今週の特徴は明確でした。

👉 市場の関心が「イラン情勢そのもの」から、
👉 「イラン後の業績相場」へ移り始めていることです。

もちろん、中東情勢が完全に落ち着いたわけではありません。5月4日にはイラン関連報道で株価が一時大きく下落し、原油価格も急騰しました。しかし、その後の市場は非常に落ち着いていました。

これは、

米国側(特にトランプ政権)に早期収束インセンティブが強い
市場がそれを認識している
「最悪シナリオ」を徐々に織り込みから外し始めている

という構図に見えます。

特に、

インフレ懸念
戦争長期化への国内世論
秋の中間選挙
原油価格高騰リスク

を考えると、米国側には「早く終わらせたい」動機がかなり強い。

市場はそこを嗅ぎ取っているように見えます。

雇用統計と景気
― “悪くない景気”が株高を支える

金曜日発表の雇用統計は、市場予想を上回る内容でした。

非農業部門雇用者数:+11.5万人
失業率:4.3%で安定

となり、「景気が急減速しているわけではない」ことが改めて確認されました。

重要なのはここです。

現在の市場は、

〇 景気後退は起きていない
〇 労働市場もまだ崩れていない
〇 AI関連投資は継続
〇 企業業績は強い

という状況を評価しています。

一方で、

X インフレは高止まり
X 原油も高い
X 金利も高止まり

という問題は残っています。

つまり今の市場は、

👉 「完璧な環境」ではなく、
👉 「最悪ではない環境」を買っている

という状態です。

これは非常に重要です。

セクターの動き: AI相場は続く、しかし“主役”が変わり始めた

今週も圧倒的に強かったのはテクノロジーセクターでした。そのサブセクターである半導体セクターの動きも異常なくらい強かった。

S&P500の情報技術セクターは週間で+7.0%と、他セクターを大きくアウトパフォームしました。また、全体としてグロース系セクターが強く、景気敏感、ディフェンシブと比較的綺麗に色分けされました。

テクノロジーセクターを支えたのはやはりAIテーマでした。

ただし、ここで重要なのは、

👉 AI相場の「中身」が変わってきたこと

です。

GPU → CPUへ?

これまでAI相場は、

GPU
データセンター
HBMメモリ

といった「AIインフラ」中心でした。

しかし今週は、

AIエージェント普及
AI推論処理増加
エッジAI拡大

への期待から、

👉 CPU関連銘柄に異常なほど資金が流入しました。

これはかなり象徴的です。

市場は、

👉 「AIを作るフェーズ」から
👉 「AIを使うフェーズ」

への移行を見始めています。

なぜCPUが買われたのか?

ここが今回かなり重要です。

市場では、

AIエージェントが普及すると推論処理が爆発的に増えCPU需要も大きく増える

という認識が広がっています。

つまり、

これまで

GPU = AI

これから

GPU + CPU + メモリ + ネットワーク + 電力

という「裾野拡大型」のテーマに変化し始めています。

個別銘柄の動き: Intel・AMDへの資金流入は何を意味するか

今週の市場で最も象徴的だったのは、

Intel
Advanced Micro Devices

への資金集中でした。

IntelはApple関連報道もあり急騰し、AMDも大幅上昇しました。

一方で、

NVIDIA は依然強いものの、以前ほど「NVDAだけ買えばいい」という相場ではなくなっています。

これはAIバブル崩壊ではない

ここを誤解すると危険です。

現在起きているのは、

❌ AI崩壊
ではなく
✅ AIテーマの“拡散”

です。

市場は、

AIそのものは否定していない
むしろAI普及を強く織り込んでいる

しかし、

👉 「誰が最終的に儲かるのか」

を考え始めています。

これは以前から指摘してきた、

👉 「インフラ投資偏重相場から次段階への移行」への萌芽といえるかと思います。

AI相場の現在地

現在のAI相場は、

第1段階

GPU・インフラ爆買い

第2段階(今ここ)

AI普及を前提とした裾野拡大型相場

第3段階(今後)

AIを使って利益を出す企業選別

(これが出てくると経済構造も変わってくる可能性もあり、その構造変化はとてつもなく大きなものとなる可能性があります。ここにはぜひ注目してください。)

へ向かいつつあります。

市場はすでに「イラン後」だけでなく、

👉 「AI次フェーズ後」

を見始めています。

為替・原油・金: 為替は“政策相場”、原油は“期待相場”

ドル円は今週も乱高下しました。

市場では、

👉 「実際に為替介入が入った」

との見方がかなり強くなっています。

現在のドル円は、

金利差 → 円安
政策介入 → 円高

という、

👉 「ファンダメンタルズ vs 政策」

の綱引きになっています。

表には見えにくいですが、非常に重要です。

原油

原油価格は依然高止まりしています。

ただし、今週は

👉 「最悪シナリオ(ホルムズ海峡封鎖)」を市場が徐々に外し始めた

ことで、急騰一辺倒ではなくなりました。

つまり現在の原油市場は、

👉 「実態」より
👉 「期待」で動いている

状態です。

金価格はやや落ち着きました。

これは、

リスク回避需要後退
株高
ドル高

が背景です。

ただし、

高インフレ
地政学
財政問題

を考えると、中長期では依然サポート要因があります。

プライベートクレジット市場: 静かな不安は続いている

プライベートクレジット市場では、

・デフォルト増加
・借り換え負担
・AIによる借り手企業の構造変化

への懸念が続いています。

特に興味深いのは、

👉 AIによってソフトウェア企業の競争環境が変わり始めていること

です。

これはかなり重要です。

これまで高収益だった企業(ソフトウェア企業)が、

AIで価格競争に巻き込まれる
利益率が低下する
借入返済能力が悪化する

可能性があります。

現時点ではシステミックリスクには見えません。

しかし、

👉 「高金利+構造変化」

は信用市場にはかなり厳しい組み合わせです。

これは今後も静かなリスクとして注意が必要です。

今後の見通し
― 市場は「未来」を買っている

現在の株高を支えているのは、

・イラン情勢の収束期待
・AI関連業績期待
・景気の底堅さ
・強い企業利益

です。

つまり市場は、

👉 「今」ではなく
👉 「半年後」を買っている

状態です。(本来の姿でもあります)

ただし注意点もある

今後のリスクは、

インフレ再燃

原油高が続けばFRBは動きにくい

金利高止まり

高PER正当化が難しくなる

AI期待先行

収益化が遅れると調整リスク

地政学再悪化

市場はかなり楽観を織り込んでいる

結論

今の市場は非常に強いです。

しかしそれは、

👉 「現実が完璧だから」ではなく
👉 「未来への期待が非常に強いから」

です。

そして今週は、

👉 AI相場が“GPU一強”から次の段階へ移り始めたことを示した週でもありました。

投資家として重要なのは、

強気相場に乗ること
しかし、その前提条件を疑い続けること

この両立です。

後記

先日、老後資金運用に潜む「シークエンス・オブ・リターン・リスク」について、ブログ記事をまとめています。

こちらもごらんいただけるとありがたいです。

定年前後で資産を減らす人の共通点:― 見落とされがちな「シークエンス・リスク」とは何か ―

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