【米国株式週間アップデート】連敗脱出 まだ警戒モード継続  2024年4月27日

ブルとベア 投資

経済指標がインフレが根強いことを示し、市場はより不安定になったが、佳境を迎えている業績発表がテクノロジーを中心としたグロース系銘柄を後押しして、週ベースでの連敗を止め、週ベースでは大きく上昇しています。ただ、反転を確信するにはまだ早く、警戒モードは継続で良い。

今の経済環境と中央銀行(FRBと日銀)の姿勢を考えると、34年ぶりの円安も極端とは言えない。

ブルとベア

マクロと市場全般:インフレと金利に関する懸念を業績が凌駕

変動の大きかった印象の週でしたが、結果としては主要指数は全て上昇しています。しかも、週ベースとしてはかなり大きな上昇です。

S&P500は昨年11月以来の大きな上昇の週で、週ベースでの連敗を3で止めました。

NASDAQも週ベースで4.2%という大きな上昇で、週ベースでの連敗を4で止めました。

こうした大きな上昇で反転しているので、もう大丈夫かと安心される方も多いかと思いますが、まだ安心できる状況ではなく、警戒モードは継続で良いと思っています。

S&P500もNASDAQもまだ50日移動平均を上に抜けておらず、まだ上昇トレンドに戻ったとは言えません。

また、引き続き上昇日に出来高が減り、下落日に出来高が増えるという傾向は続いており、本格的な買いが入っているとは言えず、引き続き売り圧力の方が強そうに思えます。

下はS&P500に連動するETFのチャートです。赤線が50日移動平均線です。かなり近づいていますが、まだ上回っていません。棒グラフの部分が出来高を示しています。上昇日(青)、下落日(赤)の棒の長さを見ると、最近は赤の棒が長く、青の棒が短いのが分かるかと思います。

市場心理を示す指標は、強気にかなり偏っていた状況からかなり後退しましたので、むしろ状況の改善が確認されると上昇へのサポートとなり得ます。

先週(4/22~4/26)の特徴としては、経済指標のサプライズと業績のサプライズなどで、市場全体も大きく動いた上に主要銘柄でも大きく上下した週でした。

個別銘柄は下で触れますので、ここではマクロ経済指標のハイライトをお伝えします。

普段はあまり注目されていない第1四半期の速報値が一つの大きな材料になりました。(4月25日発表)

GDP(対前四半期比):+1.6%(予想+2.5%、前期+3.4%)
GDP価格指数(対前四半期比):+3.1%(予想+3.0%、前期+1.7%)
PCE価格指数(Q1):+3.4%(前期+1.8%)

また、同日に発表された新規失業保険申請件数は20.7万人と予想の21.4万人より少なく、前週の21.2万人からも減少しています。

ここから、景気は急減速しているのに、雇用は強く、インフレはしぶとい、という最悪のシナリオ(スタグフレーション:景気は悪いのにインフレ率が高い状況)が想定され、今年利下げが行われないシナリオも出てきました。

4月26日
PCE価格指数(対前月比):+0.3%(予想+0.3%、前月+0.3%)
PCE価格指数(対前年比):+2.7%(予想+2.6%、前月+2.5%)

コアPCE価格指数(対前月比):+0.3%(予想+0.3%、前月+0.3%)
コアPCE価格指数(対前年比):+2.8%(予想+2.6%、前月+2.8%)

FRBが注目しているPCE価格指数(特にコア指数)は、予想より高くマイナス材料ですが、前日のGDPと同時に発表された四半期の数字で、事前にかなり悲観的になっていたこともあり、予想より高い数字ではあったものの、恐れたほどではなかった、という捉え方がされたようです。

結果として、木曜日に跳ね上がった金利(10年債4.7%台)は、4.66%まで低下しています。

サプライズは連続すると2回目はあまり大した影響はないということです。

市場は警戒が弱い時のサプライズには大きく反応しますが、意識されている時のサプライズは、サプライズ度合いが小さくなります。

セクターの状況:グロース系復活

大きく上昇した週の牽引役は、テクノロジー、一般消費財サービス、コミュニケーションとグロース系セクターでした。

製造業(Industrial)も健闘していますが、シクリカル系よりはディフェンシブ系の方が良かった。

まだ、市場上昇の牽引役の中心はグロース系セクターのようです。

個別株の状況:業績発表で悲喜こもごも

下のテーブルはお勧めの銘柄を示したものでも、私の保有銘柄ということでもありません。市場の動きを説明するために、比較的注目されている銘柄や個人的な偏見で注目している銘柄などを集めたものです。

目立つ銘柄は、上昇サイドでは、アルファベット(GOOGL)、エヌビディア(NVDA)、テスラ(TSLA)です。

アルファベットは好決算と強気のガイダンスで大きく上昇し、All Time Highと引け値ベースの最高値を更新しました。

強気のガイダンスは、AI投資を増やす方向の話でもあったため、NVDAを始めとする半導体セクターが反応し、大きく上昇しています。

テスラは、下落がずっと続いており、想定通り、発表された業績はあまり良いものではありませんでした。業績発表に向けて下落を続け、52週の最安値を付けたところで業績が発表されました。

業績発表後のイーロン・マスクCEOのコメントで、無人タクシー業務に関する発表を8月8日にすることと、廉価版のEVの発売を加速させることなどを発表したため、底値から反転した形になっています。

無人タクシーと廉価版EVの件も強気派には好意的に捉えられていますが、テスラの業績の先行きに否定的な人からは、実現性も含め「眉唾物」と見られているようです。

中心的なビジネスの部分(EVの販売と収益性の維持)では苦しい状況が続いているので、マスクCEOのコメントは、投資家の関心の焦点をそこから外そうとしているようにも見えます。これはどちらに転ぶか、いずれ分かるでしょう。

下落で目立つのはメタ(META)です。業績そのものは、予想を上回る良いものでしたが、ガイダンスで会社側が出して来た数字(レンジ)の中央値が、予想よりも低かったことで、大きく売られる格好になっています。

今の市場では、既に終わった四半期の好業績は株価に織り込まれているので、好業績は当たり前で、その好業績が今後も続くかどうか(少なくともその期待を持たせてくれるかどうか)が、業績発表後の株価に大きく影響します。

為替:おまけのコメントです

普段、あまり為替についてはコメントしていませんが、34年ぶりの円安ということで大騒ぎになっているので、少しコメントしておきます。

上のマクロのところでもコメントしましたが、今の日米の経済状況とそれに対する中央銀行のスタンスを考えると、今の水準が過度の円安かと言われると、そうでもないように思っています。

為替は水準で判断してトレードするのは止めた方が良いです。

日銀の介入を期待して逆張りをすると痛い目に会いやすいので気を付けましょう。介入は極めて稀なオペレーションと考えて良いです。これは日米の中央銀行がそれぞれそう思っています。

経済状況を反映した為替の動きであれば、介入したところで、出来るのはスピード調整くらいであることは中央銀行も承知しています。

また、市場が期待している時に為替介入しても、投機家を喜ばせるだけで意味のないことも知っていますから、市場が油断している時にやるものです。皆が期待している時はないと思って良いし、あまり期待しない方が良いです。

日本の景気がある程度強くなり(賃上げの影響もあり)、良いインフレが定着してきて、利上げ方向に移れれば、自然と円高に向かうと思います。それまでの辛抱です。

既におこなっていた外貨資産投資は大きくプラスになっているかと思います。国内と海外の分散の投資はちゃんとしておいた方が良いです。

まとめ:警戒モードは継続

少し長くなりましたが、警戒モードは継続。GW中に上昇トレンドに戻れると良いなと期待はしています。来週は、FOMCもあるし、雇用統計もあります。おまけに、重要な業績発表も続きます。

日本がお休みの中で、米国株式市場はイベントが続きます。GWが明けた時に方向性が定まっていると良いですね。

後記

メルマガ登録募集中です。
タイトル:「心穏やかなお金持ちになろう」

表には見えにくい市場での動きや、情報過多の中でそれらの情報をどのように理解したらよいのかなどを含め、投資に役立つ情報や基礎的な知識などをお伝えしています。

投資にご興味のある方はぜひどうぞ。登録は下のリンクからどうぞ。
↓↓
https://48auto.biz/officeyy/registp.php?pid=2

基本Weekly(毎週日曜日夕方発行)です。

投資に関するコンサルも行っています。
初心者から、ある程度の経験者まで。

本人の希望に沿いつつ最適な形の投資のお手伝いをしています。(有料ですが、初回は無料です)
相談の上、引き受けの可否、コンサルの頻度その他を個別に決めさせていきながら、資産形成・保全のお手伝いをします。

ご希望があれば、ご連絡ください(まだ多少の空きはあります)
jack.amano@wealthmaster.jp
officeyy@wealthmaster.jp

コメント

タイトルとURLをコピーしました