短期的な市場動向に大きな影響を与えるセンチメントをどのようにとらえるか

株式相場 投資の始め方

マーケット関連のニュースなどを聞いていると、「地合」が良いとか悪いとか、「センチメント」が良いとか悪いとか、言われているのを目にすることがあるかと思います。

この「地合」とか「センチメント」って何でしょう。

金融事典などによると「市場心理」と言われています。

個々の投資家が、強気だったり弱気だったりする投資家心理があるのはよくわかりますが、総体としての市場に心理がある、というのは面白いですね。

これは、単純に言えば、市場が強気、あるいは弱気のどちらに傾いているか、ということを示すものです。

単なる心理であり、事実、ファンダメンタルズに与える影響はないので、長期的には大した影響はありません。

ファンダメンタルズの解説はこちらをご覧ください。

しかし、短期的には影響も大きいので、短期トレーディングをされる方は市場のセンチメントを把握しておく必要があるでしょう。

短期トレーディングの解説はこちらをご覧ください。

また、長期投資をされる方にも、入替えを行う際とか、売買の必要がある際に、少しでも良いタイミングで売買するために知っておくと便利です。

市場センチメントをとらえる方法

では、このセンチメント(市場心理)を知る上で、どういったものを見れば良いのでしょうか?

CBOEのMarket Volatility Index(先物)を見る

先物相場

ここでは、アメリカの株式市場に関して、市場センチメント(市場心理)をとらえる方法を紹介します。

よく使われるのが、CBOEのMarket Volatility Index(先物)です。

これは、S&P500のオプション価格から推定されるボラティリティ(即ちImplied Volatility)の先物です。

この指数は、VIXというティッカーで取引がされているので、VIX指数、別名「恐怖指数」ともいわれています。

恐怖指数(VIX指数)の解説はこちらをご覧ください。

この指数が上昇しているということは、オプション市場で、ボラティリティが上昇するという予想のもとに取引をしている投資家が多いということです。

ボラティリティが上昇するのは、上昇局面より下落局面で起きることが多いので、警戒感が強くなっている状況と考えて良いのです。

平時は10~20の間で推移していることが多く、15以下ではかなり市場が落ち着いている状況です。

20を超えてくると、市場が少し荒れてきた感があります。30を超えてくると暴落の恐怖が漂ってきている感じになります。

市場が下落している最中に、このVIX指数が急騰するケースでは、セリング・クライマックス(Selling Climax)で陰の極に達した際に起こるもので、急反転する可能性があります。

セリング・クライマックスの解説はこちらからご覧ください。

VIX指数が10日移動平均を20%以上上回って急騰するところが、クライマックスに近いかと思われます。

絶対値として45を超えて急騰する場面では、その後上昇反転するケースが多いので、怖いですが、チャンスと見ていいでしょう。

リーマンショック時には90近くまで上昇しましたから、如何に市場参加者が悲観的になったかが分かるかと思います。

2018年の頭に米中の追加関税問題が勃発した際に50に達していますし、2018年12月に市場が底打ちする直前には36と通常よりかなり高い数値になっています。

逆に低すぎる時は、市場が油断をしている時期でもあるので、下落への警戒感を強めた方が良いかと思います。

ブル(強気)割合とベア(弱気)割合を見る

相場

次は、直接的に市場のセンチメントが、ブル(強気)かベア(弱気)のどちらに偏っているかを示すものです。

ブルとベアの解説はこちらをご覧ください。

Investors Intelligenceという会社が毎週発表しているアンケート調査の結果です。

この指標は、逆張り的に見ていくものです。

ブルの割合とベアの割合がそれぞれ発表されます。

ブルが37.5%、ベア33.3%と発表れた場合、100-(37.5+33.3)=29.2%が中立です。

市場が上昇すると次第にブルが増えていきます。

ブルが50~55%程度で推移していて、市場が上昇している時は、比較的安心して見ていられます。

これが57%を越えてくると、市場がブルに偏り過ぎている感じになり、警戒が必要になります。

逆にブルが30%を割り、ベアが40%を超えてくると極端にベアに偏っている感じになりますので、反転上昇しやすくなります。

ブルが57を越えたら必ず下落が起きるとか、ベアが40を越えたら必ず反転上昇するということではありません。

しかし、市場が強気や弱気に過度に傾きすぎるとその反対の動きが起きやすいということです。

プット・オプション(売る権利 Put Option)とコール・オプション(買う権利 Call Option)の日次の取引量を比較する

株式 総量

3つ目は、Put/Call Volume Ratio、通常、プット・コール・レシオと言われているものです。

プット・コール・レシオの解説はこちらをご覧ください。

これは、プット・オプション(売る権利 Put Option)とコール・オプション(買う権利 Call Option)の日次の取引量を比較したものです。

Put/Callなので、プット・オプションの方が多いとこのレシオは1より大きい。

市場参加者が先行きに不安を持つと、プット・オプション(売る権利)の方がより多く取引されます。

即ち、市場の先行きに不安を持つ人が増えると、この数値は1より大きくなる傾向にある。

1より大きい時は、市場のセンチメントはベア(弱気)になってきているということです。

そして、これも逆張り的に使います。このPut/Call Ratioが1.15を超えてくると、市場は底を打って、反転上昇することが多い。

逆に0.8を大きく下回ってくると、強気に傾いているので、警戒をした方が良いかと思います。

まとめ

相場を知る

以上の3指標が市場のセンチメントを図る主なものです。

基本的には、強気に傾いているのか、弱気に傾いているのかを知るものです。そして、それらの指標は、通常逆張り的に使います。

強気に傾いている場合、当面は上昇するかもしれないが、強気に傾き過ぎたら、大きく下落する可能性がある。

上昇しているときは、強気に傾き過ぎない方が長く続く。

強気に傾いたら警戒をする。弱気に傾き過ぎたら、反転が近づいていて、反転のチャンスを狙う。

これら使い方は、相場格言の「相場は不安の壁を上る」と同じものです。皆が強気になったら相場は終わり。

やはり、皆と同じに考えていたら市場で良い結果を残すことは難しいです。

投資で大きく成功するには、下げて皆が不安になっている時に、落ち着いて、これらの数値を眺めて、買いチャンスを待つ、そうした姿勢が必要になります。

ウォーレン・バフェットの名言通りです。

今回上げたものが全てではなく、まだ他にもあります。逆張り指標的な代表的なものをご紹介しました。

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