【米国株週間レビュー】反転の材料なく調整局面入りかな? 2023年9月23日

投資

概況

先週(9月18日~22日)のNY株式市場は、淡い期待を抱いていたFOMCでの金融政策の方向性議論が、期待に反したタカ派に傾斜した内容だったこともあり、金利が上昇し、株価、特に成長株中心に大きく下落しました。

現時点では、反転の材料と期待されるものに乏しく、このまま調整局面入り(直近高値から‐10%以上の下落)になる可能性が高いかなと思っています。

先週は、欧米そして日本の中央銀行が政策決定会合を開き、今後の金融政策を決定しています。

ECB(欧州中央銀行)は+0.25%の利上げ、BOE(英国中央銀行)は利上げ停止(見送り?)、FOMC(米国の連邦準備銀行の連邦公開市場委員会)は、利上げ見送り、日銀の政策決定会合は、超低金利政策維持。

それぞれの国・地域のインフレ・経済の影響で異なりますが、どこも高インフレ対策が重要課題。

欧米は、インフレの鎮静化が見える中で、利上げモードが最終局面に近い状況。一方で日本は、コストプッシュインフレ(コストの上昇に伴うインフレ)だけであり、デマンドプルインフレ(強い需要に伴うインフレ)を伴わないため、インフレの程度も欧米に比べ低い。日銀は、需要が強さを増すまで、低金利を続けるというスタンスです。

このスタンスの違いが、円安を生んでいます。財務省が何を言ってもこの状況が変わっても基本的な為替の方向は変わらない。円安はもう少し続くかと。

米国の株式市場に話を戻すと、今の市場のテーマは、金融政策の方向、即ち、利上げはいつ終わり、金利の低下がいつから始まっていくのか?というところです。

金利の低下が先行き見込まれているのは、景気の鈍化が見えるから。(インフレ退治のための金利上昇が景気にマイナスの影響を及ぼし、景気が冷えると心配しているので)

ここまで金利が上昇しても、景気が意外に強い(特に雇用関係)ことなどが、インフレが下がりきらない原因になり、そしてそれが金利の高止まりの原因になるとの懸念があります。

金利が上昇すると、単純に言えば、株、特に成長株の魅力が薄れ、株は売られます。これは、株価=一株当たり収益x株価収益倍率(PER)のPER部分が収縮することになります。

業績というよりは、評価が変わることによる株価の下落が起きる。それが、今の市場を支配している懸念です。ま、高金利が続けば、金利負担の増加や、景気の鈍化で業績にも影響があるので、その点でも株価は下がりやすいということになります。

タイトルで「調整局面」という言葉を使いました。この言葉は、市場では「直近の高値(過去52週間の最高値)から‐10%以上下落した状況を言います。

その定義からすれば、実はまだそこまで下落していません。小型株指数のRussell2000のみ、完全に調整局面に入っていますが、それ以外は、まだ若干余裕があります。

(オレンジ:NYダウ、ブルー:S&P500、レッド:NASDAQ、グリーン:Russell2000、イエロー:NASDAQ100)
過去1年のパフォーマンスです。

とはいえ、上のチャートでも直近では、エネルギー切れで急速に下に向いています。

今年の市場を牽引したMagnificent 7が崩れて来ており、それに代わるマーケット・リーダーが出てきていないこと、AIのテーマが一時的に盛り上がりましたが、市場全体の暗雲にかき消されてしまいました。

まだ、金融政策の転換が見えない中で、反転に向かう材料が見当たらず、しかも売りの圧力は結構強く、まだプラスのうちに売ってしまおうという動きが強いようです。

米国に限らず、株式ファンドからの資金流出が続いています。

ということで、ほぼ調整局面入りは覚悟しておいた方が良いで思っています。言葉の定義を無視すれば、もう調整局面に入っていると考えて良いと思っています。

セクターの状況

ヘルスケアやユティリティなどのディフェンシブ系が相対的には値持ちが良かったですが、全滅です。金利の上昇の煽りを受けてREIT(不動産)が厳しかったようです。

成長系セクターの一般消費財・サービスは、テクノロジーやコミュニケーションより下落が大きいですが、これは、このセクターの2大巨頭であるアマゾン(AMZN、-8.03%)とテスラ(TSLA、-10.75%)の影響が大きかったかと思われます。

個別株の状況

iPhone15と新型のアップルウォッチを発表し、販売を開始したアップルは、マイナスではありますが、ほぼフラットに近いかたちで健闘しています。

今何をすべきか?

上でも述べたように、調整局面に入ったと認識して良い状況でもありますので、積立投資(これは淡々とルールに従って投資継続)以外は、下がったからとすぐに買いに入るのは控えた方が良いかと思っています。

むしろ、大きく下落したものを出来るだけ損切してキャッシュを多めで待機。そして次の上昇局面で買うべき銘柄リストの見直しをしていくのが良いかと思います。

私も小型で動きの悪かったものを整理して、大型の質の高いものを残す形で少しポートフォリオを動かしました。

反転上昇するときは、やはり質の高い大型銘柄がまず動くと想定されます。今は、あまり山っ気を出さないで我慢しておく方が良いかと思っています。

後記

今日は、秋分の日(Autumnal Equinox Day)、秋のお彼岸。祭日と土曜日が重なって、休みを1日損した気分になっています。

まあ、日本は国民の祝日というのがやたら沢山あるので、まあこういうことも多くなります。

天気はいま一つですが、暑さが収まってきたのは助かります。
良い週末をお過ごしください。

追記

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